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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu153.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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「国家情報戦略」 「日本に情報を渡したら、どこに抜けるかわからない」
といって、アメリカも韓国もイスラエルも情報をくれなくなります。佐藤優
2007年10月13日 土曜日
◆国家情報戦略 佐藤優 コウヨンチョル(著)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-ISBN=4062724456
◆「情報公務員法」でスパイ防止を
佐藤
さて、ここからは視点を少し変えて、スパイ防止法に触れたあと、友好国とのインテリジェンス協力について考えてみたいと思います。そこでまず、韓国と北朝鮮のインテリジェンスの現状について教えていただきたいと思います。
高
先に述べましたが、韓国では、インテリジェンスは民問と軍に分けています。そして、「積極諜報」(ポジティブ・インテリジェンス)と「防諜」(カウンター・インテリジェンス)も、それぞれ軍と民間に分けています。ただし、北朝鮮と比較した場合、防諜や情報工作活動の面では、北朝鮮のほうが優れています。
佐藤
自由社会というのは、なかなかたいへんなんですよね。たとえば、北朝鮮ば相互監視制度が行き届いているから、国民全員が住民証を持っています。韓国もIDカードをつくっていますが、相互監視の徹底という面では、北朝鮮と比較すれば低いレベルです。しかも、平壌に住んでいる人たちは、当局によって、もっとも徹底的に監視されています。
田舎はどうかというと、当局の監視は少し緩いとしても、田舎の人たちはよそ者に対しては敏感ですから、外国の機関員や協力者が情報収集活動をすると、すぐにそれとわかってしまいます。それに対して、韓国ならソウルでも釜山でも慶州でも、見たことのない人がいても誰も気がつきませんよ。
高
たしかに韓国では限界がありますが、日本はもっとひどいですね。日本は「スパイ天国」といわれていますから。
佐藤
まったく同感です。日本はスパイ防止のための法整備を進めるべきです。ただ、スパイ防止法の制定が適切であるとは、私は思いません。なぜなら、スパイ防止法という言葉は手垢がついているし、「そんなものはけしからん」とかいって、まちがいなく世論が騒ぎ出しますから、高い確率でまとまらないでしょう。
私は「情報公務員法」のようなものがいいんじゃないかと思っています。まず、軍でも外務省でも、これからできる対外インテリジェンス機関でも、情報を担当している人を「情報公務員」と規定します。そのうえで、国家公務員法の特別法にするわけです。
そして、情報公務員が情報漏洩をして国に危害を与えた場合の最高刑は死刑にする。つまり、ものすごく厳しい罰則規定を設けるわけです。ただし、事前に自首し、捜査に協力した場合は刑を免除する。このような極端な落差をつけることがミソなのです。
もちろん、共謀もしくは教唆した人間に対する罰則規定も設ける。共謀もしくは教唆した人間“は、たとえ情報公務員以外の民間人であっても罰することができるようにするのです。こうした形をとることができれば、実質的にスパイ防止法と同じ中身になります。
◆「サード・パーティー・ルール」
佐藤
この法律はできるだけ早くつくらなければなりませんね。一刻も早く情報漏洩を防ぐ法律をつくらないと、「日本に情報を渡したら、どこに抜けるかわからない」といって、アメリカも韓国もイスラエルも情報をくれなくなります。
高
おっしゃるとおりです。そもそも、こういう情報というのは、かぎられた専門家のあいだでやり取りするものですからね。
佐藤
そのとおりです。とくにそこで重要なのは、「サード・パーティー・ルール(第三者に対する原則)」と呼ばれる掟です。たとえば、私が高さんからもらった情報を別のAさんに教えるとき、教える前に、高さんに「Aさんに教えてもいいですか」という了承を明示的に得なければいけない……これが「サード・パーティー・ルール」です。
高
秘密を守るための大切なルールですね。その意味で二〇〇七年にマスコミを賑わしたのが、防衛省情報本部の一等空佐による情報漏洩問題ですね。
佐藤
あの事件は日本ではかなり誤解されているんですね。事件の内容は、二〇〇五年五月三一日付の読売新聞が報じた日本近海での中国ディーゼル潜水艦の火災事故に関するスクープが、防衛省情報本部の一等空佐からのリークだったというものです。そして、これが自衛隊法で定められた「秘密を守る義務」に抵触するという疑いが生じたわけですが、この問題に対して、「大した話じゃないじゃないか。あの程度のことで、なんで大騒ぎするんだ」という人がいますけど、それは別の話なんですね。
というのも、あきらかにアメリカからもらっている情報を、事前にアメリカに断ることなく、読売新聞に流してしまったわけですから。でも、もし事前に、「中国が日本の近海で潜水艦を使って活動しているけれど、火災などという危ないことが起きているので、日本の世論を啓発したいと思う。ついては、この情報をリークしていいか」とアメリカに相談すれば、「じゃあ、潜水艦の番号については外に出さないでくれ」といった条件をつけたうえで認めてもらえたと思います。そうした「サード・パーティー・ルール」をきちんと守れば、情報はまったく問題なく外部に出せるわけです。
ところが、その掟を守れないとなれば、その組織は二度と情報をもらえなくなります。つまり、掟の問題ですから根が深いんです。残念ながら、日本には国際社会で常識になっているこうしたルールが存在しません。でも、それはかつでの韓国にも同じことがいえましたね。高さんが逮捕された一九九三年当時も、韓国で、じつはその掟が明示的なルールになっていなかったのだと思います。
そもそも政治は、インテリジェンスを専門にしている人を必ず守らなければならないんです。そうでなくては、リスクの高いインテリジェンスなどという仕事は、危なくてできません。高さんは、友好国である日本のジャーナリストと関係を持ち、そのジャーナリストから情報をもらい、おたがいの国益にプラスになることを「仕事」としてやっていたんです。そういう高さんのような人たちを叩き潰すようなことを、政治は絶対にやってはいけないのです。
にもかかわらず、高さんが韓国で罪に問われたのは、「情報を扱っている人が、他人に流すことを許可された情報」に関するルールがなかったからなのでしょうね。
高
たしかに、いわゆる「秘密公開に関するガイドライン」はありませんでしたね。
佐藤
ガイドラインがなかったから、高さんは引っ掛かってしまったわけです。ですから、ありとあらゆる意味で、高さんは犠牲者なのです。フジテレビの篠原さんだって、民間人ですが、インテリジェンスの周辺にいるジャーナリストとして、事前に高さんに相談してから、防衛駐在武官の福山さんに資料を渡さなければならなかった。「これは大使館に持っていきますからね」とか「雑誌に書きますよ」と、ひと言耳に入れる必要があったのです。そうなれば、高さんも「雑誌は勘弁してください」という条件を付けることができますからね。
高
そういう話は、ぜんぜんありませんでしたね。
◆情報交流のガイドラインを
佐藤
さらにガイドラインの話をすれば、ことは日本にも大きく関係してくるテーマなんですね。たとえば、日本はアメリカやイギリス、ドイツなどと同じ価値観を共有していますが、ロシアもすでに共産体制ではないのですから、これに含まれる。そうした国々との情報交換をするとき、情報に関するガイドラインがなければ、そのときの政権の思惑で、日本でも高さんと同じ目にあう情報将校がたくさん出てくるはずです。ですから、日本だけがとくに立ち遅れているコリント(協力諜報)の分野における、「サード・パーティー・ルール」を中心とする国際スタンダードに合致する、ルールの周知、ガイドライン設定を、早急に決める必要があるわけです。
高
軍事同盟関係にある日米と韓米も、おたがいに軍事機密を共有しています。ただし、どこまで軍事機密を共有するのか、同盟関係の友好国に公開するときのガイドラインを整理しておく必要があります。たとえば私の場合を例にわかりやすくすれば、「高少佐が日本のジャーナリストに提供した軍事情報は、日米同盟下、米韓同盟下にある友好国同士の情報だから、秘密漏洩にはならない」という秘密公開のガイドラインを決めるべきなのです。敵性国に共同して対応するためにも不可欠です。
佐藤
秘密は重要度によって分けて管理されています。そのうちどこまでを出していいか、友好国に公開するときのガイドライン設定が求められますね。
高
おっしゃるとおりです。機密の重要度は四段階に分けて管理しています。「トツプ・シークレット」(一級機密)、「シークレット」(二級機密)、「コンフィデンシャル」(三級機密)、そして秘密レベルが低い「対外秘」です。また秘密文書は、作成されてから二年後、五年後、もしくは一〇年後までという秘密保持期間が設定されます。軍事同盟関係にある友好国同士は、秘密のレベルと保持期間を勘案して、情報公開のガイドラインを設定、円滑な情報交流ができるような協定を結ぶべきです。
佐藤
先ほど高さんが指摘されたとおり、日本と韓国は、おたがいにアメリカとの軍事同盟関係にあります。つまり、友だちの友だち。友好国同士なのに、秘密公開の基準とサード・パーティー・ルールがないから、高さんはその被害者になったわけですね。日米韓三国が、情報交流のルールをもっと早く設定していたならば、逮捕されることもなかったのです。(P70〜P77)
(私のコメント)
「株式日記」ではスパイ防止法を早く作れと主張しているのですが、国会ではそのような法律が作られる気配も無い。以前にスパイ防止法を潰した谷垣氏が自民党の政調会長をやっているくらいだから無理でしょう。またそのような組織を作っても人材がいなければ機能せず、いったい何をやっているのかわからない組織だから税金の無駄使いになる恐れもある。
すでに公安調査庁という情報機関もどきの組織もありますが、廃止が検討されるくらい機能していない。その元長官が北朝鮮のエージェントだったようなのですが、ミイラとりがミイラになってしまっては、そんな組織は無い方がいい。Wikipediaで調べると約1500人を擁する大組織なのですからりっぱな情報機関だ。
公安調査庁は法務省の外局であり、設立には中野学校出身者も参加していたのだから、まさに組織としてはCIAやモサドやSISなどと同格なのですが、存在感は全く無い。最近公安調査庁が話題になったことでは朝鮮総連の本部の建物の仮装売買に公安調査庁の元長官が絡んでいたことですが、全く不可解な事件だ。
◆たたかえ!公安調査庁 6月19日 内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/2007/06/19_0843.php
朝鮮総連の中央本部の土地建物が627億円の借金のカタに差し押さえられるのを防ぐために、元公安調査庁長官と元日弁連会長がダミー会社へ所有権移転をはかった事件について、メディアは「真相は謎」とか「意味がわからない」と繰り返しコメントしている。
どうして?
誰にだってわかるでしょう。
公安調査庁は破壊活動を行う可能性のある組織を監視する官庁である。
国内における監視のメインターゲットは朝鮮総連である。
現に今年の5月30日の公安調査庁長官訓示で、長官は同庁の喫緊の課題を三つ挙げている。
「第一は,国際テロ関連動向調査の推進であります。テロを未然に防ぐためには,国際テロ組織関係者の発見や不穏動向の早期把握が何よりも大切であります。」
「第二は,北朝鮮関連情報の収集強化についてであります。北朝鮮・朝鮮総聯の動向は,我が国の治安のみならず,我が国を含めた東アジアの平和と安全保障に重大な影響を及ぼすものであることから,今後とも喫緊かつ最重要課題として取り組む必要があります。とりわけ,日本人拉致問題や核・ミサイル問題などをめぐる北朝鮮の対応や実情について,政府の施策に貢献し得 る高度情報が求められておりますので,各局・事務所におかれては,金正日政権のこれらの問題に関する今後の対応方針や,朝鮮総聯に対する指示・指導等について,高度情報の収集に特段の努力を傾注していただきたいのであります。」
第三は「オウム真理教に対する観察処分の厳正な実施」。
その三つが公安調査庁のとりあえずの仕事である。
「三つもある」ともいえるし、「三つしかない」ともいえる。
そして、緒方重威元長官はそのうち「喫緊かつ最重要課題」をコントロールすることができたら、公安の仕事はずいぶん楽になるであろうと考えたのである。
私は緒方長官の推論はたいへん合理的であると思う。
彼がめざしたのは朝鮮総連に「恩を売る」ことではない(そんな情緒的な人間は諜報活動に従事できない)。
そうではなくて、北朝鮮からの情報を専管し、国内におけるあらゆる北朝鮮関連活動の指令がそこから発されるような「中枢」が存在することは、そのような「中枢」が存在しない場合よりも「北朝鮮関連情報の収集強化」のためには有利であると判断しただけである。
ジェームズ・エルロイが書いているように、警察の夢はすべての犯罪が「組織的」に行われることである。
人間社会が存在する限り、「犯罪が消滅する」ということはありえない。
次善の策は「犯罪が中枢的に管理されて行われる」ことである。
犯罪組織と警察が緊密な連絡を取り合い、ある程度共依存的関係を保つことができれば、国家体制の根幹を揺るがすようなカタストロフは回避できる。
犯罪を統御する組織的中枢が存在せず、さまざまな種類の犯罪が、さまざまな動機で、さまざまなタイプの人間によって、ランダムに行われるというのが警察にとっての「悪夢」である。
統制不能の犯罪はひとつひとつは微罪であっても、社会秩序そのものへの信頼を酸のように犯す。
だから、世界中どこでも警察は犯罪組織の存在を看過している(場合によっては支援さえする)。
それと同じ理屈で、公安警察は仮想敵国のスパイ組織が「ツリー状」の上意下達組織系列をもって活動することを切望するのである。
スパイというのは本質的にダブル・エージェントである。
情報戦の本質はビジネスと同じく「交換」だからだ。
自国の機密情報を流すことを代償にしてしか、敵国の情報を得ることはできない。
情報漏洩のもたらす被害と、それとの交換で獲得される情報によって予防できる被害を比較考量して、算盤が合うと判断したら、情報なんかいくら漏洩したってよい。
そう考えるのがスパイである。
公安調査庁の長官というのは「諜報活動の責任者」である。
そんな人間が「義侠心」やら「欲得ずく」のような人間的感情に基づいて違法行為を犯すはずがない。
ダミー会社の設立と登記移転は(少なくとも主観的には)諜報活動の一環として行われたと私は考えている。
総連本部の土地建物を公安が保全するということは、それが「金正日政権のこれらの問題に関する今後の対応方針や,朝鮮総聯に対する指示・指導等について,高度情報の収集」をより容易ならしめるという判断に基づいて決断されたのである。
それを直接公安調査庁がやったのではリークしたときに大変なので、緒方元長官という「ダミー」を経由したのである。
もちろん安倍総理大臣だってあらかじめご存じである。
このような重大な諜報活動が首相の暗黙の了承抜きで行われ、首相が新聞を読んで知ってびっくりした・・・というようなことだとしたら、そちらの方がよほど国政のありようとしては異常である。
「監視対象はできるだけ監視しやすい状態にとどめておきたいと願うのは公安として当然でしょう?」という常識的な言葉をどうして誰も口にしないのであろう。
私にはそちらのほうがはるかに謎である。
(私のコメント)
私が書こうと思っていた事を内田氏のブログに書かれてあるのですが、情報組織と言うのは外国との情報の交換で情報を入手しているのですが、日本にはその情報交換基準と言うものがない。だから日本の公安調査庁は外国の情報機関から相手にされず、だから存在価値が無く解散もささやかれるほどなのだ。
また公安調査庁の後ろ盾になるようなスパイ防止法も無く、公安警察のような強制捜査権も無い。専ら北朝鮮関係の情報収集に精力を注いでいるようですが、拉致被害者の情報が全く入ってこないのは情報機関として機能していないようだ。対アメリカの内部情報も全くつかんでいないようで、掴んでいれば安倍総理も失脚せずに済んだのでしょうが、外務省とは違って情報分析が仕事なのだから、ブッシュがどう出るかぐらいの情報提供はすべきだった。
佐藤優氏の「国家情報戦略」という本では、外国との情報機関との情報交換の事が書かれていますが、日本国内の情報はほとんど筒抜けなのだから情報交換のしようが無いのだろう。防衛省にしても全く情報管理が出来ていなくて自衛官の私用パソコンから大量の軍事情報が漏れている。まさに日本はスパイにとっては天国で、スパイが捕まっても最高で1年で釈放だから取り締りようが無いのだ。
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