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一般国民のために「改革」は止めるべき(ビル・トッテンのコラム)
http://www.asyura2.com/07/senkyo42/msg/795.html
投稿者 JAXVN 日時 2007 年 10 月 04 日 08:26:29: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「題名:No.793 一般国民のために

From : ビル・トッテン
Subject : 一般国民のために
Number : OW793
Date : 2007年10月01日
小泉政権以来推し進められている自民党の「改革」によって、日本で所得格差が広がっていることは、ジニ係数の統計を持ち出すまでもなく明らかである。
(ビル・トッテン)

一般国民のために

小泉政権の改革路線を引き継いだ安倍政権から福田政権へ。参院選であれほど議席数を減らし、有権者からの支持を失ってもまだ自民党は改革を続けるつもりだ。日本国民が自民党が進める改革を望んでいるのであれば、支持が増えることはあっても減るはずないということがわからないのか、またはわかっていても改革を続けたいのには、理由があるのだろう。

先日、インターネットカフェで寝泊りをしている「ネットカフェ難民」と呼ばれる若者が増えていることに対して、意見を求められた。一人の人間が、住むところを失い、いわゆるホームレスと呼ばれる状況になるには、当人の性格や能力、家庭環境や運など多くのことが複雑に絡み合うため、二人として同じ理由でネットカフェ難民にはなってはいないだろうが、人間の基本的な性向である生理的欲求、安全の欲求を考えても、定住の場所を失うのはよほどのことだ。

ある人は「日雇い派遣」などの短期就労では、その賃金の安さと雇用の不安定さから家を借りることさえできず、したがってネットカフェで寝泊りするようになってしまったという。これも、労働法制が規制緩和されることによって、ほとんどの業種で派遣ができるようになったためである。小泉政権から推し進めてきた構造改革路線の結果のひとつがこれだ。そしてもちろん、小泉政権が労働者派遣の規制緩和を進めた裏には人件費を削減したい財界の意向がある。

平成以降、与党自民党がとってきた政策、そしてこれからも自民党が進めたい改革が、財界や富裕層のための改革であることは、大手メディアが正直な報道をしていればもっと多くの人が納得するだろう。そうすれば、日本国民の大部分は「搾取されている」実態を認識し、選挙においてそのような法案を通過させた政治家を今回の参院選のように失脚させることができたはずだ。

国の税収だけをみても、増税された消費税収は右肩上がりで、所得税と法人税の税収は減少している。所得税収と法人税収が下がると、政府やメディアは不況による企業の減収のせいにするが、事実は大企業と富裕層への減税がその理由である。1984年には43.3%だった法人税は99年には30%にまで下がり、1974年には75%あった所得税の最高税率は、半分以下の37%に引き下げられたのだから、税収が減るのは当然だ。一般庶民に縁のない株式譲渡益などの金融所得は、税率を20%から10%に下げることで申告課税分も含めると7500億円以上の税収減となっている。恩恵をうけるのはもちろんいうまでもなく富裕層である。生活保護家庭の医療費負担を現行のゼロから1割に上げて、どれだけ税収が増えるというのか。累進税率を昭和の時代に戻せばよいだけだ、と私は思う。

日本と同じように近年、イギリスでも所得格差が拡大している。しかし慈善団体ジョセフ・ラウントリー財団の調査によると、イギリスでは、多くの国民がこの格差拡大という傾向を変えることに悲観的だという。格差があることは認識しているが、かといって自分がより多く税金を払いたくはない。そして人々が努力した度合いによって格差がでるのであれば、それは仕方がない、と思っている人が多いのだという。

日本でも調査をすれば「格差社会はしかたがない」と答える人は少なくないだろう。富裕層から取り上げたお金を、貧困層にただ再配布することに懐疑的な人は特にそう思うはずだ。一生懸命働けば、なんとかなると。しかし現実には格差が拡大しすぎると、たとえ一生懸命働いても、貧困の中で生まれれば人生のチャンスは限定的なものとなってしまうのだ。

今回の参院選で、格差を容認し今以上に所得格差を広げる政策を「改革を続行」するとして推し進めようとする自民党が、雇用を守り、格差を正す、という提言をした民主党に大敗したのは、日本がイギリスと違って国民には変えられる力があるという希望をまだもっているからではないだろうか。そして民主党には、リップサービスだけの公約ではなく、大企業や富裕層のためではなく一般国民の福祉、たとえば正規雇用の比率を上げてネットカフェ難民なる人々が自立することができるような、具体的な政策や立法に着手してほしい。」

http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1184541_629.html

福田首相はいまだに「改革を続行しつつ、影の部分に光を当てていく」などとおっしゃっているようですが、「小泉構造改革」はそれ自体が「強い者をより強く。そのためには弱い者の切り捨てもやむをえない。いや、むしろ国際競争力をつけるためには競争についてこれない者はどんどん切り捨てるべき。」という物だった事はもはや明白です。本当に自民党が、そして日本が立ち直るためには、これからやる事は「改革の見直し」ではなく「改革の中止」でなければなりません。ならないはずなのですが・・・。

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