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２００７年１１月９日発行 十八号
９条改憲阻止の会
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歴史の流れとして感受できること、あるいは予感すること
僕の住んでいる街にも銀杏並木がある。以前はさして気にかけたりなんかしなかったのだが、国会前でよく眺めていたためか、ちょっとした愛着を感じるようになった。散歩の折に急に色模様を濃くしてきた銀杏を見ながら、国会前の銀杏はどうなっているだろうと思った。そういえば、若かったころ東大の銀杏を切り倒しバリケードに使えないかと策を練ったことを思い出す。今、思うと冷や汗ものだし、やらなくて良かったと思うが、時にあっとさけびたくなることも想起してしまう。ところで、国会前の銀杏は数々の怪談（会談）を見てきたのであろうが、今回の会談をどう思っていたのだろうか。
新聞や週刊誌は例によって、裏話を含めておもしろい（？）話を掲載しているが、僕は日本の政治家たちが歴史の流れの中で何かを予感して震えている姿を感じた。勝手な想像ではあるが。かつて吉本隆明は１９７２年を世界史的転換の年と言っていたが、来年はそれに匹敵する年になるという予感もする。直観としてそう思うのであるが、福田康夫にしても小沢一郎にしてもその予感におののいているところがあるのではないか。日本はその転換にどのように立ち向かうのか、どのように舵取りをするのか、有効に対応できる構想は描けるか、そんな思いで苦悩しているのではないのか。
給油の継続問題がこれほど紛糾しているのは世界的に威信（幻想力）を失っていくアメリカの明日と日本の安全保障の明日ということが象徴されているからではないか。アメリカの世界戦略に身を委ね、憲法（９条）の関係で調整（自己主張）をするという戦後の日本の国家戦略は間違いなく転換を促されるに違いない。どのような始まりがあるか。あるいはどのような契機がそこに介在するのかは定かではないにしても。アメリカの世界戦略は変わる。世界の護衛官を自認してきた幻想は自己の内部でも、他者のうちでも解体しはじめるのは避けられない。そして、それは戦後の日本人が天皇という存在からアメリカに移し変えていた安心感が解体することを意味する。
アメリカからアジアへというのは誰しもが描く構想であり、イメージであるだろう。それは戦前の軍事力を背景にしたアジアでの地位も、戦後の経済力を背景にした地位も低下し続けて行く中での関係であることを誰も考えない。アジアでの日本の地位も関係も過去の歴史のブラインドがかかったままだ。何を持ってアジアでの関係を構築するのか。１８６８年が始まりであった歴史を終わらせていくための緊張と震えなしに、その構想もイメージも描けないと思う。
僕らは「憲法９条」をその根底にすえて出発しようとしてきた。その意味ではアメリカの世界戦略に対する自己主張という抵抗のよりどころから、もっと前にでなければならない。世界の転換を可能にする構想として憲法９条を生かすことだ。「本気かね」というのがかつての我が友たちの向けてくる視線だが、僕らが感じている予感のうちでは「本気さ」と言い返せるのではないか。 （文責 三上治）
関連投稿：
福田・小沢会談は永田町をさまよった幻であったが（三上治）
http://www.asyura2.com/07/senkyo43/msg/1179.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 11 月 09 日
関連情報：
『憲法の核心は権力の問題である 九条改憲阻止に向けて』
三上治／著
出版社名 御茶の水書房 (ISBN：978-4-275-00532-8)
発行年月 2007年06月
本の内容
著者独自の「主権論」、「権力論」の思想的考察を視軸にして「自民党新憲法草案」の歴史的位置とその特徴を析出する。
目次
憲法第九条論（非戦条項（第九条）の改定
自民党新憲法草案の眼目 ほか）
主権の考察（国家主権と国民の主権
主権在民とは何か ほか）
憲法の核心は権力の問題である（壱）（むかしとった杵柄
危機論と歴史の段階について ほか）
憲法の核心は権力の問題である（弐）（改めて憲法のことを問う
一行の法律を書き換えること ほか）
憲法の核心は権力の問題である（参）（国会前に足を運ぶ
今、何故、改憲なのか ほか）
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