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http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2007/08/30215034.php から転載。
英外相、日本の多様なアフガニスタン支援を評価
2007年8月30日(木) 21:50:34 under 外交
テロ特措法延長が大きな対決点になっていますが、イギリス・ブラウン新内閣のミリバンド外相が、8月23日付の「読売新聞」で、日本のアフガニスタン支援を評価する論評を寄せています。
そこで分かることは、日本のアフガニスタン支援がインド洋での自衛隊による多国籍軍艦船への燃料補給だけではない、ということ。だから逆に言えば、テロ特措法が廃止されて、自衛隊による燃料補給活動が打ち切られたとしても、日本がアフガニスタン支援からまったく手を引いてしまったということにはならない、ということです。そこいら辺から議論を始めてみませんか?
論評はインターネットでは流れていないようなので、全文を貼り付けておきます。
ただし、オイラは、別にこのミリバンド英外相の論評を丸ごと全面評価するつもりは毛頭ありませんので、その点はお間違えなきように。アメリカによるアフガン攻撃を是認するイギリスの外相だって、日本の貢献=インド洋での燃料補給だけ、などという議論はしてませんよ、という限りで紹介するものです。
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ミリバンド英外相寄稿 アフガン支援 日本を評価
[読売新聞 2007年8月23日]
英労働党次世代のホープで、6月に発足したブラウン政権の重要閣僚となったデビッド・ミリバンド英外相(42)が、本誌に寄稿した。同外相はアフガニスタンを訪問したばかりで、同国への日本の貢献を高く評価している。
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外相に就任した際、最初にすべき仕事の1つとして、アフガニスタンを訪れ、同国政府と国際社会が直面する課題を自分の目で確かめ、また、アフガン国民の生活を真に向上させるため、私たちがどのような協力をすることができるか、説明しようと考えた。
アフガニスタンに対する国際社会の関与は、大規模なものだ。国連安全保障理事会の決議に基き、北大西洋条約機構(NATO)が主導する貢献には37か国が加わっている。多国籍軍とアフガン国軍は、協力して同国の安定と安全保障の実現や、非合法な麻薬取引問題に取り組んでいる。17の国連機関の活動に約100か国が何らかの協力を行っている。
では、なぜ、我々はこれほど多くの努力を注ぎ込むのだろうか。それは、我々すべてがアフガン政府と共通の目標を持っているからだ。反政府活動や過激主義と戦い、アヘン栽培を削減し、同国が2度と国際テロの拠点にならないようにする状況を生み出すことだ。
日本は、こうした国際社会の努力に重要な貢献を果たしている。今年初め、日英首相はロンドンで、我々が協力して関与を強めることを確認した。
2001年以来、日本の海上自衛隊はインド洋で(給油活動などの)多国籍軍への支援を行っている。この多国籍軍は、テロリストの行動阻止に貢献し、アフガン国内、および周辺での反テロ作戦の極めて重要な一翼を担っている。今年7月6日までに、海上自衛隊は(多国籍軍を構成する)計11か国に対し、計48万キロ・リットルの燃料、6090トンの水、930キロ・リットルのヘリコプター燃料を補給した。
また、日本政府は、アフガン政府支援の目的で国連が管理している「アフガニスタン薬物対策信託基金」に500万ドルを拠出した。価値ある重要な貢献であり、英政府は高く評価している。
日本は、NATOの地域復興チームを通じたアフガニスタンの人道支援に寛大な貢献をしているが、これは、復興が治安を改善し、持続力のある進歩をもたらすことの好例である。また日本政府は非合法武装集団の武装解除計画にも率先して取り組んでいる。1億3500万ドルの支援も含め、極めて重要な貢献である。
アフガンを訪問し、国民と話した後、彼らは明らかに自国政府の力の欠如と治安状況を懸念していた。地域によっては非常に不安定な状況が続いている。南部のケシ栽培は今年増加した。あらゆるレベルの腐敗の根絶が必要だ。おそらく、こうした課題への対応には数十年かかるだろう。同国が紛争と失望へ後戻りしないためには、迅速な行動が求められる。
進展もみられた。就学児童数は、01年には40万人だったのが、現在では500万人を上回り、しかも、その3分の1以上が女子である。その間、1万3000もの小中学校が建てられた。基礎的医療を受けられる国民は、02年にはわずか9%だったが、現在は80%に達した。タリバン支配下の時代に比べ、幼児の死亡は年間4万人減った。
ただ、これで満足するわけにはいかない。反政府活動に対する一層効果的な努力、アフガン政府の機能を高める一層の支援、麻薬産業への取り締まり強化、治安、および、司法制度の基盤整備、社会・経済的発展の促進などが必要である。同国の将来は我々すべてに影響する。国際社会全体が意欲を新たにして、ともに前進しなければならない。
目標達成は長期的課題だろうが、アフガン国民、そして我々すべてのためにやり遂げなくてはならない。日本と密接に協力しながら、この課題に取り組みたい。
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「国際貢献」について、何かと言えば、「お金だけで済ませるわけにはいかない」という政治家や評論家がいますが、ミリバンド外相が、日本の「アフガニスタン薬物対策信託基金」への500万ドルの拠出や、武装解除計画への1億3500万ドルの支援なども「英政府は高く評価している」「極めて貴重な貢献である」と評価していることを見逃すべきではありません。お金による貢献だって、ちゃんと評価されるのです。
要は、道理と大義のある貢献か、そうでない貢献か、です。アメリカの誤ったアフガン戦争を是認するような「貢献」策は、どんなに人やお金をつぎ込んでも、評価されないのです。
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