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「2007.10.7（その１）
森田実の言わねばならぬ［629］
平和・自立・調和の日本をつくるために【428】
【新・自民党の終焉――民主党が政権をとる日〈14〉】
長坂伝八氏の卓越した小泉政治分析
長坂伝八著「今日的ファシズムとしての小泉政治(現代権力論Ⅰ)―2005年8.8衆議院解散と憲法・市民社会―」（法政二高『研究と評論』第72号、抜粋、2007年３月)を読む
「人間が支配せずに法が支配するところに自由がある」（カント）
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長坂伝八氏(法政二高教師〈日本史〉、1949年生まれ、静岡大学卒、愛知県豊川市出身）よりご丁寧なお手紙とともに、「今日的ファシズムとしての小泉政治」と題する論文をお送りいただいた。一読し、深く共鳴した。
長坂氏はこう述べている。
《小泉は一夜にして日本に“ファッション”的ファシズムをもたらした。ある種の革命(反革命)である。ここに8.8衆院謀略解散の意図と本質がある。…小泉による政治の破壊が日本社会全体の政治、経済活動や人々の心の健全さに深刻な影響を与えた。我々はこれ以上の日本の破壊を座視すべきでない。小泉政治への批判とその克服は戦後史の中で重要な意味をもっている》
同感である。今日の日本社会は荒廃している。高度成長がつくり出した総中流社会は小泉改革によって破壊され、日本は深刻な格差社会になった。この最大の原因は、小泉政治にある。格差は経済社会のすべての面に広がっている。人々の希望まで「格差」が生じている。人心は乱れ、犯罪は急増している。
今日の日本社会の諸悪の根源は、小泉政治にある。
小泉構造改革という「悪魔」をあたかも「善」なるものの象徴であるかのごとく宣伝したマスコミもまた「小泉」の共犯者である。中央官庁指導層も、小泉政治を支えつづけている公明党・創価学会も、中央財界リーダーも、諸悪の根源である。「小泉政治」の共犯者なのである。
長坂氏は、155点に及ぶ参考資料、文献を研究し、小泉政治の本質が「今日的ファシズム」であり、小泉が仕掛けた2005年８月８日の衆院解散が、憲法違反であることを論理的に立証した上で、小泉政治の謀略性、詭弁性、暴力性(破壊性)を暴いている。
長坂氏は、本稿の中で「森田テーゼ」という名称で、当時の私(森田実)の主張を以下のように整理してくれている。
《「一、小泉内閣は、即時打倒すべき政権である。最近までは小泉政権の政策批判に重点を置いてきたが、今は、小泉政権の存在自体が日本にとって有害であり、国民は小泉内閣打倒の戦いに決起すべきだと主張し訴えている｡｣
｢二、小泉政治を喜んでいるのは、ブッシュ政権にまとわりつき小泉改革で大儲けしている米巨大企業と日本で大儲けしている一部企業家と小泉政権の保護を受けているマスコミと公明党、創価学会である。この連合が日本の新支配階級だ｡｣
｢三､小泉政権は『日本の政権』のように装っているが､その正体はブッシュ米大統領の傀儡政権である｡｣ ｢小泉政権は、ブッシュ政権とブッシュ政権に追随する自民党多数派、公明党、創価学会、大新聞社と大テレビ局、外務、財務、経済、総務、法務の中央省庁主流派、小泉改革で大儲けしている巨大資本家の大連合の政権である｡｣
｢小泉首相は議会制民主主義の破壊者である。だか、マスコミがこの小泉政権を応援している為、国民は小泉政権の正体に気付かなかった。政権権力と癒着した巨大マスコミが総力を上げて日本国民をマインドコントロールしている。小泉政治とはマスコミによって作り上げられた巨大な幻想である｣》
小泉政治は日本社会を破壊した。
2007年７月29日の参院選において、国民は自民党・公明党連立政権の政治を否定した。多くの国民は「小泉・安倍政治」の危険性に気づいたのである。
だが、小泉政治については、日本国民はいまだ十分に、論理的に否定するまでに至っていない。「小泉」に対する根強い幻想が、いまだ、政界、マスコミ界、経済界、官界、学界に残っている。
小泉政治を完全に否定することなくして、日本の再生はありえない。
このことを鋭い批判精神をもって論理的にきびしく立証した長坂氏の努力に深く敬意を表する（法政二高『研究と評論』第72号〈2007年３月〉参照）。
［2007年夏以後、多くの方々から著書をはじめ論文等を寄贈していただきました。多忙な日がつづき、書評を書く余裕がなく、失礼いたしました。この機会にお詫びをいたします――森田実］ 」
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03747.HTML
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