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小沢民主党代表の辞任表明は、少なくとも安倍首相が辞任表明したときよりもはるかに大きな政治的インパクトを与えている。安倍首相の辞任について慰留工作は一切なかったが、民主党は小沢氏を慰留することにしている。報道の伝えるところでは、慰留に対して小沢氏は回答を留保させて欲しいといっているという。小沢氏の行動パターンからいえば、辞任を撤回することは無様なことであろうが、大切なことはここで戦線を乱さないことである。
そもそも大連立などという、私にいわせれば“お化けみたいな話”をしたのは福田首相なのであろう。福田首相はこのことを言明していない。このことは事実を明らかにする必要があろう。そもそもこのような“お化けみたいな話”がでたのは、党首会談である。党首会談は、それでは一体どちらからもちかけたのだろうか。福田首相の方からに決まっている。だから、小沢氏は記者会見で『讀賣新聞』などの報道に強く抗議したのだろう。小沢民主党代表の方から、福田首相に対して党首会談をもちかけたとは、私にはどうしても思われないのである。
今回の党首会談には記録をとっていた者がいないので、事実がどうであるかは本当のところ分からない。しかし、党首会談が切欠となって小沢民主党代表は辞任表明をすることになった。福田首相も政治家として事実を正直に話す必要がある。少なくとも事実を正直に話すことが小沢氏に対する信義である。小沢氏は、誠意をもって協議してくれた“福田首相に対するケジメ”を辞任のひとつの理由にしていた。このことは重要である。福田首相としてはこのことを忘れてはならない。
それにしても福田首相は党首会談の後に、周辺にいろいろと話しているようである。それがいろいろな揣摩臆測を招き、辞任表明に繋がったのである。党首会談そのものを一種の謀略だという人もいる。そういうことかも知れない。大連立という話がどちらから出たかは、現在のところ不明である。しかし、福田首相にそのような意識・認識があったことは否定できまい。だからこそ、党首会談で長いこと協議したのだろう。
自公“合体”政権は先の参議院選挙で民主党を中心とした野党に敗れたのである。それなのに自公“合体”政権は参議院選挙を“政権選択の選挙ではない”と嘯(うそぶ)き、自民党や公明党の考えで今後の国政を運営しようとしているのである。問題なのはそのことなのである。公明党との連立は大義名分を失ったが、それでも連立を見直そうとはしていない。仮に民主党と連立することになれば、わが国の政治は溶解(メルト・ダウン)する。わが国の政治が溶解しようが、自民党や公明党は政権政党でありさえすればそれでよいのである。自民党や公明党の政治に関するもっとも基本的なドグマなのである。
私は。福田首相の基本的な特質を“反民主的な政治家”と規定した。“反民主的な政治家”であるから、わが国の政治を溶解させる民主党との連立も否定しないのである。このことについて自民党や公明党から非難や批判が一切出ていないことに私たちは注目しなければならない。自民党や公明党には、民主主義の根本がまったく分かっていない証拠である。それに比べれば、民主党を中心とする野党の方がはるかに健全であることに自信をもたなければならない。わが国の国民の政治意識は、非常に高くきわめて健全であることに誇りをもち、自公“合体”政権の打倒に向けて私たちはその歩みを止めてはならない。小沢氏もこの戦列から離れてはならない。そのとき小沢一郎という政治家は本当に死ぬ。
私たちが戦いを進めるとき、重要なのは敵の行動や本質に対する認識を見誤らないことである。自公“合体”政権は政権党でいるために、いかなる恥知らずなことも卑劣な謀略も平気で行うことを行うことである。そのことをいつも正面から見据えておかなければならないのである。味方のの誤りなどに対しては寛容でなければならない。要は、戦線を乱したり、戦列から離れないことが重要なのである。私は長い間野党をみてきたが、野党のこうした稚拙さ・未熟さに自民党はずいぶん救われてきた。こんなことで自公“合体”政権を生き延びさせてはもうならない。民主党の代表問題は、こうしたことを基本にして考えて欲しいと切望する。
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