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2007年09月05日
とっくに決まっている米国の北朝鮮テロ指定解除
さる3日、朝鮮中央通信が、「ジュネーブで行われていた6カ国協議の米朝作業部会で米国が北朝鮮のテロ指定を解除することに同意した」と報じ、4日の各紙が一斉にこれをとりあげた。
これに対し日本政府は「従来の米国の方針は微動だにしておらず、北の発表は間違いだ」(首相周辺)、「指定解除は各施設の無能力化や拉致問題の解決などいくつもの前提条件をクリアしたうえで実現する話し」(外務省幹部)(いずれも4日付日経新聞)、「米国は解除しないと言っている」(外務省幹部)(4日付読売)、などと否定してみせた。しかし与謝野官房長官は、翌4日の記者会見で、「米国からは、『核施設の無力化や核計画の完全な申告が行われていない状況下では、テロ支援国指定解除を行う事はない』との説明を受けている。指定解除のタイミングについては、米朝間で合意したとは承知していない」(5日各紙)と微妙にトーンダウンした(5日各紙)。
その一方で、安倍首相は4日、美根慶樹日朝国交正常化交渉担当大使に対し、「(過去の清算など)他の問題についても進展が図られるように努力してほしい」と指示した事を明らかにした(5日毎日)。美根大使も、「不幸な過去の清算を行い、国交正常化を実現するのが大目標だ」と、今回の交渉で「過去の清算」を全面的に押し出す積極姿勢を見せた(5日日経)。
これら一連の報道は一体何を意味しているのか。それがこのブログの内容である。
この点について、5日の日刊ゲンダイは本質をついた記事を書いていた。すなわち日米の専門家の間では米国が北のテロ支援国家指定を外すのは既定事実になっているというのだ。その通りである。後は、「核計画の完全な申告」と「核施設の無能力化」を北朝鮮が何時、どのような形で実行するかである。そしてどのような形であれそれを米国は了承する腹を決めているのだ。
だからヒル次官補が日本政府に言った通り、「今の状況では解除する事はない」というのは正しいが、同時にまた、米国は既に核合意のシナリオについて譲歩する腹を固めているのであるから、その意味で北朝鮮の言うように、「米国はテロ指定解除に同意した」という北朝鮮の発表もまた正しい。
問題は日本の出方である。日本だけが「置き去り」にされるという醜態だけは避けたい一心で、ついに日本政府は過去の清算を行う事を全面に出して譲歩する事を決めたに違いない。賠償という形は決して取りたくないから、巨額の援助をちらつかせて北朝鮮を話し合いに引き込もうとする。それは5年前の小泉前首相の手法と同じだ。違う点は、。それに加えて、過去をお詫びして清算する事を決めたのだ。大きな譲歩である。
しかし国民や右翼の手前もあり、「拉致問題の全面的な解決」なしに国交正常化はないという建前を崩す事は出来ない。そこで何を持って「全面的な解決」とみなすかという事が決定的に重要になってくる。「全面的な解決」とは、必ずしも横田めぐみさんらの無事生還ではない。「全面的な解決」の内容こそ今後日朝間で策略をめぐらす最も重要な内容なのである。日朝間で手打ちを図るべく密議を重ねる事にである。
日朝国交正常化は関係者すべてが熱望しているところだ。小泉前首相はもはや自分の手柄にならないから日朝国交正常化に関心はないかもしれない。それでも、きっかけを作ったのは小泉前首相だとメディアは持ち上げるだろうし、なによりも、ケチのついた拉致問題が終るわけだから、歓迎だろう。安倍首相は人気浮揚の決め手としたいから大歓迎である。外務省は時の政権を喜ばして評価を高めたい。拉致など存在しないと言い張って北朝鮮との関係を重視した政党、政治家は、その誤りに蓋をする事が出来るから国交正常化は大歓迎である。多くの国民はもはや拉致問題に関心はない。
かくして国交正常化は皆が歓迎する事なのである。外務省が少しぐらいの裏工作をして北朝鮮と密議を図ってもメディアも国民もこれを許すだろう。少なくともそういう読みは政府や外務官僚にはある。
そうだとすれば、そう遠くない将来に北朝鮮問題は解決するということである。いや、もっと正確に言えば、中東問題にすべてを優先するブッシュ政権が、みずから大統領でいる間に米朝国交正常化を行うという事が明らかになった時点で、外務省は何があっても日朝国交正常化を実現しようとするのである。
切り捨てられるのが拉致被害者の家族たちだけだとすれば、あまりにも残酷な話である。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/09/05/
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