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小沢論文は「憲法を楯にした立てこもり」の否定(ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 )
http://www.asyura2.com/07/senkyo42/msg/1071.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 10 月 11 日 10:16:48: 2nLReFHhGZ7P6
 

http://amesei.exblog.jp/d2007-10-10

アルルの男・ヒロシです。

今日は、久々に日本国内の政局について取り上げてみようと思う。もっかの最大の話題は、臨時国会内の予算委員会で審議が開始された、「給油新法」の審議の行方だろう。
自民党など野党は、インド洋周辺での海上自衛隊の給油活動を継続する法案をもうすぐ国会に提出する。この法案は、従来の「テロ対策特措法」とは構成を変えて、焦点を海上自衛隊の給油活動に絞るという一点に集約したものである。要するに、「無料のガソリンスタンド」を継続するか、しないかという法案だ。

それに対して、野党の民主党からは党首の小沢一郎代表が、雑誌「世界」に、彼自身の「国際貢献」についての考えを示している。彼は、とにかく国連重視で、国連原理主義者とも言われた。彼の寄稿文をどのように解釈するか、ということが重要になってくる。

そこで、まず雑誌に掲載された論文を一部引用する形で紹介したいと思う。

「今こそ国際安全保障の原則確立を」と題された小沢代表の寄稿は、この雑誌に寄稿された文章は、「国連本部政治局政務官・川端清隆」に対して宛てられた「公開書簡」であるということだ。川端氏が、「国連中心主義と日米同盟は矛盾しないか」という疑問を投げかけたことに対する答えである。

その中でまず小沢氏は、「米国はもはや、一国で世界の平和維持、すなわち国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能」になっていると述べ、米国は「国際社会に助けを求めている」のではないかと問いかける。さらに、日本は同盟国として、「忠告すべき」であると説き、その上で、「そのためには、日本自身が世界の平和を守るためにあらゆる努力をし、平和維持の責任をシェアする覚悟が不可欠です」と述べている。要するに、“日本人の覚悟”が必要であると述べるわけである。ここにおいて、小沢氏は、アメリカ民主党の主流派的考え方に基づいて発言している。これはどう読んでもそうならざるを得ない。

以下に小沢氏の寄稿文から引用する。全体の四分の一ほどを抜き書きしたもので、一部省略した他は手は加えていない。


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「日本がテロとの戦いに参加しないなどとは、私は一度も言っておりません。我が国はかつて、何度もテロに屈して、死刑囚を含む犯罪人の釈放と身代金の支払いに応じたことがあるのです。(中略)それだけに日本人は、決然としてテロと戦う決意と態度を持たなければなりません」

「しかし、それは無原則に我が国の軍隊を海外に派兵することではありません。言うまでもなく、日本国憲法第九条は国権の発動たる武力の行使を禁じています。国際紛争を解決する手段として、自衛権の発動、つまり武力の行使は許されないとうことです。したがって、我々は、自衛権の行使(武力の行使)は我が国が直接攻撃を受けた場合、あるいは我が国周辺の事態で放置すれば日本が攻撃を受ける恐れがあるという場合に限定される、と解釈しています」

「しかし、一方において日本国憲法は、世界の平和を希求し、国際社会で名誉ある地位を占めたいと、平和原則を明らかに謳っています。そのためには、国連を中心とした平和活動に積極的に参加しなければなりません。それが憲法の理念に適うものだ、と私は考えています」

「私は、日本国憲法の考え方からいって、米国であれどの国であれ、その国の自衛権の行使に日本が軍を派遣して協力することは許されないと解釈しています。同時に、国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致するという考えに立っています」

「分かりやすく説明します。自衛権は正当防衛と言い換えられます。確か、英語ではどちらも広くセルフ・ディフェンスと言うと思います。例えば、お巡りさんは自分自身の正当防衛権(国家では自衛権)に基づいて、銃器を所持し、強制力を行使し、必要なときは武力を使うことが許されているのでしょうか。そうではありません。それはあくまでも、社会の役割として警察官に与えられた権能であって、警察官個人の正当防衛ではありません。また例えば、たとえ自分の目の前で殺人が行われても、一般国民はその犯人を殺してはなりません。それはリンチにほかならず、絶対に許されないことです」

「そのことを国際社会に当てはめて考えてみると、よく分かります。国際社会で合意を得ないまま勝手に武力を行使するのは、リンチでしかありません。それを認めたら、国際社会の秩序と平和を保つことは出来ません。つまり、個々の国家が行使する自衛権と、国際社会全体で平和、治安を守るための国連の活動とは、全く異質のものであり、次元が異なるのです。国連の平和活動は国家の主権である自衛権を超えたものです。したがって、国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない、というのが私の憲法解釈です。

ちなみにそのことについて、明確に述べている憲法学者がいます。横田喜三郎さんという東大教授で、のちに最高裁判所長官を務めた方です。」

「国連の決議でオーソライズされた国連の平和活動に日本が参加することはISAFであれ何であれ、何ら憲法に抵触しないと言っているのです。もちろん、具体的にどんな分野にどんな形でどれだけ参加するかは、その時の政府が政治判断をして決めることです。しかし、日本政府はこれまで、日本国憲法を楯に国連活動への参加を拒否してきました。私は、まずその姿勢を改めるべきだと、繰り返し主張しているのです。」

「もちろん、今日のアフガンについては、私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています。また、スーダン(ダルフール)については、パン・ギムン国連事務総長がかつてない最大規模のPKO部隊を派遣したいと言っていますが、PKOは完全な形での国連活動ですから、当然、それにも参加すべきだと考えています」

「前述したように、私の主張は、国連の決議に基づいて参加する活動は日本国憲法に抵触しないということですが、合憲なら何でもやるということではありません。国連の決議があっても、実際に日本がその活動に参加するかしないか、あるいはどの分野にどれだけ参加するかは、その時の政府が総合的に政治判断することです。それは政治のイロハです。」

「紛争やテロの根底にあるのは貧困という人類の根本課題だ、ということです。貧困をひとつひとつ克服し、人々の生活を安定させることが、何よりも大事なことなのです。日本で「ペシャワール会」をつくり、年間約三億円の基金を集めて、アフガンで現実に働いている中村哲さんというお医者さんからお話を伺う機会がありました。(中略)だからまず中村さんも、医療の仕事より、井戸を掘ったり灌漑用水を造ったりするのに一生懸命だそうです。(中略)政治の使命、役割は結局、「民のかまど」を豊かにすることに尽きます。」

「公開書簡『今こそ国際安全保障の原則確立を』 」小沢一郎(民主党代表) 雑誌「世界」2007年11月号(岩波書店)
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この公開書簡は、民主党内部でも議論を呼んでいるようだ。

小沢流の国連中心主義は、「合憲なら何でもやるということではありません」と留保を付けているものの、明らかにこれまでの憲法解釈から一歩踏み越えている。さらにダルフールにも自衛隊を派遣すると言っているが、明らかにダルフールは戦闘地域でそのような場所に自衛隊を派遣するという主張は、今のところ自民党議員ですら出していないラディカルなものである。

この小沢書簡を意識したような発言が、今行われている国会審議でも次々にでてきた。安倍前首相おろしをやった自民党の石破茂・防衛長官と中谷元・元防衛長官がその代表格である。二人は、「武力行使を伴うISAFへの参加は認められないというのが政府が取ってきた立場だ。小沢氏の論文は『国連決議があればすべて参加するわけではない。その上で主権国家として判断する』とある。逆に言えば、国連決議がなければ自衛隊は出さないということが反対解釈として成り立つ。国民は何に運命をゆだねるべきか、議論をきちんとした上で結論を得るべきだ」(石破氏)。さらに町村官房長官も、「憲法九条で禁じられる武力行使に当たる行為は許さないというのが伝統的な憲法解釈だ。直ちにISAFに参加することが、結果的に武力行使を含むものであってもいい、という議論にくみするわけにはいかない」と述べている。

自民党が一気に「護憲政党」に豹変し、野党の小沢代表と役割を変わったのではないかというくらいに奇妙な議論が行われたが、これを観ると、福田内閣というのは、吉田茂的な「憲法を楯に自衛隊の海外派遣を出来るだけ回避する」という姿勢を貫くように見える。何となれば、無料のガソリンスタンドの仕事は、自衛隊に対して何ら危険は及ばないからだ。実際に調べてみたら、自衛隊が活動していた海域で確保されたのはテロ船というよりは海賊船であり、その意味で、テロとの戦いというよりは、海賊対策というのが正しいところである。

小沢代表は、昔から日本は「普通の国」(正常な国、ノーマル・カントリー)になるべきだという論陣を張ってきて、少し前に出された「小沢主義」という本でも、国連の活動には積極的に参加すべきだという論陣を張ってきた。この小沢代表の主張に対しては、例えば、4種類の対応の仕方がある。

1.全面的に賛成する
2.全面的に反対する
3.原則は賛成するが、各論で要件を厳しくする
4.原則的には賛成しないが、例外的に認める場合をもうける

1の対応を取れば、自衛隊をダルフールでも、アフガンでも、イラクでも、国連決議が行われた場合には派遣することになる。しかし、アメリカやイギリスとしてはこれは願ったり適ったりであろう。国連決議を採択させることで、自衛隊の派遣が保証され、武力行使を含む活動までやってくれるというのだから。国民の反発が高まるということは除外して考えれば、割に合わない任務ばかり押しつけられる可能性もある。ただ、現実には、国民世論は派兵にたいしてはかなり消極的なので、よほど上手なプロパガンダを行わない限りは、1の対応が成功するとは思えない。前原や長島のようなリベラルで介入容認派のアメリカ民主党系の受け皿が勢いづくという可能性もある。いずれにせよ、この一番の対応は、理想主義と憲法の護憲主義を曲解した解釈になるといわざるを得ない。

次に、2番の対応であるが、私はこれでもいいと思っているが、この考えは世間の多数を占めないだろう。それに、自民党サイドや民主党サイドから、「湾岸戦争のときの恥を思い出せ」とか、いわゆる「国際社会」(実際は英米)の批判が高まるだろう。それで、結局、無理矢理、政治スキャンダルを仕掛けられたり、イラクの時の奥克彦参事官暗殺事件のような脅しをアメリカから仕掛けられる可能性もある。

3番の考え方をしているのは、おそらく民主党では枝野幸男議員などだろう。枝野議員は、小沢国連論の解釈として、「常設の国連軍を前提にした考えだと思う」とテレビ朝日の番組言っていたのを聞いたことがある。それ以外にも、抑制的に運用するやり方として、国連決議があった上で、加盟国の何パーセント以上が派兵したことを条件にして日本も参加するという考えもある。

さらに抑制的に捉え、武力行使を活動中の自衛行為に限定するという見方を取れば、小沢論文は、「自衛隊活動は、民生支援に限定し、その上で武装勢力の攻撃から身を守るために武力行使をすることだけを認めるのであって、掃討戦への参加は認めない」という考えと解釈するやり方がある。その場合、自衛隊の活動の中心は、井戸を掘ったり、「キャプテン翼」のマークの入った給水車で給水活動を行うだけ、というものになる。アフガンのペシャワール会の話を引き合いに出している当たり、小沢代表は最終的な落としどころとしてはここを考えているのではないか。ただ、明らかに戦闘地域の「スーダン・ダルフールへの派遣と」いう“爆弾発言”もしているので、真意はよく分からない。

4の対応は、まさに今の自民党の対応である。建前上は「国連決議」のある給油活動だが、実際は対米支援(給油の八割が対米国)になっているからである。町村発言のように、原則として、国連のお墨付きがあることを条件にした自衛隊派遣を認めないにもかかわらず、給油支援だけは行うという立場だからだ。しかも、小沢代表は、給油に反対しておきながら、ISAFには参加できるという風に言っており、明らかに矛盾している。小沢代表の主張を、「民生支援」に限定しない限り、この二つが両立することはあり得ない。

小沢代表は理想論を言っているのだが、突き詰めた議論をするなら、9.11事件に対する報復行為としてアメリカが開始した、200カ国が参加する「アフガン戦争(不朽の自由作戦(OEF))」がそもそも必要であり、正当性のあるものであったのかどうかを問わなければならないし、カルザイ政権の正統性から問わない限り、欺瞞が残ってしまうと思う。

アメリカがパイプラインの利権を求めてアフガニスタンを標的に選んだという問題がどうしても残る。その疑義についての正当性を問いただした上で、日本が理想を掲げてアフガニスタン支援に向かうならば、正当性が確保できるが、今のままの支援は結局はアメリカの覇権戦争を肯定するだけに終わると思う。

理想論を突き詰めるならば、無理かもしれないが、そこまで踏み込まないと話が始まらない。そこまで出来ないで自衛隊をISAFに参加させるというのであれば、石破氏や中谷氏のような自民党の「隠れ護憲派」の論理に乗っかって、今の「ガソリンスタンド」を続けていく方がいいのではないかとすら思える。このやり方は、要するにアメリカの石油メジャーのシェブロンから石油を買ってあげるという「金銭支援」らしい。(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/10/post_d7ea.html

これとは別の議論として、「自衛隊分割論」がある。ただ、常設の国連軍があるかないかとは別に、自衛隊の中に国連派遣枠を設けて、自衛隊と切り離す考えである。要するに、自衛隊や国軍とは別に、自衛隊から出向させるという形を取る。つまり、日本が主体的判断を抛棄するというやり方である。私も、以前はそれでいいのではないかと思ったこともあったが、しかし、国連という組織が「連合国」である以上、国どうしの集まりである。やはり、国自体の主体的判断を抜きにした議論は出来ないと思う。

やはり日本はハンディキャップを背負った上で、「PKO5原則」に基づいて、紛争終結後の復興支援を助けるというやり方がいい。その協力については、身銭を切ってもいいだろうし、技術の支援も惜しまないでやればいいと思う。

小沢代表の真意がどの辺にあるのか、多義的に読める書簡なのだが、仮にこれを文意通りに読んでいけば、「自衛隊をダルフールに派遣してもいいし、武力行使もいとわない」と書かれてある。

私としては、仮にこの問題が次の衆院選の争点になったとすれば、それには賛成するわけにはいかない。

ただ、何度もいうように小沢発言には、相当な含みがあるので、そのまま受け取るわけにも行かない。

ともかく、小沢発言の化学反応で民主党内の意見がどのように分かれていくかを見ていく必要がある。

「よりマシな選択」を選んだと思ったら「もっと酷い選択」を選ばされたということにならないように気を付けて行かなくては。

要するに、私は、原理的には2番目の考えであるが、3番目の考えでも途はある(ただし、相当に条件を厳しくした上で・・・)という考えである。

そして、仮に無理に1番のやり方で行くくらいならば、4番でもやむを得ないという考えである。皆さんは何番の考えに一番近いでしょうか?


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