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2007/10/08
「これが政府の『情報公開』か!
・・・外務事務次官を即刻更迭せよ」
私は、自民党総裁選で3週間も国会が空転している間にも、最大の焦点である「テロ特措法問題」について政府の姿勢を問いただしてきた。計9本の質問主意書を総理宛てに提出し、先週、その答弁書が返ってきた。
一読して開いた口が塞がらなかった。これだけ「イラク作戦への転用疑惑」の状況証拠が積み上がってきている中で、777回に及ぶ給油活動の実績について「自衛隊及び諸外国の軍隊の運用に支障を及ぼすおそれがある」として答弁を一切拒否した。
そして本来なら、これだけの成果があがりましたよと、国民にもっとアピールしても良い、インド洋上の海上阻止行動の成果についても「個々の作戦の円滑な遂行や参加者の安全」のためとして、同じく答弁を拒否した。
口では「徹底した情報公開」を言いながら、一方ではにべもなく拒否する、こんな姿勢で国民の理解が得られると思っているのか! 極めて残念で遺憾でならない。軍事行動の最前線にいる米軍ですら、つい1〜2年前までの、空母も含む各艦船の航海日誌を公開(注1)しているというのに、後方支援しか担っていない海自の活動が「軍事オペレーション上の支障」で公開できないとは、チャンチャラおかしい。
ただ、その中でも、いくつか公式に確認された、あるいは新しい事実も出てきた。
まず、これまで「補給の都度、その外国の艦船が『不朽の自由作戦』(アフガンのテロ作戦)に従事していることを確認してきた」としてきた政府が、実は、補給した後の当該艦船のその後の活動については「承知していない」との答弁をしてきたのだ。これでは、今、疑惑が指摘されている米補給艦が、その後「イラク作戦」に給油したってわからないではないか!
要は、米国の間では紙切れ一枚の「『交換公文』で『テロ特措法の範囲内』であることを確認しております」「米国に聞いてもそう言っております」「あとは日米の信頼関係でございます」という、これまでの米国べったり、言いなりの、いい加減な政府の対応(注2)が裏打ちされた形だ。
さらに、海自の補給する油が、何も特別高品質な油ではなく、元々米軍仕様のNATO規格の油であることを公式文書で初めて認めたことだ。これで外務事務次官やシーファー米大使が、「パキスタン船にはハイオクが必要で海自しか補給できない」という主張は破たんした。
それだけではない、実は、そのパキスタン船は英海軍からの払い下げであり、かつ、パ海軍自体も洋上航行可能な補給艦を二隻も持っていることも判明したのだ。一部には、イスラムのパキスタンがクリスチャンたる米英から補給されるのを嫌がるとの主張(例えば森本敏拓殖大教授)もあるが、本体(艦船)がクリスチャンからなのに、なぜ油はクリスチャンからだとダメなのか、全く理解に苦しむ。自前の補給艦もあるのだから、いざとなれば、それを使えば良い。
つまるところ、米軍や外務省が、海自のインド洋上での活動の最大の継続理由としているパキスタン船の問題は、「無償で油を提供している」という「お金の問題」でしかない。そんなにイスラム国からのテロ作戦への参加が象徴的に重要だと言うなら、「カネに色目はない」のだから、我が国としての、パキスタンへの協力の仕方は如何様にでもある。
それにしても、谷内外務事務次官には困ったものだ。公式な記者会見の場で「パキスタン艦船にはハイオクが必要だから日本の補給艦は必要不可欠」との発言をした外務事務次官の責任を厳しく追及する質問主意書を出したら、逆に答弁書では開き直って、今度は「海自の補給艦には油の清浄器があり、それで清浄した燃料を提供している」からやはり必要、ときた。
笑止千万である。これも既に海上幕僚長が「他の国の補給艦にも清浄器はある」と否定しているし、米国の補給艦の方が海自より格段性能の良い清浄器を有していることは自明の事実である。
こうした国民を惑わす、誤った情報を垂れ流しておいて、訂正もせず、謝罪もしないどころか、また、根拠のない理屈を持ちだして正当化する。この谷内という人物に外務事務次官を務める資格はない。即刻、福田総理は彼を更迭すべきであろう。
まさにこれから、この問題でも、国会での論戦が本格化していく。新しい疑惑はまだまだ出てくるだろうし、今は「わからない。米国に問い合わせてみる」と被害者のように振る舞っている政府も、いずれ、そうではない事態にあわてふためくことにならないよう、ご健闘を祈るとしか言いようがない。
(注1)米軍の情報公開
米海軍歴史センター(ワシントン)で、ほぼ一年前までの航海日誌が、情報公開法に基づく公開あるいは閲覧で見ることが可能だったが、「イラク転用」疑惑が日本で問題になって以降、最近では、一般人は不可となっているという。
(注2)外務省の米国ベッタリの姿勢
今に始まったことではない。約十年前、私が橋本政権にいた頃、沖縄の少女暴行事件に端を発する基地問題で、普天間基地の返還や海兵隊の削減が問題となったが、いずれも、当初の外務省の態度は「そんな問題を米国に提起すること自体、総理が恥をかくことになる、日米同盟を傷つけることになる」の一点張りだった。
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