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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/kaneko/news/20070927dde012070040000c.html
安倍晋三首相の後任に18歳年上の福田康夫首相が就任した。オーストラリアでは野党労働党のケビン・ラッド党首が今月50歳になった。年内に予想される総選挙で政権交代すれば、自由党のハワード首相より18歳若い首相になる。南半球では逆向きだ。
前回この欄でラッド氏が親中派だと書いた。読者から根拠について質問をいただいたので、訪豪した胡錦濤・中国国家主席を歓迎するラッド氏のスピーチを紹介したい。
「胡先生。私は、私と妻を代表して個人的な歓迎の気持ちを表明いたします……」と、中国語で切り出した。1980年代、北京の豪州大使館に1等書記官、参事官として勤務した思い出を語った。「妻と私は北京に一種特別な愛を抱いています。私たちは北京の人民を熱愛しています。当然その文化も」
「20年後の今年4月、私たち夫婦は娘と北京を再訪しました。娘が豪州華人社会出身の青年と結婚したのです。息子は上海の復旦大学に留学中です。もう一人の小さい方は高校生ですが、やんちゃでね、宿題が大嫌い。でも中国語はもう始めてます」
胡主席も、同行の政治家、外交官、企業家たちも笑いと拍手の連続だった。感激した胡主席は、来年の北京五輪にラッド一家を招待した。
中国人は、毛沢東時代に長く鎖国していた。そのなごりで外国人に対する警戒心が強く、外国人に中国は理解できないと信じている。それだけに「中国通」の外国政治家に対する評価は高い。
ラッド氏は、ブリスベーンの貧しい農家に生まれた。少年時代、母からもらった古代中国の絵本に夢中になり、豪州国立大学で中国史を学んだ。台湾に留学し外務省に入る。北京勤務から帰国した後、政界に転じた。
豪州にとって最大の貿易相手国が今年、日本から中国になった。「中国は必ず、豪州の国益の周辺から中心になる」とラッド氏は主張する。
ハワード首相がブッシュ米大統領、安倍前首相とやった「日米豪首脳会談」は、中国のライバルであるインドとの連携を視野にいれていた。だが、ラッド氏は、インドを加えると中国が「中国包囲網か」と疑念を抱くと批判する。この辺がラッド氏らしい外交姿勢だ。
福田新首相はアジア重視。中国紙は「親華福田」を歓迎している。来年の日米豪首脳会談は様変わりするかもしれない。(専門編集委員)
毎日新聞 2007年9月27日 東京夕刊
<関連記事>前回記事
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/kaneko/news/20070920dde012070048000c.html
早い話が:日豪同日の退陣表明=金子秀敏
安倍晋三首相が、退陣を表明して大騒ぎになった12日、オーストラリアでもハワード首相が退陣表明をした。
2人はその4日前シドニーで、米国のブッシュ大統領を交え初の日米豪首脳会談を開き、「共通の価値観」で団結を確認し、ともにテロと戦おうと誓い合ったばかりだった。そのブッシュ大統領も、盟友がそろって退陣表明をした翌日、イラクに派遣している米軍の削減を発表する落日ぶり。日米豪首脳会談という新しい枠組みは、いきなり出はなをくじかれた。
日本は次の首相選びに動いているが、ハワード首相はいきなり政権を放り出したわけではない。「引退する」とは言ったが、その前に自分の手で総選挙をやり、それに勝ったら次の任期の途中で政権をコステロ財務相に譲るという前段がある。
首相の率いる自由党の支持率は、このところラッド党首の野党、労働党に水をあけられている。すでに地方の州政府はすべて労働党の政権である。中央政府も、次の選挙で政権交代の可能性が浮上しているのだ。
自由党内で動き出したハワード降ろしを、意表を突いた退陣表明で抑え込もうとしたのか、本当に弱気になったのか、ハワード氏はABC放送のインタビューのなかで「なにごとも終わりがくる」と語った。
日米豪首脳会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と並行して開かれた。APECには中国の胡錦濤国家主席、ロシアのプーチン大統領も出席していた。日米豪が首脳会談で結束を演出したのは、中国の存在を意識してのことである。
だが、すでに退陣で頭がいっぱいだったであろう安倍首相がどこまで考えたか疑問だ。ハワード首相も国民の人気を取り戻すことはできなかった。
胡主席は、中国主催の宴会に野党のラッド党首を招いて、中国語で懇談した。党首は、学生時代から「陸克文」の中国名を使う中国オタク。筋金入りの親中派である。主席は「中国人と変わらない見事な語学力」とハワード首相の目の前でラッド党首を持ち上げて、首相を切歯扼腕(せっしやくわん)させた。
おまけに盟友、ブッシュ大統領までラッド党首と会談し、「次の首相」に保険をかけた。APECホスト役のハワード首相はメンツまるつぶれだ。中国に対抗する日米豪の結束はかくもひ弱だ。(専門編集委員)
毎日新聞 2007年9月20日 東京夕刊
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