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基地を拠点に異様な巨大道路群
岩国全体が一大軍事要塞
2007年11月2日付
米空母艦載機部隊移転をめぐって注目される岩国市では、岩国基地の沖合1000b拡張、愛宕山の米軍住宅化問題と同時に、基地を中心とした大規模な道路網整備が急激に進行している。市内を南北に縦断する南バイパスと、それに連結し広島県大竹市にまで到達する岩国大竹道路、愛宕山のふもとを通り市内を東西に縦断する牛野谷線・門前線、岩国インターチェンジや新幹線駅に直行するバイパスなど、実際にあらわれた姿の大規模さに、市民は驚き、不気味さを感じている。すべての道路は岩国基地と愛宕山を起点とした計画になっている。市民のなかでは、艦載機部隊移転だけではなく、岩国市が一大軍事要塞都市に改造されることに危惧(ぐ)が強まっている。
総事業費は900億円超す 主要道路だけでも
異常な都市改造について初めに危惧の声を上げたのは、米軍住宅転用が大問題となっている愛宕山周辺地域の住民たちだった。愛宕山事業は、「基地の沖合移設」と良好な住宅開発などと銘打って850億円もつぎ込んだが、基地沖合拡張の土砂搬出が終わったとたんに大赤字が叫ばれ始めた。約250億円と試算される赤字の責任は、「見通しが甘かった」の一言でかたづけられた。二井県政は「赤字解消策」として、国への売却と米軍住宅転用に向け動いている。
地域住民や市民のなかでは、「初めから米軍住宅にするつもりだった」「基地増強を計画した上で、市民を騙したんだ」と憤りが強まっている。同時に、環境整備として進められてきた道路建設は、「米軍のためじゃないか」「これも計算済みだろう」の声が広がった。
愛宕山のふもとでは現在、県道牛野谷線と門前線の工事が急ピッチで進んでいる【地図参照】。これは2008年春に暫定供用が開始される予定の国道188号・岩国南バイパスの開通に合わせたものだ。牛野谷線は、県道岩国玖珂線(欽明路道路)から牛野谷地区を縦断、南バイパスの牛野谷IC(インターチェンジ)と交差する。門前線は、そこから国道188号までをつなぐ計画。100軒近いといわれる家を立ち退きさせて、住宅密集地のどまんなかをぶち抜いている。
住民が驚いているのが、その規模の大きさで、牛野谷線が全幅22・5b、門前線が19bもある。現計画では2車線だが、幅が広くとられた植樹帯(1・5b)と歩道(4b)を狭めればあっという間に広大な4車線道路ができあがる。計画を知っていた自治会関係者でさえ、「こんなに大きい道になるとは想像もしていなかった」というほどのものだ。
さらに、心配されているのが188号線に達した門前線の延長上には、岩国基地本体と専用橋(フリーダムブリッジ)で連結された米軍家族住宅地があることだ。牛野谷ICでは、愛宕山から下ってくる市道も合流している。この道路も大規模な工事中で、「188号をまたぐ高架橋をかければ、愛宕山の米軍があっという間に基地に入れる仕掛けになる」と語られている。また、牛野谷・門前線だけではなく、愛宕山のどまんなかを抜けて188号線に出る牛野谷尾津線も都市計画には入っている。幅員20bの4車線道路になる予定で、土砂搬出のベルトコンベアーが設置されていた位置に出てくるのだといわれる。現在は、愛宕山事業が中止になり、「道路計画も休止している」とされているが、岩国玖珂線(欽明路道路)からの入り口と国道188号線の出口だけは、確保されている。
岩国市内では近年、牛野谷、門前線だけでなく国や県、市が関わって、国道やバイパス、都市計画道路など大規模な整備が着着と進行中。何10年も前から他市と比べて、極端に交通の便が悪いことが問題になっていたが、市民のなかでは、「ここ数年で気づかないうちにすごい道路があちこちにでき始めた」と驚かれている。
岩国南バイパスが中心
道路網整備のなかで、中心になっているのが、国土交通省が進めてきた岩国南バイパス事業だ。南バイパスは、藤生町を起点として愛宕山の地下をトンネルで貫き、中心地の山手まで市内を縦断。広島県大竹市小方1丁目までつながる予定の岩国大竹道路と接続する。地域高規格道路「岩国大竹道路」は、山陽自動車道大竹ICや広島岩国道路、柳井市(山口県)で整備中の柳井バイパスなどとも将来的には連結する計画で、南バイパスはその一部分とされている。
08年春に上下2車線で供用が開始される予定だが、本来の計画では上下4車線の本体に、1車線ずつの側道が左右につくという大掛かりなもの。現在「大きい」と市民の間で話題になっている門前川にかかる橋梁は、構想のなかでは側道にすぎず、愛宕山にもう1本のトンネルを掘る計画になっている。国交省岩国国道維持出張所は、「今後の交通量などを見ながら、全計画を実行するかしないかが決まる」としている。
主な県道では、岩国南バイパスを起点として県道岩国玖珂線までの3・7`を結ぶ県道平田バイパスが2005年8月に完成。計画では、名称変更などがあるものの、さらに延びて山陽新幹線新岩国駅や山陽自動車道岩国ICにまで直通する予定だ。現状2車線だが、「将来的には4車線にもできる」といわれている。また同じ05年には、岩国IC付近の国道2号線から、山間部を抜け、和木町までを結ぶ県道岩国大竹線に、「関関バイパス」も開通した。これによって、混雑する国道188線や2号線、さらに計画中の岩国大竹道路を通らなくても、南岩国付近から広島県に抜ける道が確保されたこととなった。
市が担当している部分では、岩国駅裏側から基地正面を通り、南バイパスを経由して、平田バイパスの起点付近までつながる予定の、昭和町藤生線が建設中。これは、幅員18b、上下4車線の大規模な道路で、現在は基地正門にぶちあたりストップしているが、「やる気になれば残りの区間は一気にできる」のだといわれている。その他にも市内各地で県道、市道の拡幅、整備工事が進んでいる。
事業費の関係を見ても、その規模の大きさは明らかとなっている。全長4・9`bの岩国南バイパスが総事業費(概算)480億円で、全長1一・5`bの牛野谷線が約74億円、980bの門前線が約60億円。全長3`bの関関バイパスが100億円、平田バイパスが107億円、昭和町藤生線は、駅裏から基地正面ゲート前までだけで約80億円を費やしている。主要な道路だけを見ても、総事業費は900億円を超える莫大なものとなっている。
米軍が自在に動く体制
これらの道路網の中心には、米軍岩国基地と愛宕山が位置している。南北には、南バイパスと国道188号線、昭和町藤生線3本があり東西には平田バイパスと門前線・牛野谷線がある。すべてがつながれば、基地から大量のコンテナ輸送が可能な岩国駅、岩国港、高速道路にアクセスでき、広島の秋月弾薬庫からも大規模な輸送がお手の物となる。その上に、人間の緊急な移動を可能にする新幹線までつながっており、米軍が自由自在に動ける体制となる。
岩国市内の年寄りの間では、近年の道路整備を見て、新幹線駅ができる当時に急浮上し、その後いつの間にか消えたといわれる、「陸・海・空」の一大都市改造計画を思い起こす人も多い。「当時の計画に手を加え、反発がでないよう、できるところからつくってきたのではないか」という人もいる。また、硬い岩石に覆われた愛宕山の地下には戦時中、防空壕や旧日本軍の飛行機部品製造工場があった。現在、入り口はふさがれているものの、中には縦横無尽にトンネルが残っているとされ、「米軍はそれも利用するつもりではないだろうか」という話もされている。
当時を知る老人の1人は、「艦載機部隊移転は、岩国基地を沖合拡張し極東最大の基地にして、市内を軍事要塞化する1部分ではないか。米軍と国は周到にそれを準備してきた。だから、市庁舎の予算をぶち切ったり、力ずくで米軍再編の容認を迫ったりしているのだろう。米軍再編問題は、騒音とか、飛行機の数が増えるだけの問題ではない」と話した。
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