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http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2007/10/20/20071020ddm002010030000c.html
◇その場しのぎ、説明変転
「新しい法律を作るという状況だが、一時中断することもあり得る」
福田康夫首相は19日、首相官邸を訪れたシーファー米駐日大使に、11月1日のテロ対策特措法の期限切れとともに、海上自衛隊の補給艦がいったんは活動中止に追い込まれる可能性を認めた。
米国防総省が前日発表した声明には、日本へのいらだちが読み取れた。海上自衛隊から受けた燃料のイラク戦争への転用はなかったとする一方で、「艦艇の任務ごとの追跡は困難」と突き放してもいたからだ。
石破茂防衛相はこれまで行われた800件近い給油すべてについて、目的外使用がなかったか米国などに照会中。ところが「あまり細かいことまで軍のデータを出せという要求に不満が募っている。同盟国を信用できないのか、という反応だ」(防衛省関係者)。
海上自衛隊の艦艇のべ59隻、1万人以上が派遣されたインド洋給油。約6年間、淡々と繰り返されてきた現場の安定した活動と裏腹に、日本の「テロとの戦い」に関する政府の説明や方針は、落ち着きなく浮き沈みしてきた。日米同盟に照らして給油政策の経緯をたどると、はっきりする。
9・11テロの翌月、米英軍はアフガン攻撃を開始。その翌月、日本が軍事行動支援のためのテロ対策特措法をつくった時、政府は「日本も邦人24人が犠牲になった当事国だ」と説明したが、本音では「米本土がやられた戦争で自衛隊を出さなければ同盟は終わる」という切迫感があった。
しかし03年3月、米英軍のイラク攻撃で、関心はイラクへの自衛隊派遣に移る。当時の小泉純一郎首相は同20日の攻撃開始を受けた記者会見で「北朝鮮問題でも日米同盟が有効に機能すると思う」と述べ、「イラク自衛隊派遣・北朝鮮バーター論」を示唆。派遣に尻込みしていた世論は、一時的に派遣支持へと振れた。01〜02年は圧倒的に米軍相手が多かったインド洋給油が、相手国を広げたのは03年から。皮肉にもイラク戦争を機に「米国への支援」が「国際協調の活動」へと変容していった。
それから2年4カ月後。小泉首相は「郵政解散」目前の05年7月、11月に期限切れを控えていたテロ特措法について「もういいだろう」と廃止を言い出した。当時の政府高官は「小泉さんは対米追従という批判を何より嫌がっていた」と理由を明かす。首相自らインド洋給油を「対米追従の一環」と認め、いったんは「やめてもいい」と指示まで出していたのだ。
町村信孝外相(当時)らが継続するよう説得したが、代わりに延長期間を2年から1年に短縮。これが、今日の混迷状況につながっている。
安倍晋三前首相はインド洋での活動も念頭に「米軍艦船が攻撃された場合、自衛隊が反撃できるか」といった憲法解釈の見直しに着手し、同盟強化への姿勢が目立ったが、「給油継続は国際公約」と大見えを切った直後に辞任。「米国の失望は期待した分、大きかった」(外務省関係者)
「給油が中断したら同盟にひびが入る」と力説していた外務省幹部は、中断が避けられず再開の見通しも立たない今「米国も事情は理解している」と言いぶりを変えた。
給油の意義は同盟の死活問題から、首相の気まぐれに左右される問題まで目まぐるしく変転を重ねた。日米同盟の強度が試されている。=つづく
毎日新聞 2007年10月20日 東京朝刊
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