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本当の分岐点は何か? (衆議院議員 阿部知子のホームページ)
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投稿者 いっぱつ 日時 2007 年 9 月 17 日 20:23:22: sl92nDep4Wwmo

 安倍晋三首相のあまりにも唐突な辞任表明からわずか4日、今度はメディアの目は一斉に次期自民党総裁選に向いている。

 あれだけ見境なく強行採決を重ね、「私の内閣」の掲げる「美しい国」ばかりを繰り返していた安倍氏も、かくも簡単に人々の記憶からかき消されてしまうことを思うと、政治の足元とは一体何であるのか?私自身も不安な気持におそわれる。そんな時にはいつも台所に立ち、山ほどの料理を作る。いろんな調理のできる大根はもちろん、秋茄子を煮る・焼く・あげる・漬ける、そして生のままでも美味しい。そうやって生活の何かをいつも自分に取り込んでいかないと、人間の生きることが崩壊しそうな場、それが国会である。

 センセーショナルだった松岡元農水大臣の死を見送った翌日も国会は普段と何ら変わることなく流れていたが、任命責任者である安倍晋三その人は、心の奥では計り知れぬ悔恨にさいなまれていたであろう。またせめてそうあって欲しい。今回の安倍首相の辞任はそのことも深く関連していると思う。政治の中で一人の政治家の生死を含めた去就ほど予測しがたいものはない。政治の虚・実の駆け引きもまた然りである。

 現実に目をやれば、福田氏と麻生氏は党首選に向けて各々の主張をメディアを通してバラまいているし、その意味で与党の一人舞台である。そうした情報の受け手でしかない国民はそこから何かを感じとり、選び取ったような気になるしかないが、そもそも真に民意を問うのなら、野党が主張するように衆議院解散―総選挙を早急に行うべきなのである。

 基本的に小泉構造改革を継承すると言わざる得ない自民党総裁選立候補者の主張の対立点は、雇用や社会保障をめぐってよりも対中国を含めたアジア外交への考え方にあるとみてよい。米国とともに政治的軍事的に中国包囲網をつくることをねらった「民主主義と市場経済という普遍的価値に基づく自由と繁栄の弧」を掲げてきたのは麻生氏である。一方、父の福田赳夫氏の唱えた「福田ドクトリン」を基本に置く福田氏は中国との友好関係を深め、アジアとの協調を重視する立場をとる。

 米国を抜いて今や日本の最大貿易国である中国は、エネルギー・環境・金融などの問題でも、日本にとって認識の共有と共同の取り組みが必要となる相手でもあり、その国とどう向き合うかは大きな日本の選択である。

 実はこうした外交戦略においては、民主党の中にも中国脅威論を取る人々も少なくないのであるから、与野党の対立という形にはなりにくい。その意味で福田 vs 麻生という選挙戦は、内容的には民主党内部を分断し、民主党の対政府攻撃の腰を折る仕掛けなのかもしれないが、年金問題や相次ぐ負担増で生活を破壊された国民の怒りのマグマはこの程度のことで決して収まることはない。

 社民党としてはアジアに基軸を置く外交という立場からは福田氏により多くの評価を与えるが、国民無視・国民不在の政治という意味では徹底して自民党の責任を問いたいと思う。

 小泉構造改革の弊害はもちろんのこと、1990年代後半から積極的に打ち出された「雇用の流動化」によって、今や私たちの社会は非正規雇用をあたり前とすらしている。その結果の人間崩壊・地域崩壊・社会崩壊は今や隅々にまで浸透してきている。

 民意は平和も人間らしい暮らしも取り戻していくための政治を期待している。次期首相には雇用と社会保障の再建への抜本的な取り組みを是非聞いてみたいところであるし、野党としてはテロ特措法などの外交はもちろんのこと、年金問題をはじめ派遣労働の制限、最低賃金のアップなどをしっかり対置して、国民に見える論戦を展開していきたい。

2007/9/17 カエルニュース第281号


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