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2007年11月06日
思いやり予算交渉に見る対米絶対服従
日本外交の病理の根源が、日米同盟至上主義という名の対米絶対服従にあることは繰り返しこのブログで述べてきた。この事はいくら強調してもし過ぎる事はない。
思いやり予算をめぐる交渉もその一つである。すこし前の記事になるが、10月21日の読売新聞が「政府は思いやり予算の100億円削減を目指す方針を固めた」と仰々しく報じていた。中興の祖である正力松太郎社主がCIAの手先であっただけに読売新聞の対米従属は相当なものだ。スクープのつもりで一面トップに大きく掲げたこの記事は、いくつかの点で読者をたぶらかす工夫がなされている。
その一つは100億円減という言葉のまやかしである。その数字だけを見ると日本が米国に強く出て負担減を迫ったという印象を与える。しかし2007年度の思いやり予算は2173億円である。そのうちのわずか100億円である。しかも日本人基地従業員の労働組合である全駐労の反対によって、最終的な削減幅は数十億円程度にとどまる可能性があるという。削減の対象が日本人従業員の給与・手当てであるところが味噌だ。財務省は決して在日米軍の基地維持費や光熱費などの米軍予算には手をつけない。日本人従業員が困るところを削減して内輪喧嘩させているのだ。
もう一つは「減額する方針」ではなく、「減額を目指す方針」と巧妙に書いている点である。なぜか。それは米国との交渉次第であるからだ。米国が削減を了承しなければ減額できないのだ。
その事に関連し、11月6日の日経新聞に「思いやり予算 調整難航」という記事があった。財務省は大幅削減をしたいが、米国が猛反発をしているというのだ。日米関係への悪影響を懸念する外務省が反対し、最終的な決断は福田首相の政治的決断にゆだねられるという。シーファー駐日大使は高村外相に「日米同盟に看過できない悪影響が出る」と脅かし、国防総省幹部も10月下旬に訪米した谷内正太郎外務次官に「特別の配慮」を求めたという。因みに谷内は私と同期入省で共に米国で研修生活を送った仲だ。英語が下手だった彼がどこまで米国と交渉してきたのか。御用聞きの訪米でなかった事を願うばかりだ。
因みにこの「思いやり予算」そのものが対米絶対服従の象徴なのである。78年にベトナム戦争で疲弊した米国経済だったが、それに加えてドル安もあって、米国は日本に駐留米軍経費の一部肩代わりを求めてきた。当時防衛庁長官であった金丸信が、「困った相手に思いやるって事だ」とかなんとかとぼけた事を言って、日米地位協定を逸脱した違法な負担を認めた事から始まった。当初62億円であったものが95年のピーク時には2714億円にまで膨れ上がった。しかも米国の経済は最良、最長の好景気を享受していたクリントン政権(92年―2000年)であったのに、減るどころか急増し、在日米軍の娯楽・保養施設費までも負担するようになったのである。
10月29日のブログで私は米国が在日大使館の敷地の地代を踏み倒している事を書いた。どこまで日本政府は血税を米国に貢い続けるのか。その政府は、自国の国民に対しては年金不払い、保険料カット、消費税アップを平然と迫る。これがこの国の政府・官僚のしている仕事である。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/11/06/
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