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労働法制改悪の「棚上げ」
今年の五月二十三日、経団連の定時総会が予定されていた。この定時総会は一般企業の株式総会にあたる。この定時総会の二日前の五月二十一日、財界の三百二十人が自民党の幹部と経団連会館で向かい合った。この会談は経団連が定時総会に向けて自民党との最後の公式な「付け合わせ」の場と位置づけたものであり、「審問」する場でもあった。
これを裏付けるように会談の冒頭に御手洗は、「経団連は政策評価をもとに政治的寄付(献金)を推進してきた。政策本位で政治に協力するという意味である」とあいさつしている。この発言の本音は「政治的に約束したことの中で、自民党はなにができ、なにができないのかはっきりさせろ。われわれの方は定時総会が目前にせまっている。それは献金の額にもかかわる」。つまり、出来高払いと言っているのである。
経団連が献金の代価として自民党に要求していたのは、第一に法人実効税率の大幅引き下げと消費税の値上げ(2%)であり、第二は規制緩和の最終目標である「労働ビッグバン」に向けた労働法制の改悪であった。これらはすでに動き始めていた。〇六年十一月には、政府税調が経団連の要望に沿って答申に法人税の減税の必要性を盛り込んだ。労働法制の分野でも厚生労働大臣の諮問機関が〇七年二月の答申に「一定の条件を満たす社員を労働時間の規制から外す『ホワイトカラー・エグゼンプシヨン』と解雇の金銭解決を認める労働契約法などの導入」を謳った提言が答申されていた。
だが今年になると「格差・貧困」に対する怒りが全国的に広がり、一方で「企業だけ減税して庶民は増税か」他方ではホワイトカラー・エグゼンプシヨンは「残業代ゼロ法案」という声があがり、統一地方選を揺さぶり、企業を告発する労働訴訟が全国的に展開され始めた。さらに国会では柳沢厚労相の「女性は子どもを産む機械」発言や「政治とカネ」問題で追い込まれ、自民・公明の与党は身動きがとれない状況に立たされた。
他方、企業側も松下電器の子会社である「松下プラズマディスプレイ(PDP)」の偽装請負の告発に端を発し、御手洗のキャノンでも全国の工場で偽装請負が恒常化していることが暴露された。あろうことか御手洗は謝るどころか「法律の方が問題なのだから、法改正すべき」と居直る始末。さらにフルキャストやグッドウィルなどの人材派遣大手の派遣法違反が告発される。禁止されている職種への派遣や二重派遣、三六協定に該当する協定を締結せずに日常的に残業させる人権無視、その上「データ装備費」などを名目とした賃金の「ピンハネ」など、数え切れない程の違反が明らかとなった。そしてこれまでは決して表面には出てこなかったが、このシステムを利用して利益をあげているのがトヨタやキャノンなど日本を代表する大企業であることが暴露された。フルキャストやグッドウィルの後に大資本が隠れていたのである。
この結果、五月に入ると自民党や公明党の中から「成長戦略といっても労働社会、消費社会の視点が全くない。このまま経営者の言い分に乗ったら参院選で負ける」という声が出始め、ついに税制問題も労働法制問題も参院選後まで棚上げすべきという意見が大勢を占めるに至ったのである。追いつめられた自民党と財界はついに五月二十一日の会談で正式に「棚上げ」を決定したのである。
全文はこちらで
「労働ビッグバン」を打ち砕こう 労働契約法、日本版エグゼンプション、派遣法改悪の阻止を (週刊かけはし)
http://www.jrcl.net/web/frame070917a.html
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