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福田新内閣―「1月解散」のすすめ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
福田康夫氏が首相に就任し、新内閣が船出した。
国会の投票では、参院で民主党の小沢代表が首相に指名された。衆院の議決を優先する憲法の規定によって、福田氏はかろうじて首相の座についたが、参院で第1党の座を奪われた厳しい現実を思い知らされたことだろう。
新しい内閣と党幹部の顔ぶれが決まった。17人の閣僚のうち、15人が安倍前内閣から再任、または横滑りした。民主党との国会論戦を考え、即戦力を望んだのだろう。首相も自ら「背水の陣内閣」と呼び、危機感を強調した。
◆「古い自民」の懸念も
党執行部には古賀誠氏や谷垣禎一氏らを起用し、福田氏本人も含めてタカ派色の薄い布陣になった。さきの内閣改造ですでに「脱安倍カラー」に踏み出してはいたが、福田新体制のもとでその転換がより鮮明になった。
それは今後、外交政策の落ち着きに結びつくだろう。感情的なナショナリズムをあおったり、政治体制や価値観の違いを前面に掲げたりするような対決色は後退しそうだ。国際協調を主軸とした外交を目指すなら歓迎したい。
だが、一連の福田人事にはいくつかの点で懸念がある。
一つは、総裁選で善戦した麻生太郎氏を閣内に取り込もうとして失敗したことだ。党員の支持の高い麻生氏の協力を得られず、安倍前首相が基盤としてきた右派とも結んで、批判勢力となる余地を残した。
さらに、党幹部に総裁選で福田氏を支持した派閥のトップがずらりと並んだ点だ。派閥が幅を利かせた「古い自民党」がよみがえったかの印象は否定できない。論功行賞の色合いも濃い。
古賀氏に総務会長就任を断られ、選挙対策を取り仕切る新ポストをつくって処遇した。挙党態勢づくりを優先したのだろうが、出ばなをくじかれた。
首相主導を強調した小泉、安倍両氏と比べ、穏やかな協調路線が売りの福田氏だが、指導性の欠如と見られれば政権の求心力はおぼつかない。
◆政治の信頼回復を
このことは、福田新政権の内政面で心配につながる。構造改革の方向性は変えないというものの、総裁選の公約に福祉切り下げの見直しを掲げた。バラマキ予算への圧力も強まっている。改革の手直しといいつつ、行きすぎれば「古い自民党」に戻ってしまいかねない。
首相が取り組むべき最大の課題ははっきりしている。政治への信頼をどう取り戻すか、である。
その点で、政治資金規正法の改正でまだ腰が引けているのは理解に苦しむが、問題は「政治とカネ」にとどまらない。
自民党支配が続いた日本の政治にあって、政官業の癒着構造は社会に深く根を下ろし、よどみやひずみは目を覆うばかりだ。これが政治への根本的な不信を招いている。
政権交代が必要だという人の多くは、この体質を変えるには自民党政権では無理だと考えている。そこに「いや、自民党でもできる」というメッセージを送り込むのが、福田氏に課された役割なのではないか。
信頼回復の中心は、政治の透明性を高めることであり、国民に対する説明責任の徹底である。参院で多数を握った野党は、国政調査権で迫ってくる。衆参で多数を握っていたころの感覚でやれば、あっという間に立ち往生するだろう。
行政の不透明さには抜本的にメスを入れる覚悟を見せないと、国民に見放されることになる。
焦点のテロ特措法の延長問題では、海上自衛隊がイラク戦争向けの米軍艦船に給油していた疑惑が発覚した。イラクへの自衛隊派遣も含め、実情をきちんと説明しない限り、道は開けない。
「宙に浮いた年金記録」は、安倍前首相が約束した通り、来年3月までに照合できるのか。ここをきちんとすることも政治への信頼回復に欠かせない。
◆予算案で競い合え
参院選であれだけ明白に「自民党ノー」をつきつけられた以上、首相はなるべく早く衆院を解散し、国民の信を問う必要がある。その意味で、この内閣は「選挙管理内閣」の性格をもつ。
首相にとっても、政権の正統性を確立しなければ自信を持って政治運営にはあたれまい。本来なら、すぐにでも総選挙をすべきだ。
自民党などでは、来年度の政府予算を成立させたあと、春以降の解散・総選挙が取りざたされている。だが、それだと政権交代を有権者が選択した場合、一度できた予算を大幅に修正しなければならなくなる。
与党にとっては、総選挙をずるずる引き延ばしても参院で法案を通せない窮状は続く。直近の選挙で民意に支持された民主党は、国民の信認を得ていない政権との妥協には応じにくいからだ。
ならば、予算案を編成したうえで、来年1月に解散したらどうか。格差是正や社会福祉と税制のあり方などについての考え方を予算案に盛り込む。民主党も対案を出し、国民の選択にゆだねるのだ。インド洋での給油継続についても問うことができる。
予算の成立が遅れ、国民生活に支障が出るとの指摘もあるだろう。だが、それを最小限にとどめるため暫定予算で手当てができる。政治の混迷が長引くことの方がより深刻ではないのか。
福田首相を信認するのか。政権交代か。有権者の声を聞くことこそが、政治への信頼を取り戻す王道である。
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