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今国会最大の争点である海上給油活動継続問題をめぐり、衆院予算委員会で攻守ところを変えたような憲法論議が行われている。
政府・与党が野党党首の自衛隊派遣論に対し、「憲法違反につながる」とかみついているのだ。
火種を提供したのは民主党の小沢一郎代表だ。月刊誌の論文で、自分が政権を取ったらアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に自衛隊を参加させると明言した。
国連決議に基づく活動は日本の主権に基づく行為とは区別される。仮に武力行使を含んでも「国権の発動たる武力行使」を禁じる憲法九条には抵触しない。そう主張している。
海外での武力行使を認めるこの憲法解釈を私たちは到底容認できない。たとえ国連決議があっても、平和憲法の精神に照らせば自衛隊が海外で血を流すことは許されないはずだ。
政府も自衛隊が海外で武力を行使するのは憲法違反だとの立場をとっている。だからこそ、陸上自衛隊をイラクに派遣する際、当時の小泉純一郎首相は「自衛隊の行くところは非戦闘地域」と強弁したのだ。
石破茂防衛相も小沢論文を「武力行使を伴うISAFへの参加は認められない」と批判した。
ただ論文が給油活動が抱える問題の本質を突いている面は否定できない。
政府は、給油活動はテロ活動の抑止を目指す国際社会の取り組みに協力する国際貢献だと説明する。これに対し、実態は米軍への支援で集団的自衛権の行使に当たり、憲法に反しているというのが小沢氏の指摘だ。
福田康夫首相は予算委員会で、海上自衛隊は非戦闘地域に限って行動し、後方支援で武力行使をしないのだから憲法に違反しないと反論した。
政府はこの見解にのっとり、十一月一日で期限が切れる現行のテロ対策特別措置法に代わる新法案を来週にも国会に提出する予定でいる。
だが、後方支援が軍事活動の一環だというのはむしろ常識だ。
集団的自衛権行使の問題を含め、自衛隊の海外派遣と憲法との関係をめぐる政府の説明は、およそ説得力を持っているとは言えない。
一九九一年の湾岸戦争の際、日本は百三十億ドルもの巨費を拠出しながら国際社会から評価を得られなかった。
これがトラウマ(心的外傷)となり、政府は以後、国連平和維持活動(PKO)法を作り、特別措置法も成立させて自衛隊を海外に送り出してきた。
この間、強引な解釈改憲を重ねてきたことは否定できまい。新法案をめぐる国会論議が再び原理原則をないがしろにしたものになってはいけない。
あらためて憲法という原点に立ち返る−。それが小沢論文の問題提起だと受け止めることもできよう。
10月11日
社説 海上給油活動 憲法の原点に返る時だ (北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/54328.html
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