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2007年10月05日
「大統領暗殺」という映画
「大統領暗殺」(DEATH OF A PRESIDENT)という映画が、いよいよ明日6日から日本で公開される。この映画は、ブッシュ大統領がシカゴのホテル前で暗殺されるという擬似ドキュメンタリー映画だ。誰も見ないうちから悪趣味、不道徳、という不評をかった映画だ。多くの米映画館が上映を拒否したという。
この映画を見ていない読者を前に、映画を見た私がいくら映画の話をしてもはじまらないが、どうか我慢をして読んでいただきたい。
私は今から一月あまり前、この映画の配給会社から「試作を送るからコメントを欲しい」と依頼を受けた。即座に私は、「暗殺をテーマにするいかなる映画も評価できない。ましてやブッシュ大統領の暗殺は、いたずらに反テロ感情を煽るだけだ」と言ってコメントするのを断った。実際のところ私は、これはテロへの憎悪をいたずらに書きたてる米国の情報操作の映画ではないかと疑ったくらいであった。
配給会社の担当者は、「それはよくわかる。しかし、とにかく映画を一度見て欲しい。コメントをいただけるかどうかは、その後で判断していただいて結構だから」と述べて試作のDVDを送ってきた。
試作を観た私は唸ってしまった。実に不思議な映画なのだ。ブッシュ大統領のイラク戦争を擁護している映画ではまったくない。だからと言って、勿論ブッシュ暗殺を奨励しているものでもない。一体作者の意図はどこにあるのか。私はこの試作を何度も繰り返し見て、そして考えた。自信がないままに私のコメントを配給会社に伝えた。
そのコメントはこのブログの末尾に書くとして、結局この映画の訴えたかったテーマについてわからないまま一月が経ち、私はもうこの映画の事も忘れていた。そんな時に、たまたま手にした発売中のニューズウィーク日本語版10月10日号において、この映画を作った英国の監督ガブリエル・レンジ氏のインタビュー記事を見つけた。
彼は言う、
・・・物議をかもすとか、不快に感じる人がいることは予想していた。でもそれでいい。映画は時には挑発的であるべきだと思うからね・・・でも、単に挑発するためじゃない。ブッシュ政権が何をしてきたか検証するために暗殺という手法を選んだ。普通のドキュメンタリーだったら、大勢の人に見てはもらえないから・・・暗殺を大喜びする映画なら悪趣味で卑劣だし、暗殺を奨励するのも許されない。でもこの映画は違う・・・映画は確かにブッシュ政権を批判している。でも、「ブッシュ=テロリスト」とか、「ブッシュは死ななきゃ治らない」なんていうプラカードを掲げる人の事も批判している。そこまでいくと憎しみも逆効果になる・・・9・11テロ後の世界を描いている・・・暗殺は恐ろしいということも・・・(なぜ英国人のあなたが作ったのか。イギリスのブレア首相も同じぐらい尊敬されていないのに、なぜブッシュなのか)そもそもアメリカの映画会社なら資金をださないだろうね・・・9・11テロはアメリカで起きたし、テロとの戦いも、イラクでの戦争も、ブッシュ政権が始めたことだ・・・
私はあらためてこの映画を見返してみた。そして次に述べる私の当時のコメントは、他のどのコメントより的確なコメントであると自画自賛している。ブッシュのイラク戦争に関心を持ってこの数年間を過ごしてきた人たちは、是非この映画を見る事をおすすめする。決して楽しい映画ではない。しかし強烈な何かを感じるに違いない。そのテーマは今こそ我々に強く語りかけてくる。
そして次の私のコメントの出来、不出来についても、正しい評価を下してもらいたいと思う。
「この映画は、米国大統領の暗殺という最も衝撃的なテーマをあえて使いながら、9.11事件以降の米国や世界の人々の苦悩を、鮮やかに描いている。見る人によって様々な解釈がで
きるところがこの映画のミソであるが、暴力はすべてを犠牲者にさせるという明確な
メッセージだけは観客は等しく共有するに違いない」
http://www.amakiblog.com/archives/2007/10/05/#000558
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