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(回答先: 遠藤農相、3日に辞表提出 安倍改造内閣に大打撃【東京新聞】 投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 9 月 02 日 22:42:17)
「経済コラムマガジン07/9/3(494号)
・内閣改造に対する感想
・理解不能な自民党の動き
本誌が夏休みの間に色々なことがあって、何から取り上げるべきかと迷うところである。例えば米国のサブプライムローン問題の市場への影響で、相場が動揺している。株価が下落し、円が高くなっている。しかし当面の人々の関心は改造内閣であろう。
そこで今週は安倍改造内閣について述べる。しかしその前に筆者の立場を明らかにしておく。筆者は、ずっと自民党の支持者であり、国勢選挙では常に自民党に投票してきた。しかし郵政改革選挙で、支持してきた政治家のほとんどが自民党を追われたため、今日ではむしろ反自民のスタンスである。
したがって今回の内閣改造にそれほど興味があったわけではない。しかも大嫌いな政治家が数名(7〜8名)、内閣と党の要職に就いている。しかしこのような個人的な感情を除いても、それほど良い陣容ではない。内閣改造によって支持率が多少上昇しているが、これは前の内閣・党執行部が酷すぎたからである。
支持率アップと言いながら、米国株価の上昇を受け朝方大幅高で始まった日本の株価は、内閣改造の様子が漏れ伝わるにつれ上げ幅が小さくなった。これは市場が改造内閣の経済政策に全く期待していないことを示している。しかし今回の改造人事は、人材が払拭した今日の自民党では精一杯のものとも言える。
今回の改造人事の特徴は「構造改革派」潰しと言われている。構造改革派がペテン師の集まりだと言うことにようやく気が付いたのであろう。しかし一方に「財政再建派」が温存されている。筆者は「構造改革派」と「財政再建派」は同じものと見なしている。財政再建派は、財政支出をしなくとも構造改革で経済が成長すると思っているのである。
実際、財政再建派と目される与謝野官房長官は、橋本政権の官房副長官時代、「緊縮財政が経済に悪影響を与える」という党内の意見を「財政出動をしなとも規制緩和を行えば経済は成長する」と突っぱねている。今回の人事では、構造改革を前面に掲げた者が叩き出された恰好になっている。しかし実際は気にくわない人物を構造改革派というレッテルを貼って追出しただけであり、実質的な構造改革派は多数残っている。むしろ財政再建派という名のもう一つの構造改革派が主流派になっただけと言える。
参議院選挙で大敗した自民党は、これを性急な構造改革のせいにしている。特に地方での大敗は深刻である。しかし財政再建派が主流派である今日の自民党には、地方経済を立直す手段がない。つまり構造改革派であろうと財政再建派であろうと、どちらも日本経済にとって貧乏神であることに違いはない。
このような矛盾を抱えては、まともな政策が打ち出せるはずがない。今後も迷走した経済政策が続くことは確実である。市場もこのような事を察知し、株価は下落したのである。おそらく自民党は、次の衆議院選挙でも大敗するであろう。
・二つの指摘事項
今回の人事に関して二つの事を指摘したい。一つは自民党の参議院議員の軽視である。前に述べたように筆者は、今日の自民党にとって衆議院議員より参議院議員の方がずっと価値があると考える。自民党はずっと参議院の議席不足で苦労をしてきた。
筆者は、自民党の転落のきっかけは他党との連立、具体的には公明党との連立と見ている(このことは後日取り上げるつもり)。これは参議院で額賀防衛庁長官(当時)の問責決議案が可決したことが契機となっている。当時参議院で自民党は過半数割れであった。もっとも就任間も無い防衛庁長官に防衛庁の不祥事の責任を問うこの問責決議案自体は不合理なものであった。理由の薄弱な問責決議案の可決なんか無視しておけば良かったのに、これに当時の野中幹事長が過剰反応し、公明党との連立に走ったのである。これは小渕政権の汚点となった(筆者は小渕政権の経済政策は高く評価している)。
このように参議院での議席不足に自民党はずっと泣かされて来た。しかしそれにしては参議院選挙に対する対処がまずかったり、参議院議員の処遇が悪すぎることが続いている。この根本に、自民党内では参議院を軽視するムードがあるからと考える。しかし現実的に、一度参議院選挙で大敗すると6年間も議会運営に支障をきたすのである。
筆者は参議院議員をもっと尊重すべきと思う。党の三役の一つくらいは参議院議員が占めるべきと考える。閣僚ポストももっと参議院議員に多く割り振るべきである。ところが今回の改造人事でも参議院議員にはたった二つのポストが割当てられただけである。一方で訳の分らない民間人に二つの大臣をイスを与えている。これでは参議院議員なんかいらないと言われているようなものである。一体自民党は何を考えているのであろうか。この状況では三年後の参議院選挙でまた大敗することは間違いないであろう。
指摘事項の二つ目は、経済財政担当大臣(昔の経済企画庁長官)に民間人を用いていることである。これは極めて愚かな人事である。しかも小泉政権の竹中平蔵氏以来ずっと民間人がこのポストを占めている。異常な人事が続いているのだ。これは経済財政担当大臣というものが軽く見ているのか、あるいはこのポストを専門的で特殊と見なしているからと考える。
たしかに経済の専門数字を扱うことは難しい。しかし難しいからこそ政治家が経済財政担当大臣に就くべきと筆者は考える。特に若手の将来有望な政治家をこのポストに就けるべきと考える。優れた政治家を育成するにはうってつけのポストである。他に政治家を育成するために良いポストは防衛庁長官(現在の防衛省大臣)である。これは国家の危機管理というものを学習するために適当なポストである。
現在、自民党は完全に人材が払拭している。これは郵政改革派を追出したことに加え、小泉政権下で若手を育成するような人事を行ってこなかったからである。小泉政権の5年間、小泉首相へのイエスマンと改革バカがずっと要職を占めて来た。このようなデタラメの人事を続けていては政治家は育たない。
官僚は自分達に都合の良い数字しか上げてこない。これは何も厚生労働省や社会保険庁に限ったことではない。例えば官僚の作った経済に関する数字では、日本経済は良くなっていることになる。まさかと思われるが一般の自民党の政治家だけでなく自民党の幹部まで、この官僚の作ったウソ数字によるウソ話を信じていたようである。
「改革の結果、日本の経済は良くなった」「ただ景気回復の実感がないだけ」と選挙で自民党の候補者は叫んでいた。しかし実際の日本経済の状態は良くない。これが大半の有権者の実感であり、この実感の方が正しい。だからこそ自民党の政治家が「景気は良くなった」と言うたびに、皆頭にきて民主党に投票したのである。景気が良くなったと感じているのは大手上場会社の重役と日経新聞くらいなものである(もっとも大手上場会社の中には数字を操作しているところがあると思われるが)。
本当の経済状態を知ることは政治家にとって極めて重要である。常に官僚は数字を操作しようとするのだから、それに対抗できる政治家が必要である。そのためにも経済に強い政治家を育成する必要がある。しかし経済財政担当大臣にずっと民間人を起用している自民党にはその気はないようである。
来週は、経済数字がいかに間違った印象で公表されているか一例を示したい。」
http://adpweb.com/eco/eco494.html
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