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2007年9月27日
ミャンマー問題、日本の汚点
ミャンマー情勢が急展開している。僧侶を先頭とする平和的なデモに対し、政府が武力による弾圧を強め、流血の事態が生まれている。日本人ジャーナリストが死亡したという情報もある。
国連安保理は、議長による口頭声明を発表し、ミャンマー政府に「自制」を求めた。欧米諸国は、制裁を含む措置を追及しているが、中国は「国際の平和に影響を与える段階ではなく、国内問題だ」として、制裁に同意していない。これが本日の局面だ。
政府による人権侵害、とりわけ平和的運動に対する流血の弾圧に反対することでは、どの国も異論がない。しかし、その反対の意思をどういう形で表すのかでは、そう簡単に一致が得られないというのが、現在の国際社会の到達である。
たしかに、制裁という手段が適切かどうかは、深い分析が必要だ。強い手段が必要なことは明らかだが、本当に政府を追いつめるだけの手段になりうるのかは、見極めが必要だからである。国際社会が分裂することになれば、ミャンマー政府から甘く見られることにもなりかねない。
しかし、どう判断するにせよ、ミャンマーの人権侵害が、世界の中でもとりわけ重大だという認識がなければならない。これまで、国連人権委員会は、重大で組織的な人権侵害をとりあげ、継続的な監視をおこなってきた。今年の6月、内政干渉ではないかという議論がひろがり、キューバを始め多くの国を監視対象から外したのだが、ミャンマーは対象として残った10カ国の一つである。それだけ重大だという認識があるのだ。ふさわしい手段がとられなければならない。
それとは別に、驚いたことがある。日本政府の対応だ。町村官房長官は、ミャンマー政府に自制を求めたのだが、制裁について是非は明言しないまま、以下のようにのべたというのだ。
「(制裁は)今後議論するテーマだが、結果としてミャンマーが中国にだけ傾斜していく姿がいいのかも考えなければならない」(朝日新聞夕刊)
日本は、中国と並んで、ミャンマーと緊密な友好関係を保ってきた国だ。最大のODA援助国でもある。この日本が、「流血の事態を起こす国にはODAを供与しない」という強い態度をとれば、大きな影響力があるはずなのだ。ところが日本政府は、一貫してそういう態度をとってこなかった。
しかも、この町村談話の汚いところは、日本が制裁に反対していると明言すると国際社会で悪者にされるものだから、中国を防波堤にしようとしていることだ。
「他の国が制裁をすれば、ミャンマーは制裁に反対している中国との関係を強めますよ、そうしたら中国の影響力が大きくなりますよ、それでいいのですか。よくないでしょ、だから制裁には慎重になりましょうよ」。これが町村談話の神髄である。
もちろん、複雑な問題だから、すぐに制裁するという態度がとれない場合もあるだろう。それだったら、その態度を明確にし、根拠を提出すればよいのである。
そういうことをせずに、日本国民のなかで評判の悪い中国を持ち出し、その中国の影響力を増やさないためにどうするのかと、町村氏は問いかけたのだ。これが日本外交の現状。
福田さんが首相になり、中国との関係が好転するという見方もあった。しかしこれでは、前途は暗いといわざるを得ない。
投稿者 松竹伸幸 場所 22:27
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