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http://amesei.exblog.jp/d2007-10-20
洋行:外国人経営の商社のこと。文明開化後の明治時代、外人が経営している会社のことを「洋行」と言った。
アルルの男・ヒロシです。
久間章生・初代防衛大臣が今年の夏前に電撃辞任した事件、当時から防衛利権の存在が噂されていたが、東京地検特捜部は、久間氏とは別の角度からメスを入れることにしたようだ。
昨日の新聞各紙は、突如として、前の防衛事務次官だった守屋武昌(もりや・たけまさ)氏と、防衛商社の「日本ミライズ」の宮崎元伸氏(防衛庁出身)とのゴルフ接待事件を報じた。例えば、共同通信(中国新聞)の記事はこうだ。
(貼り付け開始)
山田洋行元専務を聴取 不正経理で特別背任容疑 守屋氏とゴルフ '07/10/19
防衛・航空分野の専門商社「山田洋行」(東京都港区)の元専務(69)が、不正な経理処理による“裏金”作りなどで同社に損害を与えていた疑いがあるとして、特別背任などの容疑で東京地検特捜部が元専務や関係者らから事情聴取を進めていることが十九日、分かった。
元専務は守屋武昌・前防衛事務次官(63)ともたびたびゴルフをするなど防衛官僚や国防族議員らに幅広い人脈を持つとされ、特捜部は元専務周辺の資金の流れや政官界との接点について慎重に調べているもようだ。
山田洋行は一九六九年設立。元専務は実質的に同社の経営や営業を取り仕切ってきたとされるが、経営方針などをめぐりオーナー側と対立し、昨年六月退社した。
関係者によると、元専務は山田洋行の在職時に、米国子会社などを利用し、簿外で資金処理をするなどの背任的行為に関与した疑いが持たれている。
また退社後の昨年七月には、正当な権限がないのに米国の取引先との代理店契約書を、山田洋行側に不利な内容に勝手に書き換えた疑いもあるという。
元専務は昨年九月に「日本ミライズ」(東京都港区)を設立し、山田洋行時代の部下二十人以上も相次いで退社してミライズへ移籍。
防衛省が導入予定の航空自衛隊次期輸送機(CX)搭載用で、山田洋行が販売代理権を持っていた米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製エンジンの営業担当者らも移籍メンバーの中に多く含まれていたため、山田洋行側は「不当な引き抜きによる取引奪取行為」などとして、ミライズ側に計十五億円の損害賠償を求め東京地裁に提訴。
一方、ミライズ側も未払い退職金の支払いを求め訴訟を起こしている。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200710190254.html
(貼り付け終わり)
この一件については、以前、私も朝日新聞の英語版の記事で読んだことがある。(しかし、久間氏が絡んでいるからアメリカがらみだろうと思ったがその時は何を意味しているのか分からなかった。)
この件は、日本国内の防衛利権を巡る紛争とアメリカの軍用航空機エンジン会社のジェネラル・エレクトリック社の利害が複雑に絡み合っているようだ。しかし、東京地検の捜査はあくまで、ゴルフ接待と不正支出による背任問題に限定され、日本ミライズの宮崎社長、守屋元防衛事務次官を訴追して終わるのではないか。場合によっては久間氏まで火の粉が飛ぶかも知れない。
記事に出てくる、山田洋行(Yamada Corporation)というのは、かなり歴史の古い防衛商社だ。アメリカのGE社やジェネラル・ダイナミックス社、ロッキード・マーティン社などの軍事関連商品の輸入・販売代理店として、防衛庁とも太いパイプを築いてきた会社である。公式サイトによると、1936年にこの会社は横浜で創業とある。ただ、本格的に活動を開始するのは、昭和44年(1969年)以降らしく、この年に「株式会社 山田洋行設立」とある。1981年にはニューヨーク支店を開設、1994年にはワシントンDCにもオフィスを構えている。
「山田洋行」という会社には二つあって、会員制雑誌の「ファクタ」によると、山田グループの総帥である山田正志氏の設立した不動産・貸しビル業の「山田洋行」と、それとは別に商社としての同名の「山田洋行」を設立し、設立当初から元防衛庁の宮崎氏が会社を動かしてきた、という。つまり、商社の山田洋行は、宮崎元専務が実質支配する会社だったようだ。「ファクタ」によると、株式を支配するオーナーである山田一族と経営陣である宮崎元専務らの「前線部隊」との会社の方向性を巡る確執が今回のトラブルの発端となった、宮崎氏の独立にあったというのである。
宮崎氏にしてみれば、商社である山田洋行(英語ではヤマダ・コーポレーション)は自分の会社だから、独立しても当然だという発想があったのだろう。この元専務は、アメリカから購入することになっていた次期CXエンジンの担当者2名を含めた数十人(30人という記事もある)をつれて、山田洋行を退社、「日本ミライズ」を設立したというわけだ。これが2006年の9月。
これに対して、山田洋行の経営陣は、営業妨害だということで、ミライズを提訴。このゴタゴタをかぎつけた「ファクタ」や山岡俊介氏らの独立系ジャーナリストが、今年の春からこの問題を報じていたが、久間氏の「原爆しょうがない」発言と絡んで、少しずつ朝日新聞などのメディアでこの問題が並行的に報じられてきたわけだ。
山田洋行の経営陣がミライズを訴えたのと同時並行する形で、防衛庁内部の「軍事ロビイスト」たちもこの問題でそれぞれの代理人として動いていた。
ミライズ社長はインタビューを載せた「ファクタ」の中で、「GE社は、山田洋行が起こした訴訟について独自に調査、そのうえでCXエンジンの代理店に当社を任命した」と語っており、ミライズがGEの代理店になったと認めているようだ。ところが、ミライズの資本金は一億円、山田洋行は27億円である。なぜ、そのような新参者がいきなり、自衛隊のCS(次期輸送機)のエンジン商談(1000億円規模)の代理店権を得ることが出来たのか。
そこで登場したのが、「久間章生を快く思っていないアメリカ・ペンタゴン」である。以前、産経新聞が次のように報じたことがあった。これは今年1月28日の「久間氏発言 米政府が不快感表明 日米安保委、開けぬ」というもので、久間元大臣の「イラク戦争間違い」発言を受けたアメリカの反応を伝えた記事である。
(引用開始)
久間防衛相は国防族の有力議員として毎年のように訪米していたが、国防総省関係者は、「久間氏がコンサルタントを連れてきたことを国防総省は露骨に嫌がっていた。1月の防衛相の訪米予定のときも、この人物が防衛産業関係者を同行させようとしたが、国防総省は防衛庁が黙認したとして反発していた」と述べ、この問題も米側と久間防衛相の関係に影響しているとの見方を示した。
(引用終わり)
この記事を読んで以来、この「コンサルタント」とは誰だろうとずっと調べてきたのですが、分からなかった。最近になって、これが秋山直紀(日米平和文化交流協会専務理事)であることが分かってきた。
この人物については、「安全保障議員交流 」という与野党の防衛族議員のアメリカとの文化交流組織を仕切っているフィクサーとしてしられている。あるサイトには、この交流プログラムについて次のように説明がある。
(引用開始)
日米文化振興会安全保障研究所が、ヘリテージ財団、CSISの協力を得て、日米安全保障専門交流を目的とし毎年実施しているプログラム。安全保障政策に関わる日本国会議員のグループが訪米し、米国の上下院議員、議会関係者、政府高官、有識者らを交えて政策的対話・討議を行うことを通じ、日米両国の友好的な外交、安全保障、経済における関係の構築を図り、両国のさらなる信頼情勢を図る。2001年は、4月末〜5月上旬、与野党5名の日本の国会議員が訪米、発足直後のブッシュ政権の安全保障政策に携わる国務省、国防省及びNSCの高官、安全保障問題に強い連邦議会の議員。ヘリテージ財団やCSIS等シンクタンクの専門家ら、多数との意見交換を行った。
http://www.jpf.go.jp/j/cgp_j/intel/program/project/intro/security_13.html
(引用終わり)
また、別の交流団体「社団法人 日米平和・文化交流協会」にも「秋山直紀」の名前がある。この財団の理事は、前防衛施設庁長官の宝珠山昇、三菱重工前社長の西岡喬も含まれているほか、福田首相の名前もある。さらに、主立った防衛長官経験者の名前の他、なぜか綿貫民輔(国民新党党首)の名前まである。なお、アメリカからは、ウィリアム・S・コーエン 元国防長官、ミサイル防衛利権を一手に握っている ウィリアム・J・シュナイダー 元国防長官顧問が参加している。表向きは文化交流団体だが、実態は防衛利権サークルの一角を占める財団である。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shocho/koeki/n_shinko_meibo.html)
この秋山氏は、GEの代理店契約を委譲されたとする日本ミライズではなく、元々の代理店である山田洋行サイドの代理人(コンサルタント)を務めたとする報道もある。(中央ジャーナル:http://chuohjournal.jp/2007/07/post_1387.html)
今回、ミライズの宮崎社長が、山田洋行時代に、防衛庁の天皇と言われている守屋事務次官と接待ゴルフをしていたという報道は、だから、これが山田を狙ったものなのか、それともミライズつぶしを計ったものなのか、実のところ、よく分からない。ただ、アメリカ国防総省やGEとしては、ミライズを推したかったのは間違いないようで、その線から山田洋行を支援していたとされる、「久間+秋山ライン」のロビイングを疎ましく思っていたのかも知れない。そうすれば話は繋がる。
これは私の勝手な推測だが、宮崎元専務が、「ファクタ」のインタビューで、ミライズの設立について、「だからオーナーと会談し、私がスポンサーを見つけてくる形でMBO(経営陣による企業買収)を提案した」と述べているのがヒントになるかもしれない。MBOというのは、出資者から支援を募って、経営陣の買収という形で企業を非公開にする投資手法である。しかし、実際には資金を出すのは外部のファンドであることもあるわけで、実質的にはファンドに経営権を握られるという可能性もあるわけだ。しかも、「ファクタ」の記事は、冒頭で、ライブドアのホリエモンが買収案件に関心を示していたとほのめかされている。現在もミライズは資金繰りに苦労していると朝日は伝えている。
要するに、アメリカのGEとしては、山田洋行なり、ミライズなり、代理店契約を与える企業を実質的な子会社とするべく動いていたのではないかというのが、ジャパン・ハンドラーズの著者である私の視点による推測である。無論、根拠はない。だが、三角合併の話と併行して進む、経団連主導の買収防衛策整備の流れも含めて考えると、アメリカ軍需産業としては早めに自分たちの利権を確保しておきたいと考えたかも知れないのだ。久間+秋山コンビの、国内利権派の行動が目に余るということもあり、GEとしては、永年つきあいがあった宮崎元専務サイドと穏便に取引関係を続けていきたいと考えても無理はない。
アメリカとの防衛利権をにぎってきたはずの久間大臣が、繰り返し反米的言辞をここ数年弄してきた理由に、防衛利権を守るための牽制の意図があったのか、それともハズされた腹いせの目的があったのか分からないが、GEという会社の利権を巡って噴出した問題は、隅々まで調べていくと、日米同盟のドス黒い部分が出てくるんじゃないかと思う。
しかし、この問題、最終的にはどこに落ち着くのか。ミライズを支援していたGEは、今回の捜査を理由にミライズの代理店契約を撤回するだろう。仮に、ミライズの関係者が逮捕されたりしたら、随意契約でGEエンジンの販売代理店受注はあり得ない話になる。
そうすると、山田洋行が代理店を続けるという線も出てくるが、ゴルフ接待が行われたのは宮崎元専務の山田時代での出来事である。そうなると、代理店の引き受け手が出てこないのではないか。大手商社か、あるいはGE自らが日本に販売拠点を築くかもしれない。
この問題がはじけることで最後に笑うのは誰か?軍事用航空機のエンジンを製造しているのは、他に欧州系(イギリス)のロールス・ロイス社と、アメリカのジェネラル・ダイナミックス社がある。ロールス・ロイスではなく、GE製のエンジンに決めるというところが、日米軍需ロビーの意向が働いていることを考慮する必要がある。選択肢を絞ることは出来るが、完全にどうなるかは分からない。
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ただ、この問題が、日米同盟の象徴ともなった、インド洋給油法案の審議中にはじけるということになったのも何かの意図を感じる。8月中旬の小池百合子と守屋次官の対決の時にはじけさせなかったのはどういう意図があるのだろうかを考えるべきである。(上の写真は「朝雲新聞」のサイトから)
その給油法案だが、政府与党には、この法案を通す気が全くないようだ。護衛艦の航海日誌の不可解な破棄の露見(=証拠隠滅)、それに、「米国政府は(対テロの)『不朽の自由作戦』(OEF)に参加する艦船だけに油を供給するとした、日本政府との合意に忠実に従ったと信じる」という形で示された、アメリカ側のイラク戦争への重油転用の間接的な「認定」といった事態、これらの状況を踏まえると、アメリカ側も既に日本の海上自衛隊が撤退し、二度と同じような形では給油活動を行わないという前提で動いていることをうかがわせる。
何しろ、この給油問題の関心は、「日本の自衛艦が、シェブロン社関連の精油所から原油を購入していた」という点にある。つまり、アメリカの軍事予算の肩代わりであって、それ以上の意味はない。今までの防衛庁の発想は、「人を出すくらいならカネをだしてごまかしておけ」という現実的な判断があった。日本は属国だからそれがギリギリの抵抗ラインだったということなのだろう。
今後の協議をするためにゲイツ国防長官が11月上旬に来日するらしい。思いやり予算減額と合わせ、この給油問題のために国防長官が、わざわざ来日するという事は日本の給油という名の資金援助がありがたかったのだろう。資金援助の形で支援しつづけろという要求をだすのかもしれない。
自民党もカネを出して人を出さないという協力策で手を打ちたいと思っているはずだ。
しかし、政治的な手腕を巧みに使う小沢一郎の登場で、そのやり方が、揺るがされる時代が来たようである。小沢は、「世界」の論文で書いた、やはり、アフガニスタンへの自衛隊派遣を現実の対案(法案)には盛り込まないという妥協をしてきた。小沢の狙いとしては、まず最初に大きな風呂敷を広げることで、逆に自民党の側の論理破綻を示すというものだったようだ。落としどころとしては「民生支援」というのが最初から用意されていたのだろう。
余談になるが、このやり方は、現在の台湾の民進党の陳水篇総統の政治手腕とも似ている。陳総統は最近、ことさらに中国の胡錦涛出席を挑発するような発言を繰り返しているが、これも去りゆく総統である彼がわざと過激な発言を繰り返すことで、彼の側近であった、謝長廷候補がかなりの穏健派であると民衆に見せるためのパフォーマンスである。国民党の馬英九候補が勝っても、民進党が勝っても、安全保障上の大きな亀裂が台湾の将来にとって一番よくないことを現総統である陳水篇は理解しているのである。
小沢発言も同様で、彼の本心としては、国連派遣軍なのだろう。しかし、党内の反発と自民党の反応という力学を考えた上で、あえて「世界」で過激発言に打って出たのかもしれない。政治は結果が証明するので、結果的に給油法案が無くなって、アフガン派兵を小沢がそれほど大きく言わなくなれば、この読みが正しかったことになる。
だから、政治を読み解くときにはその政治家の計算式まで読み解かなければならないということだろう。久間、小沢、陳の三人の政治家の発言はいろいろ教えてくれる。
自民党は、この給油法案を23日から衆議院で審議入りさせることを決めているが、11月1日にはどう転んでも通らない。福田首相が共産党の小池晃氏に対して、「どう転んでも通すつもりはないでしょ」と逆ギレしてみせたのもあれは大芝居で、彼自身が早期に通すつもりがないのだから、この国会が盛り上がらないわけである。
自民党の政治家はアメリカの怖さを知っている。だから、自分たちは悪くない。民主党が悪いと責任を民主党に押しつけた形にしないとあとあとまずいと考えているのだろう。
アフガニスタンといえば、現大統領のカルザイの弟が、麻薬取引に関与していた経歴があるという内容が、ニューヨークタイムズに報じられていた。アフガニスタンのケシの生産高は世界一。米英軍は、これを撲滅しようとしていると報じられているが、仮にカルザイの弟も麻薬取引に参加しているのだとしたら、撲滅できない理由が分かる。(これについては、記事がある。注参照)
そして、アフガニスタン大統領のカルザイ自身、CIAの元工作員であり、石油会社ユノカルの代理人だったわけで、アフガニスタンの政情安定はカルザイを追い出さない限りはあり得ないだろうと改めて思った。
注:Diplomats say there are even reports linking Mr. Karzai's brother, Ahmed Wali Karzai, an influential figure in the southern city of Kandahar, to the trade. A senior presidential adviser denied the reports, saying it is propaganda aimed against the president as well as his brother.(Afghan Poppy Growing Reaches Record Level, U.N. Says http://www.nytimes.com/2004/11/19/international/asia/19afghanistan.htm )
Also, a widespread public perception exists that Mr. Karzai’s brother, Ahmed Wali Karzai, is involved in drug trafficking. So much so that Western officials say they have long urged Mr. Karzai to have his brother leave the country, though they acknowledge that there is no definitive proof of wrongdoing. (Overhaul of Afghan Police Is New Priority http://www.nytimes.com/2007/10/18/world/asia/18afghan.html)
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防衛省震撼「山田洋行」の闇
1千億円商権争奪で内紛泥沼化。次期輸送機CX利権と、旧住友銀行「西川案件」の暗部が浮かぶ。
2007年6月号 [日本の武器商人]
http://facta.co.jp/article/200706020.html
ゲーツ米国防長官が来日へ 11月上旬
2007年10月19日20時21分
http://www.asahi.com/politics/update/1019/TKY200710190419.html
福田首相 給油活動「一時中断もありうる」 駐日大使に
2007年10月19日23時41分
http://www.asahi.com/politics/update/1019/TKY200710190454.html
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