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http://blog.so-net.ne.jp/igajin/2007-08-30
8月30日(木) テロ対策特措法審議で明らかにされるべき3つの疑問 [テロ対策特措法]
今日で8月も終わりです。色々な意味で、暑い1ヵ月でした。それでも、秋の訪れを告げるかのように、昨日から涼しくなっています。
昨日紹介した各社の世論調査では、テロ対策特措法に対する意見を聞いたものもありました。その結果は、以下のようになっています。
日経新聞:賛成30%、反対53%
朝日新聞:賛成35%、反対53%
共同通信:賛成38.6%、反対48.2%
いずれの調査でも、テロ対策特措法の延長に反対の方が多くなっています。日経と朝日の調査が、ほぼ同じような結果になっていることも注目されます。
このように、国民世論の動向は明らかです。臨時国会で延長をめざす与党よりも、反対を表明している民主党などの方に分があるということになるでしょう。
このような世論を背景に、民主党は最後まで反対を貫き、自衛隊をインド洋から呼び戻してもらいたいと思います。もともと憲法第9条に違反する海外派兵だったのであり、「テロとの戦い」でも役に立っていないどころか、逆効果になっているのですから……。
この民主党の対応について、今日の新聞では、相反する二つの報道がなされています。一つは朝日新聞のもので、「民主、テロ特措法に対案 アフガン民生支援 海自は撤退」という見出しになっています。もう一つは毎日新聞のもので、「テロ特措法:反対の民主党に対案なし 原則押し通す構え」という見出しの記事です。
一方は「対案」、他方は「対案なし」ということで、全く逆の内容です。どちらが正しいかは、いずれ国会審議の中で明らかになっていくでしょう。
民主党には、「対案」を出すということで、自民党と同じ土俵に乗らないよう注意してもらいたいものです。さし当たり、国会審議では以下のような点について疑問をただすことを優先するべきでしょう。
それは、第1に、海上自衛隊の艦船は、インド洋のどこで、何をしているのか、ということです。インド洋といっても、その範囲はインド沿岸からアフリカ東岸まであります。
自衛隊の艦船は、アフガニスタンに近い海域ではなく、実は東アフリカの沿岸で燃料を供給しているという指摘があります。そうなのでしょうか。
軍事評論家の神浦元彰さんは、そのウェッブhttp://www.kamiura.com/new.htmlで、「多国籍軍の活動範囲(海域)」は「アフガン戦争とは無縁の海域」だとして、次のように書いていました。
多国籍軍の活動範囲(海域)がパキスタンやアフガン(海に接していない)の沖合ではないということである。もともとはアフガンのアルカイダが海路で逃走したり、武器や弾薬が海路からアフガンに運び込まれることを阻止するために、海上でのパトロールは始まった。今でも日本人の多くがそのように想像していると思う。しかし実際の活動範囲はインド洋でもアラビア半島のイエメン沖や、アフリカのソマリア沖で活動している点である。海自の派遣先はアラビア半島の沖合から東アフリカの沖合ということを日本政府は隠し続けてきた。アフガン戦争とは無縁の海域である。
第2に、多国籍軍による海上での活動が、「テロとの戦い」でどの程度の効果を上げているのか、ということです。これまでの実績の詳細を明らかにするべきです。
海上自衛隊は01年12月以来、“テロ勢力の海上移動阻止”を掲げた「海上阻止行動」(MSO)に参加する米軍など5カ国の艦船に燃料や水などを提供してきました。
しかし、給油量は現在、月あたり2000〜3000キロリットルにすぎません。MSOの成果としては麻薬の押収などが挙げられていますが、テロリストの拘束はなく、不審船舶に対する無線照会件数も04年の4万1000件から、06年には9000件に激減しています(『しんぶん赤旗』2007年8月26日付)。
テロ活動の防止という点で、海上自衛隊の活動に実質的な意味があるのでしょうか。この点についても、神浦さんは次のように書いています。
多国籍軍が01年から6年間もインド洋海上で警戒・監視の警戒活動を行っているが、海路で移動するテロリストの拘束、あるいは武器や弾薬などの押収量が少ないことである。ほとんど麻薬などの密輸(海上輸送)を摘発する程度で、テロとの戦いをしているという大義名分にほど遠いのが現状である。海自・幹部はインド洋で多国籍軍がパトロールをしていることで、テロリストのヒト、モノの海上移動を抑止していると説明するが、なぜインド洋にこだわるのかという疑問には説得力に乏しい気がする。アフガン戦争はタリバン復活など別の色合いが濃くなってきたのに、新たな情勢に対応することなく、相変わらずブッシュ政権の始めた戦争を支持するためにインド洋にダラダラと派遣を続けている。
第3に、海上自衛隊が燃料を供給している艦船の活動対象がアフガニスタンだけに限られているのか、という問題もあります。燃料の供給を受けた米空母から発進した艦載機が、アフガニスタンだけでなく、イラクやアフリカの国々を空爆するというようなことはなかったのでしょうか。
もし、海上自衛隊から燃料や水の供給を受けた艦船が、アフガニスタン以外の国々に対する作戦行動に参加していたとすれば、テロ対策特措法違反になります。このような法律違反を犯していないかどうかも、綿密に検証される必要があるでしょう。
また、自衛隊によって提供された燃料が横流しされ、関係者の私腹を肥やしているとの噂もあります。その真偽も明らかにされなければなりません。
テロ対策特措法に対する対応として、民主党は参院で審議を行わず、時間切れを狙うと見られています。法律の延長阻止というだけなら、そのような対応もあり得ると思いますが、それだけでは不十分なのではないでしょうか。
この法律に基づいて海上自衛隊はインド洋でどのような活動を行ってきたのか、アメリカなどの多国籍軍の艦船は何をやっているのか、その活動実態を参院審議の中で明らかにすることは極めて大きな意味があります。シーファー駐日米大使は機密情報の提供まで民主党に申し出たわけですから、絶好のチャンスではありませんか。それらも活用して、「対テロ戦争」の実態を暴くことが必要でしょう。
アメリカが行っている不正義の戦争の実状を明らかにし、公明党や自民党の一部議員が賛成できない状況を作り出したうえで否決し、衆院に送って与党の決断を迫るというやり方を取るべきです。参院での審議で、簡単には賛成できないような状況を生み出すことができれば、衆院での再可決をめぐって与党は窮地に陥ることになります。
「吊し」戦術によって、審議せずに時間切れを狙うというのでは消極的すぎます。「テロとの戦い」とは、本当はどのようなものなのか――アメリカが勝手に始めた「戦争」の実態を暴露し、その過ちを明白にするために、是非、参院での審議を全面的に活用していただきたいものです。
そうすることで初めて、「ねじれ国会」の真価を発揮することができるのではないでしょうか。
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