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http://atsukoba.seesaa.net/article/54298276.html
2007年09月07日
「テロ特措法」ってなあに?
9月10日に始まる臨時国会では「テロ特措法」が焦点になると言われています。
今回は私なりに「テロ特措法」の説明をしたいと思います。
■「テロ特措法」ってなあに?
まず、正式な名称ですが、
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平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法
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です。これが法律の名前です。長〜いですね。
条文は以下です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO113.html
この法律で何をやっているのかというと、主に海上自衛隊がインド洋で各国の艦艇(軍事用の船)に補給活動をしているのです。まあ、海の上の無料ガソリンスタンドですね。
2001年12月から2007年7月6日まで、日本が給油吸水活動に出した費用は計216億6043万円だそうです。
http://mbspro6.uic.to/user/baruki.html
(防衛省のパンフレットより http://www.mod.go.jp/j/news/terotoku/pamph_02.pdf )
この法律ができたきっかけとしては、以下の説明がわかりやすいかと思います。
http://www.bnn-s.com/news/07/08/070829171912.html
----------------------------------------------------ここから引用----
2001年に発生した9・11米同時多発テロの翌日、国連安保理は国際テロ組織によるテロを非難した上で、「必要なあらゆる手段を取る用意がある」ことを表明した決議1368を採択した。続いて9月20日、ブッシュ米大統領は、アフガニスタンのタリバン政権に対して、テロの首謀者と目されるオサマ・ビンラディン容疑者らの引き渡しを要求。米英軍は10月7日に報復攻撃を開始した。
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テロ特措法はこうした経緯を経て、01年11月2日に施行した2年間の時限立法。アフガニスタンやインド洋に展開する各国の軍事行動を自衛隊が後方支援するための根拠となっている。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
で、その後3回延長してきましたが、今年の11月1日にまた期限切れになるので政府は4たび延長しようとしていたわけですね。
ところが、7月の参議院選挙で自民党が大負けして参議院で野党が過半数を超えたので事態は変わってきました。
民主党が「テロ特措法に反対する」と言ってますから、困った自民党は「テロ特措法」ではなく、新しい別の法案を出して、自衛隊の洋上補給活動を延期するという方法も模索し始めました。
これについては以下の記事が詳しいです。
産経新聞
http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070906/ssk070906000.htm
毎日新聞
http://qrl.jp/?261213
■アフガン戦争は国際的に認められているか?
民主党の小沢代表が海上補給活動の延期に反対している理由は、民主党のサイトに書かれています。
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=10479
----------------------------------------------------ここから引用----
小沢代表は、「米国は国際社会の合意を待たずにアフガン戦争を始めた。我々の憲法解釈では、日本に直接的に関係のない地域で、米国あるいは他の国々と作戦をすることはできない」と言明。
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また、米国が多国籍軍活動の根拠としている国連決議についても「NATOを中心とするアフガニスタンでの活動は、PKOと同じ任務と性格が付与され、オーソライズされているが、米国などの行動は国連決議で直接的にオーソライズされていない」と指摘した。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
前述のサイトから再び引用します。
http://www.bnn-s.com/news/07/08/070831165659.html
----------------------------------------------------ここから引用----
テロ特措法は、9・11米同時多発テロの勃発を受け、米英軍のテロ掃討を目的としたアフガニスタン攻撃を後方支援する目的で施行された。政府は同法の根拠として、同時多発テロの翌日、国連安保理が採択した決議1368を挙げている。だが、この決議1368は同時多発テロに対する自衛権を認めただけであり、アフガニスタン攻撃を認めたものではない。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
なかなか難しいですね。
いずれにしても判断が分かれ議論になる性格のものなのです。
■「テロ特措法」なのにイラク戦争に使ってる?
私個人はアフガン戦争については、そもそも「報復」で戦争を起こすという発想は間違っていますし、「9.11」はアフガニスタンという国家がアメリカに戦争をしかけたわけではありませんので、間違っていると思っています。
それでも、世間一般のアフガン戦争に対する感覚としては、「9.11」という事件があったからある程度は仕方がないかなあ、という雰囲気もあったのではないかと思います。
ただし、アフガン戦争と比べてもまったく正当性が無いと言われているのが、イラク戦争です。
イラクに陸上自衛隊が派遣(派兵)されたり、航空自衛隊が現在でも輸送活動をしているのは「イラク特措法」です。
ところが、海上自衛隊の補給活動は「テロ特措法」で行っているはずなのに、実はイラク戦争に使われているといわれています。
先週末に放送されたテレビ朝日の番組でも、放送されました。
「朝まで生テレビ」該当部分のテープ起こしが以下で読めます。
http://nofrills.seesaa.net/article/53522653.html
ユーチューブで動画も見られます。
http://www.youtube.com/watch?v=HKviUdWOUaU
( http://www.akaginorihiko.com/ より)
「バンソウコウ」で有名になった赤城元農林水産大臣が、防衛庁副長官だった頃の答弁があります。
第156回国会 安全保障委員会 第6号(平成15年5月16日(金曜日))
http://qrl.jp/?263714
2003年ですからアメリカがイラク戦争で「勝利宣言」をした少し後ですね。
この中で赤城副長官は、テロ攻撃による脅威の除去、国連憲章の目的達成に寄与する、などの法律通りの目的だと言いつつも、
【イラク攻撃支援の目的を有するというものではありません】
と明言しています。
■不充分な情報公開
上記の点はネットでも「あーでもないこーでもない」という議論が起きているようですが、つまるところ政府の情報公開が充分でないために不信感を呼んでいるのではないでしょうか?
(私自身はイラク戦争に使っているのに政府が誤魔化しているだけだと思っていますが。)
政府は「軍事機密」「安全のため」などと言っていますが、テロ特措法で行っているはずなのにイラク戦争を手伝っているなどというのは国民をだましている事になりますから、安全に支障のきたさない情報公開はもっとするべきです。
民主党の菅直人代表代行は以下のように話しています。(8月5日 朝日新聞)
----------------------------------------------------ここから引用----
資料を政府に要求しても答えない。目隠しのままで賛成しろと言われても(賛成できない)」と述べ、インド洋での自衛隊の給油支援活動の実態について政府が資料を公開すべきだとの考えを示した。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
民主党からも情報公開が充分でないという指摘があり、防衛省はなんとか洋上補給活動を延期しようとして、情報公開を始めています。
http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY200709050320.html
----------------------------------------------------ここから引用----
防衛省は5日、太平洋上で海上自衛隊の補給訓練を行った。11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法の延長問題が最大の焦点となる臨時国会を前に、インド洋での補給活動に理解を求めるため、マスコミにも公開した。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
(視察する高村防衛大臣 http://www.mod.go.jp/photo/index.html より)
しかし、情報公開はまだまだ充分ではありません。
■民間人も派遣されている!
実は派遣されているのは自衛隊員だけではありません。
自衛隊の艦艇は、三菱重工、IHI(旧 石川島播磨)などの日本の企業が造っています。派遣した先で故障等があった場合、自衛官が修理できればいいのですが直せない場合はメーカーの技術者が派遣されているのです。
IHIマリンユナイテッド横浜工場の社員の証言によると、職場の同僚がある日、突然いなくなり、しばらくして帰ってきたので「どこに行っていたんだ?」と聞いたら「艦艇の修理でインド洋に行っていた」と答えたそうです。
そしてその社員には、なんと危険手当も出なかったそうです。
会社としても戦地に社員を派遣するという想定をしていないうえ、防衛庁(当時)からも秘密にしておくように言われているので危険手当を付けられなかったのです。
この実態はほとんど知られていませんが、民間人が会社の命令で戦地に派遣されているという事実は、もっと多くの人に知られるべきです。
【参考】
『民間人も「戦地」へ―テロ対策特別措置法の現実』吉田敏浩 (岩波ブックレット)
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/4/0092940.html
『ルポ 戦争協力拒否』吉田敏浩(岩波新書)
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0501/sin_k211.html
『週刊金曜日』2004.7.16 「"戦時下"の軍需産業 石川島播磨で何が起きているのか」
『毎日新聞』2007.2.25 発言席 「戦地出張の民間人 守るには」
毎日放送 映像06『誰も知らない戦地出張』
ビデオ/DVD『軍需工場は、今』(日本電波ニュース社)
http://www.ndn-news.co.jp/shop/05.4.5-1.htm
2002年7月から2005年12月までに19回、57人の民間人が派遣されている事があきらかになりました。(テロ特措法、イラク特措法関連を合わせて)
もし事故があったらどうすればいいのか、秘密のうちに危険手当もないまま危険な場所に派遣されていいのか、造船会社などに働く人達は抗議の声をあげました。
しかし、会社は危険の程度を事前に検討する基準もあきらかにしていません。
防衛庁も、国会議員から聞かれてしぶしぶ人数等の大まかな資料を出す程度で、どの企業から派遣されているのかも明らかにしていません。あとは「安全な地域に派遣している」と言うだけです。
「テロ特措法」では活動を支援する民間人の扱いや処遇は一切触れられていません。民間人が派遣されるという事は想定されてもいなかったのです。
すべては「軍事機密」「安全のため」という名目で、闇に包まれ秘密のまま進められてきた「テロ特措法」。
こうした状態を許してしまったら、今後、国民は何も知らされないまま、アメリカが世界で起こす「先制攻撃」の戦争に巻き込まれていく事になりかねません。
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