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時代を読む:壊れた自民党、早期の総選挙で民意を問え
http://mainichi.jp/select/biz/shima/news/20071016org00m020044000c.html
政権を投げ出す姿は、過去の戦後政治史の中で何度か見てきたが、9月12日、所信表明を行った後に突如、辞任表明した安倍晋三首相の行動は前代未聞であり、異常とさえ言える。大多数の国民は“唖然(あぜん)・呆然(ぼうぜん)”とし理解不能の感覚に襲われ、政府与党の自民・公明や野党の議員をはじめ、恐らく国際社会の首脳たちも"不可解な日本"と仰天したことだろう。
参院選の大敗北後、約1カ月かけて練った第2次安倍内閣の布陣は一見すると手堅く感じられたものの、組閣直後から閣僚や党幹部の不祥事が相次ぎ、再び安倍首相のリーダーシップや日本を引っ張る一国の宰相としての資質までが問われ始めていた。
それにしても、一国の首相が後先の政治シナリオや海外の反応などを考慮することなく政権を投げ出す姿は、政治の常識からしても考えられないことだ。内閣の要におり、最近は「事実上の総理のようだ」とささやかれていた与謝野馨官房長官ですら、退陣会見の直前に聞かされただけというから驚きだ。安倍首相には結局、本心を明かし真に相談する友人や参謀がいなかったということなのだろう。
しかし国内のみならず、国家としてもこの後始末をどうつけて国際社会の信用を取り戻していくかが、今後の最大の課題と言える。まず与党は、次の総理、総裁をどんな手順・手続きで選び国政の方向を決めるのか。美しい国づくり、戦後レジームからの脱却といった思想・方針をそのまま継承するのか。また小泉・安倍路線と言われた構造改革路線を引き継ぐのか否か。もし今回の退陣を政局・政変的な動きに利用し、後任に麻生太郎幹事長らをそそくさと選ぶようであれば、日本の総理の椅子はますます軽いものとなるに違いない。ここはきちんと国民の関心事である年金、格差、地方、中小企業、消費税などの経済、財政政策やテロ特措法、アジア外交などの外交方針などについても国民の前で徹底的に議論したうえで選ぶべきだろう。そしてできる限り早い時期に総選挙を行い、与野党がマニフェストを提示して政権選択を国民に問うことが政治の責任ではないか。
いま国の内外を見渡すと、アメリカの一極支配が終わり始め、アメリカ住宅問題から世界的な金融危機もささやかれている。また国内では構造改革の先を考えた日本経済の再成長のエンジンを見つけ、国民が感じている将来への生活の不安を静めることが緊急テーマだ。いまやこうなると、一挙に政界再編をも視野に入れた大きな政治的エネルギーや志、胆力を政治家たちに見せてもらいたいものだ。まさに"自民党は壊れた"が、日本までを壊さないように、野党も大きな政治を志してほしい。(9月12日執筆)。[フォーブス日本版2007年11月号より転載]
2007年10月16日
嶌 信彦(しま・のぶひこ)
1942年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。67年毎日新聞入社。経済部、ワシントン特派員を経て、87年に退社、フリーランスのジャーナリストとなる。現在、TBSテレビ「朝ズバッ!」(木曜5時30分)BS-i「榊原・嶌のグローバルナビ」(土曜8時30分)TBSラジオ「嶌信彦のエネルギッシュトーク」(日曜23時)「ニュースズームアップ」(水曜7時)のレギュラーほか、「ニュース23」などにも出演。「フォーブス日本版」「財界」に連載中。
白鴎大学経営学部教授、慶応大学メディアコム講師を兼任。
主な著書は「ニュースキャスターたちの24時間」(講談社α文庫)、「自分を活かす構想力」(小学館文庫)、「首脳外交――先進国サミットの裏面史」(文春新書)、「一筆入魂」(財界研究所)、「儲かる感性」(小学館)など。
NPO法人「日本ウズベキスタン協会(03-3593-1400)」会長も兼務。入会金2000円、年会費5000円。
日本ウズベキスタン協会のサイトはhttp://homepage2.nifty.com/silkroad-uzbek/index.html
Eメールはjp-uzbeku@nifty.com
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