★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK43 > 370.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20071019-01-0901.html
2007年10月19日 ビデオニュース・ドットコム
ゲスト:福山哲郎氏(参議院議員)
参院で主導権を握った民主党は、すでに6本の法案と11本の質問主意書を提出し、国政調査権を盾に、政府・自民党への攻勢を強めている。今国会で最大の焦点とみられていたテロ特措法延長問題も、空母キティホークへの給油をめぐる疑惑などが持ち上がり、政府与党はさらに窮地に追い込まれる展開となっている。まさに民主党は絶好調だったが、予算委員会でテロ特措法の審議がまさに始まろうとする直前、民主党の小沢一郎代表が、10月10日発売の月刊誌『世界』に寄稿した論文が、大きな物議を醸している。
その論文で小沢氏は、民主党が政権をとれば、国連中心主義の立場から、アフガニスタンの治安維持軍に自衛隊を参加させる意思を表明した。小沢氏の主張では、国連決議でオーソライズされた平和活動に参加することは、たとえ武力行使を伴ったとしても憲法に抵触しない、というもの。しかし、この主張が、自衛目的以外の武力行使を排除したこれまでの日本政府の憲法解釈から大きく飛躍したものであることは、誰の目にも明らかだ。
小沢氏の論文が、テロ特措法の延長に反対するばかりで、対案を出さないとの批判をかわす目的で出されたことは理解できる。しかし、民主党が政権をとれば、国連決議があれば武力行使にも参加するとまで踏み込んだことに対しては、民主党内部からも戸惑いの声が上がっている。民主党有利で進むはずだった今国会も、下手をするとこの論文ひとつで民主党が守勢に立たされる可能性も否定できない。また、党内にさまざまな意見を抱える民主党にとっては、これが分裂の火種になる可能性もある。
しかし、参院の政策責任者として、政府を追い詰める先頭に立つ民主党の福山哲郎氏は、政権獲得が見えてきたこの時期だからこそ、あえて民主党内部に対して、小沢氏はこの論文を突きつけたのではないかと読み解く。民主党が抱えている矛盾や内部対立、特に安全保障政策での不一致は、民主党が政権についた際には大きな枷になりかねない。あえて今の時期に各議員に「党の方針に従えるかどうか?」を問い、解散総選挙前に覚悟を求めたのではないかと語る。
実際、小沢氏は10日の記者会見で、論文の内容は党の方針と一致しており、その方針がいやな議員は「離党する以外ない」とまで言いきっている。
福山氏はまた、小沢論文は、小沢氏が次の選挙に自身の政治生命をすべてかけていることの表れではないかとも言う。40年に及ぶ小沢氏の政治生活の中で、最後に自分が理想とする国家像の実現をあの論文に託したと見ることもできる。
週明けからはじまる参議院での国会論戦を前に、参院民主党のキーマン福山氏をゲストに、小沢論文の衝撃や民主党の今後の国会運営などを議論した。
小沢論文の真意
神保:政局的には民主党が有利だったはずだ。それにもかかわらず、ISAF(国際治安支援部隊)への参加というアンポピュラーな側に立って、「政権を取ったらやりたい」と言ってしまった。これは、それが嫌なら選挙で民主党に投票しなければいいと言っているに等しい。小沢氏の真意は何か?
福山:小沢氏は、政治は生活であるとし、障害者自立支援法の見直しや、肝炎対策などの法案を出すという話をしている。参議院で過半数を持っているからこそ、一方でそういうスタンスを取りながら、もう一方で、今まで無原則だった日本の外交安全保障政策により大きな楔が打ち込めると考えたのではないか。
自民党の大幹事長の時でもできなかったことが、今の状況ならできると小沢氏は判断し、日本のパラダイムや国民の意識を変えていこうと大きなボールを投げたということではないか。
宮台:アメリカの後追いのような、主権国家として恥さらしのような行動はしないと言ったときに、「それなら、何もしないの?」という川端氏の論文のような意見が出ることを小沢氏は予想していたのではないか。
それに対して「更にリスクの高いことをする」と言わないと、小沢氏は自分の立場を正当化できなかったということではないのか。
福山:小沢氏は意図的に論文を出したと思う。
テロ新法が政府・与党から提出されたときに、民主党はテロに対して何もしないのか、対案を出すべきだと批判が来るだろう。そこで党内の議論をまとめようとすると、何ができて、何ができないのか、様々な意見が出ることでマスコミの餌食になってしまう。そうなる前に、この時期に自身の意思を示しておこうというのが小沢氏の意図ではないか。
ただ戦闘部隊を送るというのではなく、物資の運搬や野戦病院を含めて、原理原則でここまではできるということを明確にした上で、現実には主体的判断をするだろう。その原則論について、自身の求心力のあるうちに楔を打ち込むのが小沢氏の意図だったのではないか。
民主党に死角はないか
神保:代表である小沢氏の意思が党内で独走しているように見える。今回の論文の中の主張も、党内の意思決定プロセスを経た形跡がない。民主党はその状態で大丈夫なのか。
結局小沢氏はガラガラポンが目標なのであって、民主党で政権を取ることではないのではないか、のような、小沢氏に対する疑心暗鬼が生まれているのではないか。
福山:多少唐突な感はあったが、小沢氏は党内の意思決定のプロセスは維持したまま物事を進めている。
小沢代表の意向を確認して物事を進めようという流れもあるが、小沢氏が代表なのだから当たり前の話だ。今までの民主党のタガが実は緩すぎた。それが、小沢氏が代表になったことで締まった。
宮台:小沢氏のアイデンティティーが強烈になったので、今の民主党がどういう方向に行こうとしているのかが分かりやすくなった。しかし、民主党の党としてのアイデンティティーが変わったわけではない。そのギャップを埋めて、民主党のアイデンティティーになっていかないと、民主党は長続きしないのではないか。
福山:その危惧はその通りだと思う。小沢氏が未来永劫に民主党の代表を続けるわけではない。
もし、われわれが政権を取ったときには、小沢氏が代表を辞めた後も、政権を取った小沢総理という枠組みを維持することになる。そのときに党のアイデンティティーが追いついていないと保たなくなる。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK43掲示板
フォローアップ: