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2007.11.5(その1)
森田実の言わねばならぬ[706]
平和・自立・調和の日本をつくるために【501】
小沢代表辞任と民主党の課題[1]
小沢一郎民主党代表の記者会見(11月4日)についてのコメント
「政治を為すは猶沐するがごとし」(韓非子)
[多少の犠牲を払っても、人民の利益のためになすべきことを実行しなければならない。民主党は小沢一郎代表の辞職を素直に受け入れ、乗り越えていかなければならない]
11月4日、私は多くの新聞社、通信社、放送局から取材を受けた。以下は、その時に私が語ったことである。
[1]小沢一郎氏の代表辞職は当然である。
第一に、小沢氏は民主党の代表として福田首相との約束を守ることができなかったことについて、党代表を辞任しなければならない。
第二に、小沢代表の提案は民主党役員会において拒否された。代表自らが任命した役員から支持されなかったことについて、党代表として責任をとり辞職するのは当然である。
第三に、民主党全体の支持を混乱させた。小沢代表は混乱の責任をとるべきである。
[2]小沢一郎氏の記者会見を聞いて、いくつか看過できない矛盾があると感じた。
第一に、反省がない。今回の小沢一郎氏の行動は、(1)独断専行(党内民主主義無視。すべて代表一人で決めて行動した)、(2)密室談合との批判を受けたこと(福田首相と小沢代表の他に両党幹部を同席させることによって疑心暗鬼を生まないよう配慮すべきだった)、(3)公約違反との批判を受けたこと(小沢代表も民主党も選挙による政権交代を主張してきた。ところが小沢氏は政権交代と反対の「大連立」に方向転換した。これは選挙公約に違反しているとして多くの国民の批判を受けた)――以上の3点についての反省がなかったのは残念である。
第二に、日本の安全保障政策の転換の問題である。具体的には、国連総会と国連安保理事会の決議に従うようにするとの安全保障政策の転換である。小沢氏はこれを自民党との大連立の条件にしたが、国連の決議を日本国憲法の上におくような国連絶対主義は、国民レベルではほとんど議論されていない。民主党の党議決定にもなっていない。先の参院選の公約にもなっていない。これは小沢代表一人の考え方である。これを実行するために大連立内閣をつくるというのは、憲法第9条違反であるだけでなく、民主政治の原則にも反している。 第三に、小沢氏はマスコミを厳しく批判した。これはマスコミが政治権力と一体になっている状況を批判したもので、当然である。日本のマスコミは政治権力の手先化している。だが同時に、密室談合的な党首会談が疑心暗鬼を生み出したことについては反省が必要である。
[3]小沢一郎氏は去る7月29日の参院選の勝利によって民主党の英雄になり、強大な指導力をもつに至った。多くの民主党議員や党員から崇拝される大リーダーになった。この小沢代表が代表の座を去ることを危惧する空気が党内にあるが、一人の独裁的なリーダーに頼りつづけることは、民主党の成長にとってマイナスになりつつあった。民主党は「脱小沢時代」への移行期に入っていたのである。この交代期が早まっやのである。
民主党執行部は、国民に対して辞任表明をした小沢氏を慰留しつづけるような愚かで子供じみたことをしてはならない。
民主党は、直ちに党規約に従って新体制をつくるための手続きを開始すべきである。いたずらに慰留に時間を費やすべきではない。混乱を長引かせ、民主党のイメージダウンを広げるだけである。直ちに両院議員総会を開催し、選挙によって新代表を選ぶべきである。民主党代表になって次の首相を狙う意欲の持ち主は、こぞって党代表選挙に立候補すべきである。
小沢氏の辞任を新しい民主党づくりへの第一歩として前向きに捉えるよう希望したい。
小沢さんはこの1年7カ月、党代表として本当によくやられたと思う。とくに参院選の民主党大勝は小沢代表の努力の賜物である。小沢代表の功績は正当に評価すべきである。小沢氏は偉大な民主党代表だった。民主党の中興の祖と言って過言ではない。人間は大成功のあとで躓く性格をもっている。小沢氏は大勝利のあと大失敗をした。自らの判断ミスとはいえ、福田首相との大連合協議で躓いたことは本当に惜しまれる。何らかの迷いがあったのかもしれないが、次の総選挙での政権交代に真っ直ぐに進んでほしかった。
「小沢さん本当にご苦労さんでした」と言いたい。いま民主党員がなすべきことは「小沢時代を超えて」たくましく成長することである。それは可能である。
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2007.11.5(その2)
森田実の言わねばならぬ[707]
平和・自立・調和の日本をつくるために【502】
小沢代表辞任と民主党の課題[2]
民主党執行部にもの申す――小沢代表を慰留するのはやめるべきである
「人を恃(たの)むは自らを恃むに如かず」(韓非子)
[民主党は「小沢時代を超えて」前進しなければならない。すべての民主党員よ、自立せよ!]
辞意表明した小沢代表を民主党執行部は慰留するという。だが、これは大きな間違いである。政治リーダーが国民に向かって辞意表明したら、素直に受け入れるべきである。慰留は非礼であるだけでなく、慰留する側の存在感を低下させる。民主党幹部は自らを小さくするようなことをしてはならない。鳩山幹事長は「辞表は受け取ったが受理しない」と語ったが、いつまでも慰留するなどということはしてはならない。
小沢氏は潔癖で誇り高い政治家である。いったん出した辞表を引っ込めるような小人ではない。いつまでも慰留するようなことをすれば、小沢氏を傷つけることになる。
これは、一部で噂されていることで、実際にあるとは思えないことだが、小沢氏に辞表を撤回してもらうために、いったん役員会で否決した自民党との大連立を容認するようなことをすれば、民主党は国民の支持を決定的に失うだろう。小沢氏の方も辞表を使って政治的取引をしたことになってしまう。美しい話ではない。こんなことを、誇り高い小沢氏に強要するような愚かなことをしてはならぬ。
それ以上に、小沢氏を慰留しつづける執行部が、小沢以後の党運営に自信がないのではないかと、国民からは見られてしまう。小沢一郎氏が有能な政治家であることは明らかだが、後継者をわざわざ小さく見せるようなことはすべきではない。慰留は24時間以上してはならない。11月6日(火)からは新執行部人事に取りかかるべきである。
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2007.11.6(その1)
森田実の言わねばならぬ[709]
平和・自立・調和の日本をつくるために【504】
小沢代表辞任と民主党の課題[3]
民主党内部からの訴え――民主党は政党政治の原点を見失ってはならない。早く新体制をつくれ!
「世の中には善人とか悪人とかがあるわけでは、おそらく、あるまい。ただ場合によって善人になったり、悪人になったりするだけである」(アンリ・ド・レニエ)
[小沢氏は参院選に勝利するまでは善人になっていた。しかし今は……少なくとも「善」の精神を失っているのではないか、と私は心配している。小沢氏は大成功のあとに生ずる旺盛な権力欲が抑えきれなったのかもしれない]
旧知の民主党員A氏から電話をいただいた。
そこで聞いたことは驚くべき異常なことだった。いま民主党内で何が起きているかを知っていただくために、あえて以下に記す。それは一言で言えばこういうことだった。
「小沢代表の“ご乱心”が全党に波及し、党全体が政治家としてもつべき冷静な判断力を失ってしまっている。小沢代表の“乱心”に振り回され、議会制民主主義の原点を見失い、右往左往している。これが11月上旬現在の民主党の風景です。本当に残念です」
この背景に何があるかを聞いたところ、彼は次のように答えた。
「第一は、小沢氏のさらなる“乱心”(=民主党分裂)に対する恐怖です。民主党内で異常な噂が流布されています。それは、“民主党内の小沢派は衆院議員約30名、参院議員約20名。この約50名が小沢氏とともに民主党を離脱し、昔の自由党に戻り、自公連立政権に参画する”という噂です。民主党内の小沢派の結束は固い。小沢氏が命令すれば何でもする議員ばかりです。小沢派による民主党分裂工作を阻止するためには、小沢氏の“怒り”を沈静化するしか方策はない、と皆考えています。今はひたすら小沢氏にひれ伏し慰留するしか方策はない、と皆が考えているのです」
話は極端に聞こえるかもしれないが、旧知の民主党員の実際の話である。彼も疑心暗鬼の真っ只中にいるが、この話のあと次のようにつけ加えた。
「小沢氏は、辞表を撤回する条件として、民主党全議員の無条件の忠誠の誓いを求めた。おそらく玉虫色の決着になるが、辞任撤回後の小沢氏がより強大な指導力をもつことは確実です。これが民主党のためによいことかどうか、今の私には判断ができません」
民主党議員の多くは、“小沢氏に頼るしか民主党の将来はない”との異常な観念の虜(とりこ)になっているようである。この観念の虜から脱け出ることができないかぎり民主党の未来はない、と私は心配している。 小沢氏は福田首相との密室会談を行って、政界全体を大騒動に巻き込み、疑心暗鬼の渦に落とし込んだ。いまは、この疑心暗鬼の渦はとくに民主党をより激しく巻き込んでいる。
A氏は言った――「小沢氏は自らがつくり出した政界(いまはとくに民主党)内の疑心暗鬼を一人楽しんで眺めているのではないかという気がします」。
彼は小沢氏に近くで生きてきた人である。これが真実だとすると困ったことである。権力は人間の常識を鈍くするのであろう。
民主党の大多数の議員が、小沢一郎という民主党の「ガリバーのごとき存在」の怒りを収めるため、「慰留と恭順」の大合唱に加わっているように見える。このままでは民主党は「小沢乱心事件」が沈静化したあとも「殿ご乱心」の恐怖に脅えつづけることになる。小沢氏が参院選時の考えに戻ることを全党員が期待している。
民主党はこの「悪の循環」を絶たねばならぬ。「ガリバー」から離れなければならない。すべての民主党員が理性を取り戻さなければならぬ。
小沢氏がどうしても小沢チルドレンを率いて自民党に戻るというなら、それはもう止めようがないかもしれない。私はそんなことは起こらないと信じているが、どうしようもないこともある。これも国民の判断を待つしかない。また、小沢一郎氏の“鎮魂”を待つしかないだろう。民主党は、政党政治の原点に戻り、政権交代を通じて国民のための政治を実現するために努力しつづけるしか道はないのである。
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2007.11.6(その2)
森田実の言わねばならぬ[710]
平和・自立・調和の日本をつくるために【505】
小沢代表辞任と民主党の課題[4]
民主党よ、目を覚ませ! 理性を取り戻せ!――政治家としての誇りを失ってはならない。いま民主党自身がどんなに恥ずべきことをしているか、よく考えよ。「小沢慰留」は醜悪な茶番劇ではないのか
「この世の中で一番むずかしいことは自分自身を知ることである」(ターレス)
辞意表明した小沢民主党代表への民主党全体の「慰留」大合唱は、醜悪な茶番劇であることに民主党員は一刻も早く気づかなければならない。
さもなければ、民主党は国民の信用を失うであろう。
小沢代表の福田首相への接近と「大連合構想」の推進は、7.29参院選で民主党を支持した国民への裏切りであった。選挙による政権交代=民主党政権の樹立を訴えて選挙戦の先頭に立って戦った小沢代表自身が、わずか3カ月後に「選挙による政権交代」の理想を放棄し、自民党との大連立を志向するというのは、どう好意的に考えたとしても国民への裏切り以外の何物でもない。小沢氏は自民党との大連立が民主党役員会で支持されなかったとして党代表の辞意を表明した。しかし、いま民主党内では異常な空気の中で、慰留工作が展開中だ。小沢氏も慰留に応ずる姿勢を見せ始めているとの報道もある。40年近い政治経歴をもつ小沢代表(65歳)が、あたかも民主党全体の慰留工作の拡大を待っているかのごとき姿勢を見せているとすれば、理解しがたいことである。実力ある指導的政治家が「辞意表明」を利用して、独裁的権力を強めようとすることは、フェアな方法ではない。小沢氏に政治指導者としての誇りを捨てないことを期待するのはもはや無意味なことなのだろうか。
それにしても情けないのは、民主党幹部のうろたえた誇りなき対応である。民主党全体が「小沢さん、辞めないでください」とすがりつく姿は悲惨である。この背景にあるのは小沢新党の結成と分裂への恐怖である。政治家はこのような茶番劇をしてはならない。
民主党は健全な社会常識と規範を失ってはならない。小沢代表の辞表を一刻も早く認め、党規約に従って新党首を選出して再出発すべきである。民主党は「上意下達」の独裁的な政党になってはならない。そのようなやり方がまかり通るようならば、民主党に未来はない。民主党は「開かれた政党」でなければならない。
重ねて強調したい。民主党の全議員は、国民に選ばれた政治家としての自尊心と自立心を失ってはならない。政治リーダーは国民に選ばれた「選良」として、決して卑しいことをなすべきではない。小沢民主党代表は、先の参院選において「選挙による政権交代」を国民に公約した。この公約を裏切って「大連立」に加わろうとしたのは国民に対する重大な裏切り行為である。民主党はこのことを深く自覚すべきだ。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03827.HTML
2007.11.6(その3)
森田実の言わねばならぬ[711]
平和・自立・調和の日本をつくるために【506】
小沢代表辞任と民主党の課題[5]
なぜ、小沢一郎氏を評価してきた私が、いま、小沢一郎を批判するのか
「二葉にして絶たざれば斧を用うるに至る」(『六韜』)
[大連立は日本をつぶす。いま阻止しないと日本国民は不幸になる]
古い友人のM氏から「森田さんの小沢さんに対する姿勢を教えてください」との電話があった。私は次のように答えた。
《私は2006年4月の民主党代表就任から最近まで、小沢一郎氏の政権交代をめざす政治活動を支持し応援してきた。小沢氏なら政権交代をやってくれるのではないかとの期待があったからだった。私は、私の言論活動の根底に、政権交代実現への強い願望をおいてきた。だが、ある時期から小沢氏批判を始めた。その時期は2007年10月上旬、月刊誌『世界』11月号が発売されたときからだった。小沢氏は『世界』11月号に「今こそ国際安全保障の原則確立を」という論文を寄稿した。この中で小沢氏は、アフガンのISAF(国際治安支援部隊)に自衛隊を参加させるという考えを述べていた。これは間違った考え方だと思う。
小沢氏は日本の安全保障政策の基本を国連におくべきだと考えているようである。国連決議があれば、自衛隊を日本の領土領海外へ派遣するというのである。国連第一主義である。これは、かなり問題があると思う。
小沢氏への批判を始めることを決意してから、しばらくは小沢氏の動きを観察した。小沢氏が、自らの持論は持論としてもちながら、これを封印して憲法第9条を重視する民主党の立場に同調することを期待したのである。しかし、観察をつづけるうちに小沢氏は封印しつづけないのではないかという思いが強くなった。
日本の安全保障政策の基本については、(1)憲法第9条、(2)国連決議(小沢一郎)、(3)米国政府と一体化(自公連立政権)という3つの考え方がある。
いまの自公連立政権はアメリカ一辺倒である。これに対し小沢氏は国連一辺倒を主張している。私は憲法第9条が基本だと考えている。しかし、この立場に立つ政治家は意外なほど少ないのが現状である。 日本国憲法を無視したら民主政治は成り立たない。日本国憲法を第一義的に守ることが「法の支配」を確保することができる。小沢一郎氏が国連決議を日本国憲法の上位においていることは、法理論上は間違っていると思う。
小沢一郎氏が押しも押されぬ政界の大実力者になったとき、小沢氏は国連決議第一主義をとるだろう。だが、それはきわめて危険な選択である、というのが私の考えである。
自衛隊の活動範囲を日本の領土領海内部に制約するというのが、憲法第9条と自衛隊の存在とのぎりぎりの調和点である。これを無視して国連決議があれば、自衛隊を、世界のどこへでも派遣できるという解釈は間違っているだけでなく、きわめて危険な考え方である。
私の小沢氏批判は比較的穏やかなかたちで出発した。最初は憲法第9条こそが日本の安全保障政策が第一に尊重すべき原理原則であるとの主張を述べた。10月下旬のことだった。たとえ国連決議であろうと、日本の自衛隊の行動は日本国憲法第9条に従わなければならないというのが私の考えである。自衛隊の行動範囲は基本的に日本の領土領海内に限定すべきである。この視点から小沢国連第一主義の理論への批判を始めた。
つづいて、入ってきた情報は、刺激的なものだった。小沢一郎民主党代表が自民党との「大連立」政権を樹立する方向に向かうのではないか――というものだった。これは大変なことになった。大連立は、私が政治体制として最も警戒している「平成版大政翼賛体制」の成立であり、いままで支持してきた小沢一郎代表であっても、批判しなければならないと決意した。それから、諸々のルートで情報を集めてみたところ、「大連立」は本気だということがわかってきた。しかも、小沢氏の国連中心主義が「大連立」の支柱になることがわかってきた。
10月30日に福田首相と小沢一郎民主党代表との“密室”会談が始まったとき、いよいよ“小沢批判を始めなければならぬ”と決意した。
これが、私の小沢一郎批判に踏み切った経緯である。全国各地で小沢一郎代表を慕って一生懸命活動している「草の根一新会」の誠実な人々のことを考えると胸が痛むが、言論に生きる者の宿命から逃れるわけにはいかないと思う。知人からは「森田よ、いままで小沢一郎を支持したことの責任をとれ!」などときびしいご意見をいただくこともあるが、2007年7月29日の参院選までの小沢一郎は立派だったと私は思っている。今回大きな過ちを犯したが、過去の業績まで否定するのは公平ではないと思う。 これが、私の小沢批判に踏み切った経過と理由である。》
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07年11月6日(その4)
森田実の言わねばならぬ[712]
平和・自立・調和の日本をつくるために【507】
小沢辞任と民主党の課題[6]
小沢辞任表明についての各紙における私の談話を報告します
「人間にとっては、何でも思い通りになるということは、あまりよいことではない」(ヘラクレイトス、古代ギリシアの哲学者)
[私の言論を見守り、注意してくれている3人の友人、知人から、11月4日の小沢辞任表明に関する新聞各紙の取材に答えた私の談話を知らせるよう要請を受けました。以下のとおりです――森田実]
【1】朝日新聞(11月5日朝刊)
参院選の成功 おごりに
首相との事実上の約束を守れなかったのだから、責任をとるのは当然だ。ただ、会見を見ていて「小沢さんは分かってないなあ」と思った。国民が彼に不信を持つのは、「政権交代をする」と言い続けて参院選で支持を集めたのに、違う方法をとろうとしたから。これでは国民を欺くことになってしまう。そもそも首相と2人だけで会談したのはなぜか。「密室政治」「独断専行」と言れても仕方がない。
もしも党代表を辞めないまま政権が交代していれば、間違った人物が権力を持ってしまうところだった。もっとちゃんとやってくれると期待していたが、参院選の成功がおごりに転じた。英雄が失敗する典型的なパターンだ。
【2】毎日新聞(11月5日朝刊)
辞職は当然
辞意表明は当然だ。そもそも公約に掲げていない大連立や国連中心の安保論を、党内で議論さえせずに与党党首と勝手に約束する行為は、独断専行の「談合政治」だった。にもかかわらず、小沢氏には「選挙で政権交代を実現する」と訴えてきた有権者をだましたことへの反省もない。民主党にとって、小沢氏の辞任はマイナスではない。逆に一人の権力者に頼る現状から脱却する好機と言える。
【3】産経新聞(11月5日朝刊)
大連立は公約違反
国民に選挙を通した政権交代を約束しながら、大連立という密室での取引はいけない。小沢氏は「けじめ」と繰り返したが、国民がこの公約違反を厳しく批判していることには気づいていないのではないか。さらに、福田首相との約束も守れずに党首として醜態をさらし、党議を経ない独断専行が党内にいろいろな憶測や疑心暗鬼を生み出した。(党役員会が連立協議をのまなかったのは)事実上の不信任であり辞職は当然と考える。
【4】東京新聞(11月5日朝刊)
英雄になり独断専行
小沢氏は選挙で政権交代を行い、二大政党制を実現すると言ってきたのに、ここにきて大連立しようと逆のことをやり始めた。政権交代をするつもりがないのかと疑われるようなことをし、有権者の政治不信を広めた。
福田首相との大連立の話を党に持ち帰ったにもかかわらず、役員会で認められなかったのは不信任されたに等しい。さらに結局(大連立構想を)断ったということは、代表者同士で決めたことを守れなかったことになり、社会常識からいっても辞めるのは当然だ。断った二日夜に辞任すべきでむしろ遅かった。小沢氏は参院選で勝って英雄になり独断専行を始めた。民主党はここで脱皮し、自立するべきだ。小沢氏の辞任は党にとってプラスにはなってもマイナスにはならない。
【5】日刊ゲンダイ(11月6日付)
マスコミ批判
党首会談を密室で行ったことが、一部右翼系新聞へ“情報操作”に利用する余地を与えてしまったが、今回の件で大マスコミと政府の癒着が改めて明らかになりました。もっとも、マスコミと政府のなれ合いは、今に始まったことではない。この国のマスコミは、小沢が言う“大本営発表”の時代から一歩も進歩していないのです。
小沢“転向”の背景について
米国の謀略説はすでに出回っています。「小沢代表は、テロ対策特措法に絡んで何か弱みを握られているのではないか」といった話です。防衛疑惑の山田洋行との関係に、決定的な弱みがあって、それを米国から突かれた可能性もあります。過去の歴史を振り返ってみても、岸信介は、後の米公文書でCIAからカネをもらっていたことが暴露されています。それで憲法解釈を変更し、自衛隊は海外に行けると言い出した。小沢氏の唐突な方針転換も米国には思うツボ。何かがあると思われても当然です。
【6】夕刊フジ(11月6日付)
世論を忘れた錯乱
[これまで民主党の小沢一郎代表に理解を示し、『自民党の終焉 民主党が政権をとる日』(角川SSC新書)の近著もある政治評論家の森田実氏は、夕刊フジの取材に対し以下のように語った。]
今回の自民党との連立協議は、世論を忘れた小沢氏の錯乱による大失敗というほかない。
小沢氏は、党首になってから1年7カ月にわたって、一貫して選挙による政権交代で政策を実行すると主張してきた。それが、手のひらを返して大連立に行ったとなると、有権者には一種の政治家の“偽装”と映り、強い批判を呼び起こした。
私のところにも「おかしいではないか」という声が寄せられており、先月末の福田首相との協議以来、党本部には多くの批判があっただろう。それが役員会の一斉の反対になってあらわれた。
だが、小沢氏にはその声が届いていなかったのだろう。「英雄も滅ぶ」といういい例だ。先の参院選勝利で、小沢氏には1人で何でも動かせる“超実力者”との思い込みが生まれた。「役員会に持ち帰れば批判する人はいない。何とかなる」と思ったのではないか。
それが、役員たちから厳しくいさめられた。子飼いから批判され、飼い犬にかまれたようなものだ。「民主党はダメだ」との絶望感を抱いたのだろうが、その腹いせに党首をけっていいという話ではない。
民主党の取るべき行動は、一度、辞任を決断した人を慰留してはいけない。
選挙を実施して、速やかに後継者を決め、次に向かうべきだ。国会議員が200人以上いて人物がいないというそんなばかな話はない。
小沢氏の離党の可能性だが、国民との約束を破った今回の事態ではついていく人が1人もいないのではないか。
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