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http://blog.so-net.ne.jp/igajin/2007-09-06 から転載。
9月6日(木)
なぜ、『読売新聞』のスクープだったのか [政治とカネ]
台風直撃を前に、風雨が強まった1日です。その雨の中、わざわざ都心から『東京新聞』の記者の方が、我が家まで取材に見えました。
「9.11同時多発テロ」の7周年を前に、テロ対策特措法の問題について話を聞きたいと仰るのです。9月10日頃の紙面に出したいということで、時間がありません。
今は夏休み中であまり研究所に出ていませんし、本の原稿を書き始めましたので、外に出たくありません。それに、この雨です。
そこで、申し訳ありませんが、わざわざ自宅までご足労願ったというわけです。台風が近づく中、ご苦労様でした。
昨日は、いつもの『日刊ゲンダイ』とAP通信の記者から、電話がありました。内容は、言わずとしれた鴨下環境相などの「政治とカネ」の問題です。
報道だけでは良く分からないところもありますが、1000万円と200万円を書き間違えたなんて、「本当かいな?」と思ってしまいます。鴨下さん本人は「ずさんと言われれば、甘んじて受けなければならない。反省している」と話しているそうですが、もしそうだとしても、金銭感覚が麻痺していると言わざるを得ません。
例によって、安倍首相は「記載ミスと聞いている。記載ミスなら、訂正しないといけない。よく説明してもらいたい」と、他人事のように語るだけです。「内閣を去ってもらう」との方針を示していることについても、「誤記であれば、それに当たらないのではないか」と述べ、またしても鴨下さんをかばっています。
この問題は、昨日の『読売新聞』の朝刊がスクープしました。夕刊で各紙が追い、鴨下さんの釈明会見、テレビでの報道、そして今朝の朝刊各紙での追加報道という経過を辿りました。
辞任した遠藤前農水相とよく似た経過です。ただし、大きく異なるのは、遠藤さんの場合、スクープしたのは『朝日新聞』で、今回は『読売新聞』だったということです。
問題は政治資金に関わっており、一定期間の調査がなければ分かりません。遠藤さんについては『朝日新聞』が追い、今回の鴨下さんについては『読売新聞』が調べたというわけです。
『読売新聞』? 安倍さん嫌いの『朝日新聞』なら分かります。しかし、政府に近いとされている『読売新聞』とは?
ここで思い出されるのが、参院選後に出た『産経新聞』の記事です。8月29日付の「内閣改造 土俵際の再出発】(下)本気だった『倒閣』」という記事は、次のように書いていました。
2日後の7月31日。東京・汐留の高層ビルの一室で、参院選で瀕死(ひんし)の痛手を受けた安倍政権を揺るがす密談が繰り広げられていた。
「メディア界のドン」といわれる人物が主催する秘密会合に顔をそろえたのは派閥領袖級の4人。元副総裁の山崎拓、元幹事長の加藤紘一、元幹事長の古賀誠の「新YKK」、そして元厚相、津島雄二だった。
誰とはなく「安倍はもうダメだ。世論が分かっていない。一気に福田擁立でまとめよう」と声を上げると、新YKKとは一線を画していた津島も「あの人(安倍)には人の暖かみを分かる心がない。『正しいことさえ言っていれば人は分かってくれる』と思いこんでいる」と応じた。
くしくも同じ夜、森は別の会合で「次の内閣改造のキーワードは『安心』と『安全』だ。失敗すると安倍は厳しい」と語り、福田、谷垣の入閣が政局のカギを握るとの見通しを示し、こう言った。
「どんなに追い込まれても、安倍に解散はさせない」
森のこの言葉は一気に広まった。加藤らは「福田擁立で各派がまとまれば森は乗ってくる」と手応えを感じた。この後新YKKが不気味なほどに沈黙したのは、それだけ「倒閣」が本気だったことを示していた。
問題は、ここに登場する「『メディア界のドン』といわれる人物」です。おそらく、読売新聞社主の「ナベツネ」こと渡邉恒雄さんでしょう。
ということは、ナベツネが秘密会合を主催し、自民党元副総裁の山崎拓、元幹事長の加藤紘一と古賀誠、元厚相で津島派の津島雄二会長の4人が顔を揃え、「安倍はもうダメだ。世論が分かっていない」などと話し合っていたということになります。
今回の鴨下さんの借入金不実記載のスクープに、ナベツネが絡んでいたかどうかは分かりません。しかし、『読売新聞』ですら、安倍さんを見離しつつあることは確かなようです。
鴨下さんだけでなく、若林農水相の政治団体代表が補助金団体代表も兼任していたという報道や上川少子化相に貸付金の記載漏れがあり、資産等報告書を訂正するなどの問題も報道されています。
農水相を辞任した遠藤さんについても、追加の報道がありました。自らが組合長を務める農済組合の一組合員当たり補償額が、なぜか25年連続で全国一であったり、遠藤さんの設立した自動車学校が国有地を不法占有していたりしていたというのです。
まさに、地獄の蓋が開いたような報道ぶりです。これで、安倍さんは臨時国会に臨めるのでしょうか。
今日の『東京新聞』記者の取材を受けながら、「ヒョッとしたら、安倍首相はテロ対策特措法の延長を条件に自分のクビを差し出すつもりなのかもしれない」と思いました。しかし、テロ対策特措法の審議が山場を迎えるまで、安倍首相はその地位にとどまることができるのでしょうか。
なお、今、書いている原稿は、『労働政策』という表題で、日本経済評論社から出版される予定です。一応、序章の3分の2ほど書きました。来月末までには、ひととおり書き上げたいと思っていますが、果たしてどうなりますでしょうか。
ということで、このブログに書く頻度が落ちると思いますが、このような事情ですので、ご了承下さい。
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