★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK42 > 1042.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
○副議長(横路孝弘君) 長妻昭君。
〔長妻昭君登壇〕
○長妻昭君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、総理に所信表明について質問を申し上げます。答弁が不十分であれば、時間の範囲内で再質問をいたします。(拍手)
福田総理は所信表明で、「若者があすに希望を持ち、お年寄りが安心できる、希望と安心の国」を表明しましたが、具体策と期限がありません。民主党と協議、協議と言うなら、我が党のように、まず具体策を出してください。
まずは、安倍前内閣の政策のうち、福田内閣で継承する政策と継承しない政策をお教え願います。また、安倍前内閣との最大の違いは何ですか。戦後レジームからの脱却をどう評価しますか。お尋ねします。
民主党は、年金の信頼回復に全力で取り組んでまいりました。
年金保険料を年金支給以外には使わないという大原則を打ち立てることが重要です。保険料は特別会計にある青天井の財源との意識で浪費されます。民主党が参議院に提出した年金流用禁止法を、総理は先ほど反対との趣旨の答弁がありました。なぜ賛成いただけないのでしょうか。
伊吹幹事長は、我が党の主張と異なり、年金制度について、微修正で対応可能との先ほど質問がございました。福田総理は、現在の制度のままで本当に百年安心とお考えですか。御自身の言葉でお答えください。
消えた年金問題は、いまだ深刻です。
安倍前総理は、参議院選挙前に、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、すべてお支払いすることをお約束すると発言されました。当然、福田総理もこの公約を遵守されると思いますが、いかがでございますか。
また、来年三月までに終了するのはどのような対策なのか、お示しください。その時点で統合すべき記録がすべて統合されるのか、明確にお答えを願います。
大きな問題が発生したときの必要なプロセスは、実態解明、責任追及、解決策の実行、この三つのプロセスです。いまだにすべてがお粗末です。
消えた年金問題は、いつ、どのような状態になった時点で最終的な解決と言えるのか、お聞かせください。
解決するための経費の支出は、徹底した責任追及なしには、到底国民の皆様に納得いただけません。今後、どのように、だれの責任を追及していくのか、その中に、解決を先延ばしした安倍前総理の不作為責任も含まれるのか、歴代社保庁長官の責任も追及するのか、お答えください。
自民党は、参議院選挙前に、消えた年金問題のビラを作成し、ホームページにも掲載しました。そこには、「第二弾 ご安心ください!! あなたの年金は大丈夫です!!」とのタイトルに続いて、五千万口に関して、「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」とあります。すべての記録の統合完了が一年以内というのは本当ですか。具体的に何年何月までですか。自民党総裁でもある総理にお尋ねします。
また、自民党の同じビラの裏面には、「政府・与党案」として、「今後一年で問題解決・全額支払い」とあります。今後一年で本当に全額支払いを実現できるのですか。一年以内とは何年何月までですか。
ビラの中身が虚偽だったのであれば、撤回し、謝罪をしていただきたい。(拍手)
統合されている記録にも、納付月数など受給額が減ってしまう入力ミスが確認されています。五千万件を統合さえすれば問題が解決するわけではありません。なくした財布を見つけても中が空っぽであれば意味がないのと同じです。
民主党の強い要請で、ことし八月から、政府は五千万件のうち七千八百四十件をサンプル調査しています。七千八百四十件に該当する紙記録を捜し出して照合し、入力ミスが何件あるかも調査願います。いかがですか。
納付月数や標準報酬月額、資格取得・喪失日が抜けていたり、入力ミスがあったりする記録は何件ありますか。七千八百四十件の保険料は、一件当たり平均幾らですか。それが判明すれば、五千万件の保険料総額や受給額総額が推定できます。このようなサンプル調査をいつまでに完了するのか、お答えください。
民主党は、消えた年金問題の抜本解決の一つは、納付が記された手書き紙記録との照合と考えています。自治体や社保庁にある厚生年金や国民年金すべての紙記録を捜し出して、コンピューターデータと照合して、データを徹底的に正しくするのです。一年以内に紙記録との照合、訂正を終えるには、どの程度の人、物、金が必要になるのか、ぜひお答えを願います。
現時点で、政府、自治体が保管している紙記録は、ダブりも含めて五億七千十五万件とも聞いていますが、それは本当ですか。全体の何割が紙記録として残っているのですか。
これまで、記録回復によって受給額が増額した方は数多くいらっしゃいます。先月から過去一年間で増額された受給額は全額で幾らですか。また、これまでの相談対応などの中で、コンピューターには入力がなかったものの、紙記録には記録があったケースは何件ですか。つまり、入力ミスの件数です。
年金記録第三者委員会の認定が滞っています。これまでの被害者すべての記録漏れや消滅の時期、納付事務所、納付方法などを工夫して公開して、被害者データベースをつくることが重要と考えますが、いかがですか。
保険料の横領問題もお尋ねをいたします。
社保庁と自治体には、本当にもう未公表の横領等はないのですか。すべての現役職員とすべてのOBに聞き取り調査を実施すべきと考えます。民主党の強い要請で社保庁の聞き取り調査は始まったようですが、全体の聞き取り対象人数と期限をお示しください。
その他、多くの苦情が寄せられている脱退手当金、特例納付、不在者設定、障害年金、現況届の不正などに関して、徹底した実態調査を要請します。いかがですか。脱退手当金の横領の件数、国民年金基金の未払い件数と総額もぜひお示しをください。特に、厚生年金や国民年金の受給資格があるにもかかわらず申請していない方は、何人、総額幾らですか。いわゆる未払いの実態をお示しください。
結局、日本の年金は、取るだけ取って払い渋りの一言に尽きます。(拍手)
年金は国家の信頼に直結します。年金の信頼が地に落ちた今、国家の危機であると言っても過言ではありません。特に消えた年金問題の解決は、現在のように、社保庁があいた時間を使って片手間で作業をするのではなく、国家プロジェクトとして内閣挙げて取り組んでいただきたい。いかがですか。
総理の年金問題に関する発言を伺っていると、まるで他人事です。たかが年金ではありません。国家の危機であるという意識をお持ちかどうか、見解を求めます。
年金ばかりか、退職金にも問題はないでしょうか。
厚生労働省所管の独立行政法人勤労者退職金共済機構は、中小企業の退職金支払いを支援しています。従業員を対象に一人当たり最低月五千円の掛金を事業主負担で機構に支払えば、機構から従業員に対して退職金が支払われるというものです。
機構は、五人の理事のうち四人もが厚生労働省の元職業安定局長など天下りです。
ところが、この仕組みができた昭和三十四年度から平成十八年度までで、未請求が四十九万二千二百五十一人、三百六十五億九千万円もありました。これが未払いになっています。人数では全体の五・七五%に上ります。この実態と反省をお示しください。
民主党は、年金を削る前に天下りを削れ、社会保障を削る前に税金の無駄遣いを削れと訴えてまいりました。
日本には、先進国では見られない、税金や保険料の無駄遣いを自動的に発生させるシステムが国の中心に埋め込まれています。このシステムにメスを入れれば、多くの財源が出てまいります。見方を変えれば、財源を生み出す宝の山なのです。
このシステムの五つの代表例のイニシャルをとるとHAT―KZ、ハットカズとなります。
最初は、H、ひもつき補助金システムです。
自治体が必要とする事業と国が補助する事業に差があり、補助金をもらうためには、自治体が必要としない事業までも要望せざるを得なくなる。必要性の低い事業が生まれる温床です。省庁の権益を引きずるひもつき補助金を一括交付化する必要があります。天下り団体に天下りとセットで流れる補助金や委託費にもメスを入れる必要があります。
遠藤前農水大臣がトップの農業共済でも見られた、不適正な補助金が返還されていないという問題もあります。民主党が要請した調査では、会計検査院が指摘を公表した事例に限っても、平成八年度から平成十七年度まで十年間で、会計検査院が不適正な経理と指摘して当該省庁が返還することを弁明書で国会に約束したもののうち、十八団体、二十三件、十二億二千四百七十四万円の国の補助金がいまだ返還されないままになっています。それぞれの実態と反省、返還されない理由、全額返還させる場合はその時期を伺います。そもそも不適正と指摘されるような形で補助金を出してしまった反省や監督責任はないのか、あわせて伺います。
また、五件の事案について未返還であるとの指摘を受けた財団法人高年齢者雇用開発協会は、職員十九人中五人の天下りを受け入れています。天下りと不適正補助金の関連性はないのか、お答え願います。
二番目は、A、天下りあっせん・仲介システムです。
先進国で日本だけは、政府が天下りあっせん、仲介を業務の一環として実施しています。天下りにも類型があります。三つです。
持参金型天下り。これは天下りが国からの発注や補助金とセットである典型的な事例です。
最終役職が格上の天下りを受け入れると、補助金や契約など国からの税金の流れがどの程度ふえるのか。また、新たに天下りを受け入れたり受け入れ人数をふやすと、税金の流れがふえるのか。すべての団体に関して、再度相関関係の調査をお願いします。期限もお示しください。
次に、人質型天下りです。これは、指導、監督、検査などの手心を加えてもらおうと受け入れる天下りです。
例えば、会計検査院からの天下りを検査対象団体が受け入れると、団体が先輩を人質にとった格好になり、会計検査院にとっては厳しい検査ができにくくなります。
実際に、国会でも指摘しましたが、会計検査院は、日本中央競馬会、JRAの不適切な会計処理を知りながら見過ごしていた疑いがあります。JRAは検査対象団体で、会計検査院の天下りをこれまで合計八人も受け入れていました。しかも、検査にOBが立ち会っていました。地方競馬場への検査にまで同行したということです。
今後、検査対象団体は検査院からの天下りは受け入れるべきではないと考えますが、各省庁経由で検査対象団体にそのように指導をいただけるでしょうか。明確にお答えを願います。
次に、創業型天下りです。これは、官僚OB同士で企業を設立する際に、設立前に出身省庁と将来の受注の約束を結ぶ手法です。出身省庁から直接受注すると怪しまれるために、財団法人を経由するケースもあります。
国会でもただしましたが、当時、運輸省OBが設立した株式会社国際開発システムがこの事例に当たります。
また、平成五年十月に設立された、新潟県に本社のある北陸建設サービス株式会社は、発起人三人全員が国交省OBです。資本金二千万円、四百株はすべて国交省OBから募りました。現在も、社長含め役員三人が国交省出身者です。この会社の売上高のほとんどは国交省からの受注です。国交省から、清掃、賄い、電話交換、運転手派遣など、随意契約で一年で五億円以上受注した年もありました。創業後、現在まで、国交省からの随意契約の総額をお教えください。反省の弁があれば、お答え願います。
創業者が国家公務員OBの会社について、ぜひ実態を調査願いたい。いかがですか。また、創業型天下りに対する政府の取り締まり方針について、明確に御答弁願います。
公益法人の事業を独占的に引き継ぐ天下り株式会社もあります。公益法人から出資を受けているか、あるいは事業の譲渡や継承をしている株式会社のうち、天下りを受け入れているのは何社ありますか。また、当該公益法人と株式会社の双方に在籍したことのある国家公務員OBは、何法人、何人いますか。
かんぽの宿で食堂業務を引き継いだ株式会社夢閑歩サービスや、国立病院の駐車場管理などを手がける株式会社保健医療ビジネスなど、公益法人からの不透明な営業譲渡が散見されます。政府の対策をお示しください。
公益法人が解散しても、業務を引き継いで、株式会社という形で天下り団体が温存される事例は何事例ありますか。とんでもない話です。
また、独立行政法人が、天下りを受け入れる企業や公益法人、合わせて四十三法人に対して出資していることが判明しました。事実関係と、問題がないのか、見解を問います。
総務省の天下り団体である特殊法人公営企業金融公庫があります。その社宅に、なぜか総務省の官僚が入居しています。問題はないのですか。
民主党の調査で、国からの天下りだけで四千五百団体に二万八千人が在籍しており、その団体に半年で国から六兆円の税金が流れ込んでいることが明らかになりました。天下り団体を養うために、必要性の低い仕事をでっち上げているケースも含まれています。政府は、六兆円のうち、具体的に幾らをいつまでに削減するおつもりですか。お答えください。
政府は、これまでこそこそやっていた天下りを、官民人材交流センターという名前の天下りバンク設立で、天下りあっせんを合法化しました。とんでもない話です。民主党法案のように、天下りのあっせんは一切禁止していただきたい。いかがですか。
ある官僚は、ハローワークでは仕事が見つからないと話していました。政府が運営しているのに、ふざけた話です。官僚だけは、特別の豪華版ハローワークをつくって、手厚く再就職の世話を受けます。いまだ日本は官尊民卑の国なのでしょうか。天下りバンクに注ぎ込む税金があるのなら、ハローワークを改革していただきたい。総理、重大なことです、お答えください。
ことし六月の内閣委員会で、渡辺大臣は、「私としては、いわゆる押しつけ的あっせんの件数は、確認された限りで三年間千九百六十八人と受けとめております」と答弁されました。平成十六年から十八年の三年間で、天下りあっせんが確認された総人数が千九百六十八人です。つまり、天下りのあっせんすべてがいわゆる押しつけ的あっせんと認めたわけです。そうであれば、あしたから天下りのあっせんは一切中止していただきたい。当然のことと考えますが、総理、いかがですか。
天下り団体そのものの改革も不可欠です。幾つの独立行政法人と天下り公益法人を削減するのか、具体的数字をお答え願います。
国所管の法人の内部留保金に関して、運用指針では、三〇%程度以下が望ましいとされています。しかし、平成十八年十月現在、二千六百七十一法人で三〇%を超え、超えた部分の総額が三千九百九十七億円に上ります。そのうち、天下りとともに補助金、委託費も受けている団体が二百十七法人で、三〇パー超の金額の合計が四百十一億円に達します。事実でしょうか。この中には、解散すべき団体や内部留保金を国に返還すべき団体もあると考えますが、いかがですか。御答弁ください。
年金に関する事業を委託していた社団法人日本国民年金協会も内部留保金四二%、財団法人社会保険協会も三六%でした。年金の普及啓発が目的の天下り団体ですが、効果を上げているとは思えません。内部留保金を年金財源に返還した上で、解散も検討するべきと考えます。見解を求めます。
三番目は、T、特別会計システムです。
天下りの団体を養う原資となる、チェックのききにくい省庁の財布と言われるものです。
政府は、二十八ある特別会計を幾つまで減らすおつもりですか。現在の特別会計予算の総額と縮小後の予算総額の数値目標も含めて伺います。
四番目は、K、官製談合システムです。
天下りを受け入れてもらうために、天下りOBが受け入れ企業に談合情報などを提供して利益を上げさせる犯罪的行為です。
道路公団のOBの中には、年収一千五百万円で週に一日しか会社に行かないという厚遇で建設会社に天下っていたケースもあると聞いています。週一回会社に行って、談合情報を営業マンに渡すのです。
政府には、ほかに官製談合がないのかどうか、徹底した再調査をお願いします。
民主党は、官製談合根絶に向け、公務員OBも対象とするなどの官製談合防止法改正案を提出しました。法案を成立させるべきと考えますが、いかがですか。
五番目は、Z、随意契約システムです。
入札をせずに、あらかじめ決められた特定の企業、公益法人と契約することです。
会計法では、国の契約は原則入札ですが、緊急性、独自製品、低額契約などに限定して随意契約が認められています。しかし、拡大解釈をして特定の天下り団体や企業に随意契約で高値発注をするケースが後を絶ちません。
民主党の指摘で、国交省の地方整備局から天下り団体への随意契約が問題となり、政府は、平成十九年度から改善するとしました。しかし、例えば九州地方整備局では、平成十八年度に比べて、天下りを受け入れる公益法人との契約が、件数、金額とも比率では上がっているではないですか。全地方整備局の実態を示した上で、改善策を提示願います。
民主党は、随意契約透明化法案を提出しました。今後、この提案を取り入れ、積極的な情報公開、契約の適正化を図っていくお考えはありますか。
以上が、ハットカズシステム、H、ひもつき補助金システム、A、天下りあっせん・仲介システム、T、特別会計システム、K、官製談合システム、Z、随意契約システムです。
自民党からは、直ちに増税しなければ財政がもたないとの声が上がっています。確かに、官僚の説明をうのみにすれば、日本には無駄遣いはありません。しかし、御自身で調査をして、現場に行って、よく目を凝らして見てください。そして、背後にある、浪費を生み出す巨大なシステムを実感してください。
政府は、無駄をなくすなどして、予算を前年と比べて幾ら削減できると試算しているのですか、お答え願います。
自民党が増税なしには財源を出せないというのであれば、政権交代をして、民主党に政府の大掃除をさせてください。(拍手)
このハットカズシステムに代表される巨額の浪費を生み出すシステムに本当に切り込む覚悟があるのか、総理の決意と手順をお聞かせください。
官僚の人事評価基準の見直しも不可欠です。
今、官僚が出世しようとすれば、最低限、予算を使い切る、天下り団体は減らさないことが必要です。この基準を百八十度変えて、予算を効率的に使って余らせる、不要な天下り団体は削減する、このことで評価が上がる仕組みにするのです。無駄遣いをなくす官僚が出世できるシステムです。総理の見解を求めます。
会計検査院改革も不可欠です。
日本の会計検査院は、みずからの運営費の二倍しか無駄遣いを節約していません。イギリスの八倍、アメリカの七十八倍に比べると見劣りします。
会計検査院には、相手省庁が了解しないと検査報告書には記載しない、つまり公表しないというとんでもない不文律があると言われています。
会計検査院は、各省庁に、会計処理などに関して疑問を投げかける照会文書を平成十八年次までの五年間で千八百五十八件提出しました。そのうち二百十九件は、照会文書を投げかけたにもかかわらず、検査報告書には載っていません。省庁に聞くと、検査報告書に未記載の案件でも、照会文書をきっかけに改善したものもあり、不適切な会計処理であるケースもあるということです。
二百十九件の照会文書のうち、省庁が改善をしたケースは何件ありますか。
検査院や省庁は、検査報告書未記載の不適切な会計処理を、隠さず、すべて公表すべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。
検査報告書に記載されていない案件に関して、照会文書を十件以上受け取った省庁は六つありますが、そのうち五省が所管の検査対象団体に検査院からの天下りを受け入れています。天下りを受け入れることと検査報告書に記載されないことと関連はありますか。
会計検査院は公表するか否かの判断を適切にしていると思われますか。
以上、総理に見解を求めます。
公共事業についてお尋ねします。
日本の公共事業は、費用対効果がなければ認められません。つまり、BバイC、ベネフィット・パー・コストが一以上なければならないのです。多くの事業において、途中で事業費であるC、コストが膨れても、それと歩を合わせるように、効果であるB、ベネフィットも都合よく膨らんでいきます。本当に正しく試算がなされているのですか。お尋ねします。
農水省所管では、福島県母畑の国営農用地再編整備事業で、当初予算から何と十二倍も増加しています。国交省所管では、霞ケ浦開発事業で、当初予算から九倍も増加しています。本当に費用対効果の数字が適正なのですか。見解を求めます。
また、農水省所管事業では、完了後十年以内及び継続中の国営土地改良事業で、費用対効果、BバイCが一を下回った事業が七事業もあります。完了事業が五つ、継続中が二つです。費用対効果がなかったということです。反省はないですか。事業名とともにお尋ねします。
過去二十年で、当初の事業費見込み額と最終的な事業費を比べると二倍以上に膨らんだ公共事業は幾つあり、膨張した総額は幾らですか。
製品の事故が後を絶ちません。先進国で、消費者が日本ほど軽んじられている国はないでしょう。
例えば、電気製品が燃える事故です。消防庁によると、平成十八年、こんろやストーブを除き、出火原因が電気機器であるものは千九百六件も確認されています。冷蔵庫五十一件、扇風機四十八件、テレビ四十四件、電子レンジ三十八件、洗濯機二十三件、掃除機六件などです。しかし、驚くことに、メーカー名や型番はほとんど公開されていません。今後、政府は、発火原因とともにすべての製品名を公表すべきと考えますが、いかがですか。公表時期もお答えください。
自動車も燃えています。消防庁によると、平成十八年に、自動車の発火のうち、エンジン、配線、電気装置、排気管など、自動車及び装備品そのものに原因があると疑われるものが千九百三十九件ありました。消防庁は、メーカーや車種を公表していません。すべての発火事故の車種と原因を公表すべきと考えますが、いかがですか。これも公表時期をお示しください。
また、政府や関連団体は、車のメーカー別、車種別の乗員死亡率リストを作成できるデータを持っていますが、公表していません。米国では当たり前のリストの公表を求めます。お答えください。
車のリコール隠しの背景の一つに、メーカーなどが、車の欠陥をめぐる和解や示談の場において、口どめを条件にすることが挙げられます。国が受けた消費者からの相談実態をお示しください。
欠陥の口どめを和解や示談の条件にすることに関して、政府の見解を求めます。また、リコールを担当する国交省審査課から自動車メーカーへの再就職状況をお尋ねします。今後も再就職を続けますか。
民主党は、危険情報公表法を何度も国会に提出しています。これは、事故が発生するおそれがある製品などを事前に公表する法律です。製品に限らず、建築物や食品、医薬品、遊具なども網羅するものです。今後、この法案に賛同いただきたいと考えますが、いかがですか。
原爆症の認定基準の見直しについてお尋ねします。
政府は、新たな基準をどのようなものにする方針でしょうか。同時に、いつまでに決めるのか、めどもお示しください。
肝炎対策についてお尋ねします。
昨日、民主党は、インターフェロン治療などの医療費を上限月一万円に軽減する肝炎医療費助成法案を参議院に提出しました。一日百二十人もの方が、肝硬変や肝臓がんでお亡くなりになっています。この法案が成立すれば、毎年新たに三万人の肝炎患者の命を救うことができます。この法案に賛同いただけますか。医療費助成についての見解も求めます。
また、C型肝炎訴訟については、いたずらに訴訟を長引かせるのではなく、国は高裁の判決を待たずに和解のテーブルに着くべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
民主党は、生活維新、生活が第一をスローガンに掲げています。
現在、日本のあらゆる制度が役所や業界にとって都合のよいものとなっています。生活者の立場に立っていません。世の中に起こる多くの事件は、この制度がもたなくなっていることを示しています。
すべての制度を生活者の立場から、公正、安全、透明性などの観点からつくり変えていく必要があります。生活者主権の改革です。これは、かつての大企業は敵との消費者運動とは異なります。生活者の立場に立つ厳しい制度や市場によって、逆に企業の国際競争力も高まるのです。この改革をどう考えますか。
消えた年金問題に関して、政府は、実に五十年も前から把握していました。総理は、なぜ長年放置されてきたとお考えですか。私は、日本の統治機構に欠陥があると考えています。
自民党長期政権の中で、官と政治の間に一種の不可侵条約が結ばれました。人事など官には干渉しないかわりに、官に対して、自分の選挙区に公共事業などを持ってきてもらう箇所づけの期待をしました。もたれ合いの構図です。自民党型システムの内閣では、大臣に実質的な人事権はありません。それでどうやって官僚をコントロールできるんですか。
これまで、自民党が省庁の不正を新たに指摘して是正したことがあったでしょうか。暴露するのはほとんど野党とマスコミです。長年のもたれ合いで、自浄能力なき政治と官との関係に成り下がってしまいました。総理の見解を求めます。(拍手)
政治家と官僚が対立している場合ではありません。官僚を大臣の真の部下とするためにも、現在百三十人以上いる政府の局長以上を政権党や大臣が任命する政治任用制度が必要だと考えますが、いかがですか。
暴走する官をコントロールできないのは戦後始まったことではありません。戦前の旧帝国陸軍も、統帥権独立、天皇の軍隊との建前のもと、内閣も国会も、最終的には天皇すらもコントロール不能の独立帝国を築いてしまいました。本来は、敗戦後に、統治機構の徹底的な見直しをして、暴走する官に歯どめをかけるしっかりした仕組みを取り入れるべきでした。新憲法を制定して、表面的には統治の仕組みは変わりましたが、戦争の総括や統治機構の根本的見直しのないまま、今日までずるずる来てしまいました。総理はどう考えますか。
吉田満著作の「戦艦大和ノ最期」では、死地に向かう若き将校たちの会話が引用されています。戦艦大和の哨戒長である臼淵磐大尉はこう語っています。「敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ハレルカ」「日本ノ新生ニ、サキガケテ散ル、マサニ本望ヂヤナイカ」。
敗戦を覚悟しても死地に向かった将校は、新生日本を渇望していました。しかし、戦後、日本は、経済的には復興を遂げましたが、本当に生まれ変わったのでしょうか。現在も官に引き継がれている戦前のあしきDNA、遺伝子を断ち切らなければなりません。
政府は、平成七年の村山談話で、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで」と公式見解を示しました。この「国策を誤り、」とはどのような事案を指すのですか。総理は、ぜひ時系列で具体的にお答えください。
国策を誤った事案とその原因を徹底的に明らかにすることが、統治機構を見直す第一歩となります。戦争体験者が御存命の今が最後のチャンスです。戦争の記憶が消えていく今、戦争の記録にしても、同じ敗戦国のドイツとは異なり、日本には政府公認のものがありません。
沖縄での集団自決に対する軍の関与一つとっても、解釈が変わるいいかげんな政府です。総理は、沖縄の集団自決に関する軍の関与の事実についてどうお考えですか。
この際、国民的議論の中で戦争の総括をした上で、政府の公認記録を残す作業を開始すべきと考えますが、いかがですか。重要なことです。見解をぜひ福田総理、お尋ねします。
これまで日本は、場当たり的なびほう策を重ねて何とかここまでやってまいりました。しかし、もはや限界でございます。私は、一刻も早く政権交代を実現することが国益にかなうと強く考えております。
最後に、福田総理に、政権交代の必要性と解散時期についてお尋ねして、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
○内閣総理大臣(福田康夫君) 長妻議員にお答えいたします。
議員から、大変幅の広い、また多くの質問をいただきました。大変ありがたいことでございますけれども、関連する御質問、多少まとめながら答弁をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず、安倍内閣からの政策の継承、安倍内閣との違い、戦後レジームからの脱却をどう評価するかということについてお尋ねがございました。
一昨日の所信表明演説におきまして、安倍内閣からの継承や違いといった点を意識するのではなく、私が日ごろから考えている政策について率直に申し述べさせていただきました。
政治は国民のものだということ、これは自民党の立党宣言にある言葉でありますけれども、同じ自民党に所属する小泉元総理、安倍前総理と、目指すべき方向性においては大きく異なるところはございません。構造改革を今後とも継承してまいります。
そういう中にあって、私は、実態を十分に把握した上で、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていく、そういう考え方をいたしております。
安倍前総理が言われた戦後レジームからの脱却という言葉については、その真意を十分に承知しているわけではありませんけれども、時代の変化を踏まえ、将来を見据えながら、見直すべきものは見直していくということは当然であると考えております。
年金保険料の流用禁止についてのお尋ねがございました。
年金保険料は、使途を徹底的に見直し、現在では、年金給付のほかには年金給付に密接に関連する事業運営費のみに充てております。年金給付と密接不可分な経費に保険料を充てることは、民間保険はもとより、他の公的保険や諸外国の例から見ても妥当なものであると考えております。重要なことは、税財源であれ保険料財源であれ、無駄遣いは絶対にさせないということであり、今後さらにこのことを徹底してまいります。
年金制度の信頼性についてお尋ねがございました。
年金制度については、平成十六年の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするための見直しを行ったところであります。適切な制度となっているものと考えております。
次に、年金記録問題への対応策についてお尋ねがございました。
私も、年金記録問題に対する国民の不安を解消していくことは重要であると考えておりまして、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に基づいて、まずは、平成二十年三月までを目途に、基礎年金番号に未統合の五千万件の年金記録について名寄せを実施し、記録が結びつくと思われる方に加入履歴をお送りし、そして、その後、平成二十年十月までを目途に、それ以外のすべての方にもお知らせをお送りするとともに、これらの取り組みによってもなお残された記録については、過去の勤務事業所、住所地市町村などに照会を行って、徹底的に調査を行います。
こうした着実な取り組みにより、国民の皆様一人一人の記録が点検され、基礎年金番号への統合が行われて、正しく年金が支払われるようにしてまいりたいと思います。
年金記録問題の解決、責任問題等についてのお尋ねがございました。
年金記録問題については、基礎年金番号に未統合の五千万件等の名寄せ、ねんきん特別便等によるすべての方へのお知らせ、また御本人による確認を通じた記録の統合、コンピューターの記録と台帳等との計画的な突き合わせ等の施策を行うことにより、一人一人の年金記録が点検され、正しく年金が支払われるということにより解決していくものと考えております。
また、年金記録問題の発生の経緯、原因、責任の所在等については、年金記録問題検証委員会において検証を進めており、その結果も踏まえ、適切に対処することといたしております。
年金記録問題への取り組みについて、安倍前総理は最大限の努力を傾注されたところでありまして、私も、この問題の解決に向け全力を尽くすことによって責任を果たしてまいりたいと考えております。
自民党の広報資料についてのお尋ねがございました。
これについては、当時、名寄せや突合といった国民にとって耳なれない、わかりにくい用語が社会保険庁において使用されていたため、自民党としては、国民にわかりやすい表現を用いる観点から、統合という言葉を用いたものと聞いております。
また、「今後一年で問題解決」とは、その時点から一年で未確認の年金記録五千万件の名寄せをすべて完了させることを述べたものであり、「全額支払い」とは、年金記録の訂正に伴い年金の未払いが判明した場合、年金時効特例法により、さかのぼって全額をお支払いすることを述べたものであります。
いずれにしても、年金記録問題への対応としては、その後、七月五日に政府・与党が決定した方針に基づき計画的に取り組んでおります。
サンプル調査についてのお尋ねがございました。
お尋ねのサンプル調査は、年金記録問題検証委員会が、基礎年金番号に未統合となっている五千万件の年金記録について、問題の発生の経緯、原因等を調査する観点から、未統合の原因となっている氏名、生年月日の正確性など、必要な事項について調査しているものであります。
検証委員会の調査、検証は現在も継続中であることから、検証を適切に実施する観点から詳細を明らかにすることはできませんが、サンプル調査についても鋭意取りまとめ中であり、検証委員会の報告書の中で結果が明らかにされるものと承知をいたしております。
年金の台帳等とコンピューターの記録との突き合わせについてお尋ねがございました。
年金記録問題への対応においては、正しい年金をより早くお支払いすることが重要という観点から、まずは基礎年金番号に統合されていない五千万件の記録について名寄せを実施し、記録が結びつくと思われる方に加入履歴等のお知らせをすることを最優先課題としており、コンピューターの記録と台帳等との突き合わせについては、効率的に行われるよう、今後、具体的な実施方法の検討を進め、来年度以降に計画的に実施することとしております。
また、御指摘の一年以内で突き合わせを行うと仮定した場合に必要な人員、経費等の算出については、実施方法の詳細を踏まえた上で試算すべきものと考えております。
なお、御指摘の紙記録の件数は、現在、社会保険庁において確認中であります。
コンピューターには記録がなかったが、社会保険庁の資料に記録があったものの件数及び記録回復による受給額増額についてのお尋ねがございました。
昨年八月より実施している年金記録相談の特別強化体制の中で、コンピューターでは記録を確認することができず、被保険者等が保有する領収書等に基づき被保険者記録を訂正したもののうち、社会保険庁及び市町村の資料に記録があったものの件数は二百二十件であると承知いたしております。
なお、未統合の記録の基礎年金番号への統合等によりまして年金額が増額になったものの総額については、現在の社会保険オンラインシステム上では把握する仕組みとなっていないと承知しております。
年金記録問題に関するデータベースの作成についてのお尋ねがございました。
年金記録問題については、御指摘のデータベースの作成が直ちに正しい年金の支払いにつながるかどうかという問題もあり、年金記録確認第三者委員会における公正な判断を通じて適切に対応することが重要であると考えております。
保険料の横領問題に関するお尋ねがございました。
自治体については、先般、厚生労働大臣及び総務大臣より市町村に対し調査の協力要請をしたところでありますが、現時点で、市町村において把握している事案はすべて御報告をいただいたと考えております。
社会保険庁については、現役の正規職員に対し、他に横領等事案の存在を承知していれば申し出るよう指示するとともに、OB職員については、住所等が判明した者に順次調査票を送付し、調査を実施しており、最終的な回答の締め切りは十月十二日としております。
国民年金保険料の特例納付などの実態調査、脱退手当金の横領件数、年金の未払いの実態についてのお尋ねがございました。
特例納付の事務の状況については、既に調査結果を公表したところであり、不在者設定についても、一部の調査結果を公表し、残った部分についてなお調査しているところであります。
その他の脱退手当金や障害年金につきましては、国民の方々に不当な不利益が生ずることのないよう、制度をよく説明するとともに、不服申し立て等に適切に対応してまいります。
なお、不正に現況届がなされた事例については、調査は困難と考えております。
脱退手当金の横領件数については、公表した五十二件の社会保険庁職員による横領等事案のうち一件であります。
国民年金基金の年金について裁定請求を行っていない方の人数等については、現在、国民年金基金連合会において調査中であります。
なお、お尋ねの年金の未請求の件数等については、現行の社会保険オンラインシステム上、把握する仕組みとなっておりません。
年金問題に対する認識についてお尋ねがありました。
今回の年金記録の問題は、国民の皆様の政府に対する信頼を損なうものであったと考えております。それ以上に、国家の威信にかかわる問題であるとも思っております。
この問題の解決は、内閣の最重要課題の一つであると考えており、本年七月五日に政府・与党が決めた方針に基づき、一つ一つ着実に対策を進め、国民の皆様の信頼を回復してまいります。(拍手)
次に、中小企業退職金共済制度についてのお尋ねがありました。
退職して五年経過後も未請求の退職金の状況は御指摘のとおりでありますが、金額では当該期間の支払い済み額の累計に対して〇・六三%であり、また、件数で見ると、この十年間に半分以下に減少しております。
しかしながら、退職金の未請求者を発生させないようにすることは極めて重要であると考えており、今後は、機構から直接従業員に請求手続を促すなど、改善を図っていくことといたしております。
なお、機構の役員については、業務内容を考慮し選任されているというような認識をいたしておりますが、今後とも適材適所で選任されるべきものと考えております。
未返還の補助金についての実態や、その理由、高年齢者雇用開発協会等に関するお尋ねがございました。
一部の補助金が未返還となっており、その理由は、事務作業がおくれている場合、返還する者が資力に乏しい場合などがございますけれども、早期に返還されるよう努めております。
返還を求めなければならない事態の発生はまことに遺憾であり、今後さらに適切な執行に万全を期してまいります。
また、高年齢者雇用開発協会に対する補助金の不適正支給については、協会の職員に国家公務員の出身者がいることとの関連性が指摘されましたけれども、助成金等の支給に際し、要件の確認が不十分であったことによるものと認識をいたしております。
次に、いわゆる天下りと補助金、契約などの関係についてお尋ねがありました。
国家公務員の再就職については、国民から疑念を抱かれるものであってはならないのは当然であり、その透明性を確保することが重要です。
これまでに具体的にお尋ねいただいた件につきましては、再就職先の法人に確認すべき事項が含まれるなど、少なくとも一カ月程度の調査期間が必要となる見込みですが、既に調査に着手しておりまして、可能なものから順次回答してまいります。
会計検査院の天下りについてお尋ねがございました。
政府はこれまで、国家公務員のいわゆる天下り問題に対し、国民の厳しい批判があることを真摯に受けとめ、行政に対する信頼を取り戻すため、公務員制度改革を進めてまいりました。
なお、会計検査院は、内閣から独立した地位を有する機関として、厳正かつ公正な会計検査を実施することが求められており、職員の再就職についても、こうした趣旨を踏まえて適切に行われるべきものと考えております。
北陸建設サービス株式会社との随意契約についてのお尋ねがありました。
北陸建設サービス株式会社との創業後、現在までの随意契約の総額については、年数が経過しており不明でありますが、平成十四年度から十七年度までの間、同社との随意契約の各年の平均額は約四億三千万円となっております。
過去の契約については、事務所の清掃業務等を庁舎内の秘密保持の観点等から随意契約により委託してきたものですが、政府の随意契約の全般について、問題がないか見直すことといたしておりました。現在は、その方針に基づきすべて一般競争入札によっており、今後とも適正な業務発注に努めてまいります。
次に、退職国家公務員が設立した会社の実態及び当該退職公務員に係る規制についてお尋ねがございました。
退職国家公務員による会社の設立については、国民に疑念を抱かれることがあってはならないのは当然であり、その透明性を確保することが重要です。
これまでに具体的にお尋ねいただいた件につきましては、再就職先の法人に確認すべき事項など一定の調査期間が必要なものが含まれますが、既に調査に着手しており、可能なものから順次回答してまいります。
また、さきの通常国会で成立した国家公務員法等の一部を改正する法律では、退職国家公務員が会社を設立した場合も含め、営利企業等の地位についている元職員の出身省庁への働きかけを規制し、これに関する不正行為に対して刑罰を導入しています。
さらに、実効性を確保するため、外部監視機関を設置し、厳格な監視を行うことといたしております。
次に、公益法人からの事業譲渡等についてのお尋ねがございました。
お尋ねの事例につきましては、現在調査を行っており、可能なものから順次回答してまいります。
次に、株式会社夢閑歩サービス及び株式会社保健医療ビジネスについてのお尋ねがありました。
御指摘のかんぽの宿の食堂業務については、財団法人簡保加入者サービス協会が受託していたところですが、公益法人改革の一環として、同協会は平成十九年三月に当該業務を株式会社夢閑歩サービスに譲渡し、同年四月に解散したものであります。
なお、当該事業譲渡は公認会計士、弁護士に確認した上で行われたものと承知しております。
また、御指摘の株式会社保健医療ビジネスについては、平成十年当時、財団法人厚生共済会において収益事業の比率が大きく、適当ではなかったため、その改善を図る観点から、当時の厚生省の指導により当該財団法人の収益事業を当該株式会社へ譲渡したものであります。
次に、公益法人が解散し、株式会社に業務を引き継いだ場合についてお尋ねがありました。
公益法人の設立当時には公益目的として社会的に評価されていた事業でも、社会経済情勢の変化により、事業内容が営利企業と競合する状況になる場合があります。そのような場合で、公益法人にふさわしい事業内容に改善することができないときは、各主務官庁は、公益法人に対して株式会社等に転換するよう指導しております。過去五年間において、指導に従い、公益法人から株式会社等に業務を譲渡して解散した法人は十二法人です。
なお、国所管の公益法人が事業を株式会社へ譲渡した事例における国家公務員出身者の状況については、先ほど答弁いたしましたが、現在調査を行っており、結果がまとまり次第御報告いたします。
次に、独立行政法人の出資についてお尋ねがございました。
各府省による調査の結果、独立行政法人が出資等を行っている企業、公益法人のうち退職公務員等が再就職しているものは四十三法人であったと承知しております。
また、政府としては、独立行政法人による出資については、法令で定められた業務のために必要がある場合に限ることとしております。
個々の出資については、独立行政法人の整理合理化方策の検討を行っている中で、必要に応じて、その適否を検討するとともに、評価の枠組みにおいても関連公益法人等への出資、出捐の必要性等を厳しくチェックしてまいりたいと考えております。
次に、公営企業金融公庫の宿舎への総務省職員の入居についてのお尋ねがありました。
国と公営企業金融公庫は相互に人事交流を行っており、国から出向して公庫の職員となった者が公庫の有する宿舎に入居することは予定されているところでございます。しかしながら、国家公務員が公庫の職員でないにもかかわらず入居した場合など、国民の誤解を招くおそれのあるものについては、できる限り早く退去するよう求めたところであります。
次に、公務員の再就職先への支出のお尋ねがございました。
御指摘の六兆円は衆議院調査局の調査結果を民主党で集計したものであり、コメントは差し控えさせていただきますが、国は、公務員の再就職状況とは関係なく、政策的な必要に基づいておのおのの支出を行っております。
今後とも、真に必要な経費については適切に措置する一方、天下りについては、各府省等による再就職あっせんを全面的に禁止するとともに、財政支出全般について聖域なく見直しを行ってまいります。
公務員の再就職先のあっせんの禁止についてお尋ねがございました。
各府省が行う再就職あっせんは、国民の目から見れば、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんと受けとめられかねないことから、さきの通常国会で成立した国家公務員法改正法において、各府省の再就職あっせんを全面的に禁止し、中立、透明な仕組みによる官民人材交流センターに一元化することとしたところでございます。
仮に、官民人材交流センターを設けず、あっせんを禁止し、ハローワークを利用することとした場合、公務員には身分保障が存在するため役所に残ろうとし、行政の減量や効率化を妨げる要因にもなりかねないものと考えております。
現在、センターの具体的な制度設計については、官房長官のもとの有識者懇談会における検討結果を踏まえ、平成二十年中にセンターを立ち上げるべく、鋭意取り組んでまいります。
独立行政法人の見直しについては、現段階で具体的な削減数字を念頭に置くことはなく、百一の全法人について、原点に立ち返って徹底的に見直しを行い、本年内を目途に独立行政法人整理合理化計画を策定いたします。
公益法人については、基本的に法人の自主性が尊重されるべきものであり、国がその廃止を強制することは法人の性格からなじまないと考えております。なお、行政委託型の公益法人については、行政改革の立場から引き続き注視してまいります。
次に、公益法人の内部留保についてお尋ねがございました。
公益法人については、その財産を用いて積極的に公益事業を実施することが求められます。したがって、その内部留保は、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることが適切であります。
国所管の公益法人で、内部留保の水準が一事業年度の活動に必要な額の三〇%を超える法人は、平成十八年十月一日現在で二千六百七十一法人であり、これらの法人の三〇%を超える金額の合計は約三千九百九十八億円となっております。
また、これらの法人のうち、国家公務員の出身の理事が在職し、かつ国から補助金、委託費を受けているものは二百十七法人であり、三〇%を超える金額の合計は四百十一億円となっています。
個別の公益法人の適正な内部留保の水準は、当該法人の事業内容、財務状況等によっても異なります。大きな内部留保を有することをもって直ちに法人の解散等が必要であるということは考えておりません。御指摘のような批判があることも踏まえまして、積極的に公益事業が行われるよう、各主務官庁において適切に指導監督を行ってまいります。
次に、社団法人日本国民年金協会及び財団法人社会保険協会についてお尋ねがございました。
これらの法人はいずれも公益性のある事業を行っていると承知しておりますが、両法人の内部留保について適切な水準とするなど、適正な事業運営が行われるよう指導監督してまいります。
次に、特別会計についてお尋ねがございました。
そもそも特別会計の廃止だけでは財源につながらず、その事業等を見直さなければ、単に一般会計に移管されるだけになります。政府としては、徹底した事業の見直しを踏まえ制定された特別会計に関する法律に基づき、平成十八年度に三十一あった特別会計を平成二十三年度までに十七に縮減することとしております。
また、特別会計歳出のうち実質的に見直しの対象となる歳出は、平成十九年度予算において、特別会計の歳出単純合計約三百六十二兆円から、特別会計間の重複計上額のほか、国債償還費等、社会保障給付といった特別会計改革とは別途議論すべきものを除外した約十一・六兆円であります。
この十一・六兆円については、無駄遣いの排除の観点から改革に取り組み、十九年度予算において対前年度〇・七兆円程度削減しており、今後とも合理化、効率化の徹底を図っていく所存でございます。
次に、官製談合についてお尋ねがございました。
談合への職員の関与を疑うに足る事実がある場合、関係府省において徹底して事実解明を行うことは当然であり、調査結果に基づき万全の対策を講ずる必要があると考えます。
官製談合防止法案については、既に国会で継続審議中であり、立法府で十分御議論をいただきたいと考えます。政府としては、官製談合を根絶するため、現行官製談合防止法を厳正に執行してまいります。
次に、地方整備局における公益法人との契約についてお尋ねをいただきました。
公益法人との随意契約については、昨年六月の随意契約見直し計画に従い、競争性のある契約方式に移行中であります。
全地方整備局における公益法人との契約の状況については、作業が膨大となるため直近の数字を直ちにお答えすることは困難ですが、今後、地方整備局を含む計画全体のフォローアップを行った上で、効率的かつ透明な公共調達が実現されるよう、計画の着実な実施を図ってまいります。
次に、民主党が提出された随意契約等透明化法案についてのお尋ねがございました。
政府としては、随意契約に係る情報についても、契約の相手方、契約金額、随意契約によることとした理由等を各府省のホームページにおいて従前から公表しているところであります。
今後とも、こうした取り組みを着実に推進し、引き続き政府調達の適正化、透明化に努めてまいる所存でございます。
無駄遣いをなくすことなどによる予算の削減額についてお尋ねがございました。
政府としては、基本方針二〇〇六等におきまして、今後の歳出抑制の全体像とともに、各分野の歳出改革の内容など具体的な姿を示しているところでございまして、今後の予算編成に当たっては、こうした方針のもと、御指摘のあった項目も含めて、歳出全般にわたる徹底した見直しを行って無駄を排除し、歳出の抑制に最大限の努力を行ってまいります。
税金の無駄遣いをなくしていく取り組みについてのお尋ねがございました。
補助金については、厳正な執行に万全を期してまいります。
天下りについては、各府省等による再就職あっせんを全面的に禁止します。
特別会計については、特別会計に関する法律に基づき統廃合等を行い、合理化、効率化の徹底を図ります。
官製談合については、官製談合防止法の適正な執行や入札契約制度の改善等により根絶を図ります。
随意契約については、見直しを着実に推進し、引き続き適正化、透明化に努めてまいります。
次に、官僚の人事評価基準の見直しについてお尋ねがありました。
公務員制度改革の一環として、さきの通常国会において国家公務員法を改正し、能力・実績主義の人事管理を徹底するため、新たな人事評価制度を構築することといたしたところであります。
新たな制度については、簡素で効率的な行政運営の観点も念頭に置きつつ、人事評価基準を含めた詳細設計を行ってまいります。
次に、決算検査報告に掲記されていない案件に係る措置や公表、会計検査院職員の再就職と決算検査報告掲記との関連、決算検査報告掲記の判断の適否についてお尋ねがございました。
予算の厳正かつ効率的な執行等を図るため、会計検査院の照会文書を受けた各府省に対しましては、適切な対応をとるように改めて求めているところであります。
会計検査院の照会文書は、会計検査事務の過程において検査を受けるものの説明を求めるために発せられる質問であり、会計検査院の正式な見解や意見の表明ではないと承知しております。
そして、会計検査院では、意思決定の中立性や厳正、公正な検査の実施を確保するため、照会文書の内容を公表しないこととしていると承知しており、政府といたしましては、内閣に対し独立した地位にある会計検査院の判断を尊重し、決算検査報告に掲記されていない照会文書の内容、さらにはその内容に関してとられた措置を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
会計検査院の職員の再就職については、当該職員が在職中に培った経験や能力が再就職先において必要とされていることから行われていると承知しております。そして、会計検査院の職員が会計検査の対象である団体に再就職している場合においても、会計検査院としては当該団体に対し厳正な会計検査を実施していると承知しております。
会計検査院は、各事案を決算検査報告に掲記するかどうかを一件ごとに、その事実関係や規模、重大性、発生原因、事態の広がり等を検討して総合的に判断していると承知しております。政府といたしましては、決算検査報告を活用し、予算の厳正かつ効率的な執行と経理の適正な運営に努めてまいりたいと考えております。
次に、公共事業における事業効果の試算、費用対効果が一を下回った事業、事業費の増加等についてお尋ねがございました。
完了後十年以内及び継続中の農水省所管事業で費用対効果が一を下回った地区は、高知西南、高幡、飛騨東部第一、富良野東部及び鳥海南麓の国営農地開発事業と中海及び諫早湾の国営干拓事業の七地区があります。これらは、いずれも事業開始後の農業をめぐる状況や社会情勢の変化により、やむを得ず事業規模を縮小したものであります。この結果、事業効果も減少しましたが、これまで行った事業が無駄にならないよう、必要最小限の事業を継続し、結果として、費用対効果が一を下回ったものであります。
公共事業については、御指摘のような批判もあり、平成十年度から事業の再評価制度を導入し、費用、効果等について、学識経験者等から構成される事業評価監視委員会等における審議、評価結果の公表など、客観性、透明性の確保に努め、厳格な事業評価を実施しております。
公共事業費の増加に関する御質問については、作業が膨大となるため、過去二十年間の数字をお答えすることは困難ですが、平成十六年五月の議員提出の質問に対する答弁書等に基づいてお答えすれば、平成五年度から平成十八年度までの十四年間において、当初の総事業費見込み額が百億円以上で、最終的な事業費が二倍以上となった、国土交通省及び農林水産省所管の国などの実施に係る事業は八十一件、当初見込み額を超えた額は約五兆八千億円でした。
次に、電気製品や自動車が燃える事故についてのお尋ねがございました。
火災の原因には、種々さまざまなものが考えられます。電気製品や自動車が燃える事故に関しては、市町村消防本部による火災原因調査の結果について、メーカー名、型式等の製品情報や人命等の被害状況を取りまとめ、関係省庁間で必要な情報共有を行うとともに、年内中を目途に公表を始めることといたしております。
なお、消費生活用製品に起因する火災等の重大事故については、消費生活用製品安全法に基づき、経済産業省において、その情報の報告を求め、公表しております。
自動車の欠陥をめぐる情報の口どめと国交省審査課から自動車メーカーへの再就職についてお尋ねがありました。
国土交通省で受け付けた自動車ふぐあい情報について一定の条件で検索したところ、情報の口どめについて触れているものが四件ありました。
自動車のリコールに係るふぐあい情報が適切に報告されないことは、口どめの有無にかかわらず、問題があると考えます。国民生活の安全、安心の確保、ひいては消費者の保護を図るため、自動車のリコールに係るふぐあい情報については、道路運送車両法に基づきメーカーに報告を義務づけており、引き続きその確実な履行を図ってまいります。
国交省審査課から自動車メーカーへの再就職については、係員一名が、平成十九年四月に二十六歳で自己都合により退職して、自動車メーカーへ再就職いたしております。
今後の営利企業への再就職についても、法令に基づき適切に対処してまいります。
次に、包括的な危険情報公表についてのお尋ねがございました。
私は、真に消費者や生活者の視点に立ち、さまざまな分野において、国民の安全、安心を重視する政治、行政へと転換していく考えであります。
この観点から、前広に危険情報を収集、公表して対応していくということは重要な課題であると認識しており、この点では長妻議員と共通するところがあると考えております。
政府といたしましては、具体的な制度の実効性の観点も踏まえながら、事故の未然防止に係る制度整備を含め、消費者にとって真に意味のある対応をしっかりととってまいります。
次に、原爆症認定の見直しについてお尋ねがございました。
原爆症の認定につきましては、現在、厚生労働省に検討会を設置し、そのあり方について検討を進めているところであり、その議論を踏まえて、できる限り早く結論を得ることといたしております。
肝炎対策についてのお尋ねがございました。
肝炎対策については、これまでに種々の対策を講じてきたところでありますけれども、従来の延長線上でない新たな対策を講じるよう検討を進めているところであります。
民主党の法案が昨日提出されたことは承知しておりますが、政府としては、今後さまざまな御議論を踏まえつつ、できる限り早期に肝炎対策の具体案を取りまとめてまいります。
訴訟への対応については、先月、大阪高裁から、和解勧告をするかどうかを検討するために各当事者の意見を聞きたいとの考えが示されておりますが、これまでの五つの地裁判決内容がすべて異なっているということも踏まえ、現在、関係省庁において検討しているところでございます。
生活者の立場での制度改革についてのお尋ねがございました。
私も、所信表明演説の中で申し上げたとおり、成熟した先進国となった我が国においては、生産第一という思考から、国民の安全、安心が重視されなければならない時代になったという認識を持っております。政治や行政のあり方のすべてを、国民の皆様が日々安全で安心して暮らせるかどうかという、真に消費者や生活者の視点に立った発想で見直していくべきであると考えております。
こうしたことが企業の国際競争力にもつながるとの長妻議員の御意見は、まさにそのとおりであると思います。長妻議員にもぜひとも御協力をいただいて、与野党で建設的な議論を行いながら、国民のためにこうした改革を前進してまいりたいと思います。
年金記録問題の原因についてお尋ねがございました。
年金記録問題については、現在、政府部内において、その原因を含め事実関係の調査を進めているところでございます。
次に、もたれ合いによって自浄能力なき政治と官の関係に成り下がったのではないかとのお尋ねがございました。
年金記録問題などによって政治や行政に対する国民の不信が高まっていることについて、私は、率直に受けとめております。また、御指摘のようなもたれ合い、自浄能力がないといった印象を国民に与えているということになれば、政治家も公務員も、そのことを深刻に受けとめ、信頼の回復に向けて真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。
国民の信頼を取り戻すための秘策はございません。国民の立場に立った政治、行政をこつこつと進めていくほかに手はないと思っております。野党の皆様とも十分に御議論させていただき、協力をいただきながら、国民の皆様の目線に立った政治、行政を進めてまいりたいと思います。
局長以上の職員を対象とする政治任用制度の必要性についてのお尋ねがございました。
公務員制度については、政治任用などの幹部職員の任用のあり方を含め、公務員の採用から退職にわたる課題について、有識者から成る懇談会において、我が国の政治の統治システムを踏まえた総合的、整合的な検討を進めているところであります。検討結果を踏まえ、行政に対する信頼を取り戻すため、公務員一人一人が高いモラルを維持し、能力を高め、誇りを持って職務に専念できるような総合的な制度となるように、公務員制度改革を進めてまいります。
次に、戦争の総括や統治機構の抜本的見直しが戦後行われていないのではないかとのお尋ねがございました。
我が国は、戦後、平和主義に基づいた現行憲法を制定し、一貫して世界の平和と繁栄のために貢献してまいりました。こうした我が国の憲法と戦後の歩みは、さきの悲惨な戦争についての率直な反省の上に立っているものでございます。
また、統治機構のあり方についても、戦後は、それまでの反省の上に立って、三権分立のもとで相互にチェックしバランスを図るなど、現行憲法を制定する際に大きな見直しが行われたものと認識しております。
衆議院と参議院とでは与野党が逆転している今日のこのような状況では、制度が有効に機能する方途を探る時期でもあると考えております。今こそ、与野党が国会で議論を尽くし、国民生活の向上に必要な政策を一緒になってつくり上げていくべきであると考えております。(拍手)
次に、いわゆる村山談話の内容についてお尋ねがありました。
お尋ねの「国策を誤り、」に何が該当するのかについて、個々の事件や出来事をめぐりさまざまな議論があり得ると考えております。いずれにせよ、政府としては、平成七年及び平成十七年の内閣総理大臣談話に示されたさきの大戦についての認識を踏まえ、将来に誤りなきを期すことこそが重要であると考えております。
沖縄の集団自決についてのお尋ねがございました。
教科書検定は、審議会における専門的な審議を経て実施されることとなっております。今回の検定は、沖縄の集団自決に関する記述について、軍の関与を否定するものではないと承知しておりますが、この件に関しては、沖縄県民の思いを強く重く受けとめ、文部科学省においてしっかりと検討してまいります。
次に、戦争に関する政府の公認記録を残す作業を開始すべきとのお尋ねがございました。
政府としては、今後も、さきの大戦の悲惨な教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく、世界の平和と繁栄に貢献していく決意であります。
国立公文書館、外交史料館及び防衛研究所で保存している戦前、戦中のアジア歴史資料については、アジア歴史資料センターにおいて、インターネットを通じて利用できることとされており、今後ともその充実に努めてまいります。
なお、歴史資料などにつきましては、今後、その収集、保存に力を入れていかなければいけないと考えております。
次に、政権交代の必要性と解散時期についてのお尋ねがございました。
国民生活を守り、国家の利益を守ることは、与野党の立場を超えた政治の使命でございます。今般、政権を担うこととなり、私は、重要な政策課題について、一つ一つ野党の皆様と誠意を持って話し合いながら、国民の負託にこたえてまいりたいと思います。
今、政治に求められていることは、解散について云々することではなく、国民の不信の声を真摯に受けとめ、国民の不安に対してきめ細かく対応していくことであります。まず、私が申し上げました所信に基づいて、国民の目線に立った政治と行政を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
○副議長(横路孝弘君) 長妻昭君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。長妻昭君。
〔長妻昭君登壇〕
○長妻昭君 ただいま福田総理から御答弁いただきましたけれども、大変不十分で、期限もない答弁が目立ちました。三つに絞って再質問を申し上げます。(拍手)
一つは、消えた年金問題、国家の威信にかかわると福田総理は答弁されました。今、国家プロジェクトとしてこの問題をやらなければ、社会保険庁が片手間では追っつきません。今、まだ年金記録が抜けていることを御自身も気づいていない方というのがたくさんおられます。すべての紙記録を引っ張り出してコンピューターのデータを正しくする、その作業は政治のリーダーシップ、国家プロジェクトでやる以外にない。お答えをください。
そして二番目、無駄遣いを幾らなくすのかということです。自民党・政府は、前年比幾ら無駄遣いを絶対額減らすのか、具体的な数字をお出しください。
三番目です。戦争の公認記録、政府公認記録を残すという作業でございますけれども、日本にはさきの大戦の公認記録がございません。それをきちっと残す、資料館ではなくて政府が責任を持って残す、そういう作業を始めるのかどうか。これが最後のチャンスだと私は考えております。
ぜひ総理、御答弁をぜひいただきたい。お願いします。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
○内閣総理大臣(福田康夫君) まず、年金記録問題、これは政府への信頼を損なう大変重大な問題であると考えております。
政府といたしましては、正しい年金をより早くお支払いするということが重要という観点から、まずは、基礎年金番号に統合されていない五千万件の記録について名寄せを実施し、記録が結びつくと思われる方に加入履歴等のお知らせをするということを最優先課題としておりまして、取り組んでまいります。
御指摘の、コンピューターの記録と台帳等との突き合わせについては、今後、具体的な実施方法の検討を進め、来年度以降に計画的に実施することといたしております。
次に、戦争に関する政府の公認記録の問題でありますけれども、既に、国立公文書館、外交史料館及び防衛研究所で保存している戦前戦中のアジア歴史資料について、これはインターネットで、アジア歴史資料センターから閲覧できるということになっております。
そのような手段を今後ともさらに強化していきたい、そしてまた、歴史資料につきましても、その収集、保存に力を入れていきたいというふうに考えておるところでございます。(拍手)
○副議長(横路孝弘君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣福田康夫君。
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
○内閣総理大臣(福田康夫君) 先ほど、私は答弁をさせていただいたと思っておるんですけれども、繰り返させていただきます。
無駄遣いをなくすことなどによる予算の削減額についてのお尋ねでございますね。このことについてお答えいたします。
政府としては、基本方針二〇〇六等において、今後の歳出抑制の全体像とともに、各分野の歳出改革の内容など具体的な姿を示しているところでございます。今後の予算編成に当たっては、こうした方針のもと、御指摘のあった項目も含めて、歳出全般にわたる徹底した見直しを行って無駄を排除し、歳出の抑制に最大限の努力を行ってまいります。(拍手)
第168回国会 本会議 第4号(平成19年10月3日(水曜日))
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000116820071003004.htm#p_honbun
衆議院-会議録
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm
衆議院
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index.htm
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK42掲示板
フォローアップ: