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党内閣の改造を受けて各報道機関が安倍内閣支持率を調査した。その結果が報道されている。それは各報道機関の調査によりバラバラだ。果たしてどの報道機関の調査が正しいのかということを議論するのはあまり意味がない。いつもいっているように内閣支持率というのは風・空気みたいなものである。ちょっとしたことで上がったり下がったりするものなのである。こんなものに一喜一憂する必要はない。しかし、その数値には深い意味がある。
私はこれまで『朝日新聞』の世論調査の数値をもとにいろいろなことを論じてきた。従って今回も『朝日新聞』が行った世論調査をもとに内閣支持率を論じてみたい。いつもいっているように世論調査でいちばん大切なのは傾向である。私の手元にあるある数値は、永田町徒然草No.492の数値と8月29日付けの『朝日新聞』の数値である。それによると安倍内閣の支持率は、43→44→36→30→34→32→31→28→31→30→26→33%である。調査時期は、最初の数値が5月12・13日(土・日曜日)である。最後の数値は8月27・28日(月・火曜日)の調査であり、その前の数値は7月30・31日(月・火曜日)である。
この数値をみるときに次のことに注意しなければならない。ひとつは、調査の日の曜日である。『朝日新聞』の連続世論調査は、土・日曜日に行われた。しかし、最後の二つの調査が行われたのは月・火曜日に行われていることである。電話調査であろうが面接調査であっても、調査が行われる日によって調査しようという人(世論調査ではサンプルという)に接触できることに違いがあることである。これはかなり重要なことである。二つ目は、今回の調査は党・内閣の改造直後であり、前回の調査は参議院選挙の結果がでた直後であった。
以上のふたつのことを前提にして今回の内閣支持率33%は、どう評価すべきなのであろうか。内閣支持率には“ご祝儀”も表われる。改造報道が圧倒していた時点において33%というのは、低いといってもいいだろう。また月・火曜日の世論調査では、若い人・働いている人たちに接触できない傾向が強い。週休二日制が定着してきた現状においては、土・日曜日に行われる調査に比べればこの人たちの意向が調査に反映されない傾向がある。若い人・働いている人たちの政治的傾向を私がここで論じる必要はあるまい。そうすると33%の支持率というのは、決して高いものではないということである。いやかなり低いといってもよいと思う。安倍首相が考えていたような効果は決してでていないと考えてまず間違いない。
いっぽう内閣不支持率はどうだろうか。33→38→42→49→48→51→48→48→51→55→60→53%と変化している。こちらの方も安倍首相が考えていたような効果はでていない。いちばん不支持率が少なくなると思われる改造直後に、内閣を支持しないという人が53%もいることは相当ピンチである。安倍首相や麻生幹事長は、内閣支持率があがったことでシメシメと考えていると思うが、それは世論調査の分析を知らない者がする浅はかな糠喜びというものである。内閣改造により新しい大臣が誕生したことにより支持率が上がることは大いにあり得る。しかし、今回大臣に就任した人たちの不祥事はまだないのだから、内閣改造が不支持率を上げることにはならない。ということは、53%は安倍首相自身を支持していないことなのである。
安倍内閣を支持する人が33%、支持しない人が53%。100ー(33+53)=14(%)の人たちをどう見るべきなのだろうか。私はこうした数値を基本的に無視することにしている。こうした人たちは、投票にも行かないし、政治的な言辞もあまり発しない。だから政治的なビヘェイビアを示す人たちだけの傾向をみると61%の人々が安倍内閣を支持していないと私は考えている。過半数を10%こえる人々を相手に政治を行い、選挙を戦わなければならないことは想像を絶するほど厳しいことなのである。もっと深刻なのが政党支持率の数値である。政党支持率は内閣支持率に比べるとちょっとやそっとのことでそう簡単には変化しないものである。
【政党支持率】
自民党 25%
民主党 32%
公明党 3%
共産党 3%
社民党 1%
国民新党 0%
新党日本 0%
その他の政党 1%
支持政党なし 29%
答えない・分からない 6%
テレビ等に出演する自民党の国会議員が、今回の選挙の結果を自民党に対して“お灸をすえるものだった”といい、自民党そのもの(あるいは安倍首相自身)に不信任を突きつけられたものではないといっている。この政党支持率を知った上でそういっているとしたら、“おめでたい”限りである。おめでたいだけでなく、不遜であり尊大である。その代表が安倍首相その人なのである。そんな人物を党のトップに戴く自民党や自公“合体”政権を倒すことはそんなに難しいことでないことを私たちは知らなければならない。
それでは、また明日。
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