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2007年09月05日
「アルジャジーラ」カメラマンの6年間「収容所闘争」
「戦争当事国の『公式発表』は、ほとんど例外なく嘘である。戦前の大本営(発表)しかり、ベトナム戦争しかり。もちろんイラク戦争も例外ではない。
米国と米軍は、嘘を真実にするために、あるメディアが邪魔だった。中東のニュース・チャネル『アルジャジーラ』である。
そのカメラマンの一人が、なんと6年間もわたって米軍に拘束され、あの捕虜虐待で悪名高い「グアンタナモ収容所」に送られていたのである・・・」
このような書き出しで始まる雑誌サピオ最新号(9月26日号)の「メディアを裁く!」という記事を、今日のブログで是非とも紹介したい。
サピオは偏った雑誌である。毎号、毎号、中国や北朝鮮の悪口を書いて溜飲を下げている雑誌である。そこに登場する常連の言論人は、いわゆる愛国的、国粋的、保守、反動的と呼ばれる限られた者ばかりだ。
しかしどのような雑誌でも参考になる情報はある。どのような言論人の言う事の中にも共感できる発言を見つける事が出来る。
サピオという雑誌で私がいつも感心して読む記事が、この「メディアを裁く!」である。これは、アメリカのメディアの最新動向を鋭くウオッチングする権威ある雑誌、コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(1912年にジョセフ・ピュリッツアーによって設立されたコロンビア大学ジャーナリズムスクール大学院が発行元)のレイチェル・モリス記者による特約連載記事の邦訳である。その第158回である最新号(9月26日号)の記事の概要はつぎの如くである。
・・・2001年12月15日、アルジャジーラの記者、サダ氏とカメラマン、アルハジ氏は取材の為アフガン国境に近いパキスタンの町シャルダンにいた。アフガンに入国し、米国の作戦を取材する予定であった。彼らはそれまで何度も同じようにアフガンに入っていた。ところがこの日、サダ記者はパキスタン入国管理官から信じられない言葉を聞いた。
「あなたは通れる。が、あなたの同僚はお尋ねものだ。ここに留まってもらうことになる」
・・・こうしてカメラマン、アルハジ氏の不幸が始まる。アルハジ氏はまず、カブールの地下牢に入れられ米軍の勾留下に置かれた。そして02年1月7日、米軍のバグラム空軍基地に移送された。その時の様子をアルハジ氏は後日こう語っている。
「15分ほどヘリコプターで移動し、氷のように冷たいタール舗装の飛行場に投げ出された。半分気を失った私を、米軍警察官が蹴りつけ、殴った後、私の持っていたバッグを奪い、服をナイフで切り裂いた。そして警察官は、『お前は、ビンラデンのビデオを撮った』と、罪状を申し渡した・・・」
アルハジ氏はそれから6ヶ月間、バグラム空軍基地で拘束された後、02年6月にキューバのグアンタナモ米軍基地捕虜収容所に移送される。それから今日まで、アルハジ氏はグアンタナモにいる唯一のジャーナリストである・・・
ブッシュ政権は、04年6月に連邦最高裁判所の判決が出るまで、同収容所にいる囚人の法的権利を一切認めず、捕虜の公正な扱いを定めたジュネーブ条約に違反し続けた。最高裁判決を受け、米政府は渋々囚人たちのヒアリングを開始したが、アルハジ氏の拘束理由は猫の目のように変わった。
当初、アルハジ氏が言い渡された“ビンラデンを撮った罪”はどこかに消え、かわって『アフガンにミサイルを買いに行った』、『96年にミサイルを買ったことがある』、『9・11テロ後、アルカイダに資金援助した』などと主張がなされたが、いずれも弁護士によって事実無根が証明されている。それでも釈放されないままだ。弁護士は断言する。
『アルハジが拘束されている理由はただ一つしかない。アルジャジーラのカメラマンであることだ・・・彼はこれまで130回に及ぶ取調べを受けているが、犯罪について聞かれたことは全くない。そのかわりアルジャジーラの記者や幹部のアルカイダとの結びつきについて繰り返し問いただし、アルジャジーラの内情をスパイするなら釈放する』とも言われている・・・
今年(07年)1月、アルハジ氏はハンガー・ストライキを実行した。見る見るやせ衰えていったが、米軍が取った措置は次のようなものだ。
・・・体重が2割ほど減った時、私は椅子に革紐で縛り付けられ、医者が鼻の穴からチューブを差込み、それが胃に到達すると250CCの黄色い液体が流しこまれた・・・
アルハジ氏は6月に入って、再びハンストに突入した。その決意を再び弁護士あてにこう書いている。
・・・妻よ、息子よ、心配するな。起こるべきことは、起こるべくして起きる。事実は事実である。太陽は再び昇るだろう・・・
サピオの記事は今回の連載を次のように締めくくっている。
上記・モリス氏のレポートの後、多くの米メディアがアルハジ氏の動向に注目するようになった。8月15日には国務省の記者会見で関連質問が相次いだが、ブッシュ政権は、「彼の敵対が終るまで、アメリカは彼を拘束する権利がある」とコメントしている。
アルハジ氏の例はアフガン、イラク戦争にまつわる米国の不正義のほんの氷山の一角であろう。どれだけの犠牲と無念がこの6年間で重ねられた事であろう。
しかしまもなくそれも米国の撤退によって終る。米国のアフガン、イラク戦争が世界中の良心によって裁かれる時がくる。その時が一日も早く来なければならない。そして米国に従属し続けた日本外交の誤りが、どう言い繕っても弁解できないほど、明らかになるのだ。明らかにされなければ、日本外交の蘇生はない。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/09/05/
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