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テロ特措法延長問題と世論(天木直人のブログ 8/29)
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投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 29 日 14:37:52: 2nLReFHhGZ7P6
 

2007年08月29日

 テロ特措法延長問題と世論


 新内閣評価の世論調査を報ずる29日の各紙の中で、いくつかの新聞がテロ特措法延長の是非についての世論調査結果を掲載していた。たとえば朝日新聞は延長に賛成が35%に対して反対が53%、日経新聞では賛成が30%に対して反対が53%となっている。
 世論調査の数字がどの程度信頼できるかという問題はある。またこの種の世論調査はこれからも頻繁に行われ、情勢の推移によってその数字も変化していくに違いない。しかし少なくとも現時点の国民の考えをうかがい知る上で興味深い。
 この世論調査をみていくつかの論点を提起したい。読者がテロ特措法延長問題を考えていく上での参考にしてもらいたいからだ。
 まず指摘したい事は、思った以上に国民はテロ特措法延長に反対しているということである。私の記憶が正しければ、以前の国民の反応は、賛成、反対がもう少し拮抗していたような気がする。しかし今回の数字はかなり明確に反対の意見が示された。私は日本外交が対米従属から抜け出す事のできる唯一の条件は、国民が覚醒することしかないと思っている。つまり米国によって支援され、それゆえに米国からの命令を拒否できない日本の歴代の指導者といえども、国民の反対を押し切って対米従属外交を永遠に続ける訳にはいかないのだ。いくら米国に支持されても、いやそれ故に、国民の反発が強まって、親米、傀儡政権が倒れた例は世界中で枚挙にいとまがない。日本だけが例外であるはずはない。米国もそれを知っている。だからこそ米国はその国の世論を重視し、世論工作さえするのだ。その意味で今回の世論調査は米国も注目しているに違いない。
  当然ながらこの世論調査結果は与党と野党、とりわけ自民党と民主党の対応に影響を与えざるを得ない。ただでさえ国民の支持を失っている自民党は、世論に右顧左眄し、修正協議を含め一層の譲歩を行う姿勢を見せるであろう。他方、政権取りを目前にしている民主党は、ここで国民の支持を失ったら取り返しがつかないとばかり、これまた世論に迎合して強硬姿勢を示サざるを得ない。劇場型政治の格好のテーマだ。テレビも芸能ニュースなみにこの問題を取り上げることだろう。
  しかし問題はその先である。仮にテロ特措法延長反対がめでたく達成されたとしよう。それがそのまま日米関係の健全化につながっていくのか。もちろん日米関係の健全化とは、見せかけの自主外交の達成ということではなく、戦争国家米国との軍事同盟関係を断ち切り、米軍基地をこの日本から撤廃し、憲法9条に謳う平和外交を、近隣アジア諸国はもとより世界の国々と行う、そのような自主的な安全保障政策を打ち立てる事である。米国の戦争政策とは一線を画した日本の自主的な安全保障政策を打ち立てた上で、なおかつ良好な日米関係を確立するという事である。
  私が繰り返しこのブログで書いているように、中途半端な形でのテロ特措法延長反対は、反米感情を抱く一部の左翼や右翼の国民の溜飲を下げさせる事は出来ても、決して上記のごとき日米関係の構築につながらないという事である。非難さるべきは、不当な要求を日本に押し付ける米国ではない。どの国も自らの国益を相手に飲ませようとすることは当然である。非難さるべきは、一般国民の犠牲の下に、自己保身のために不当な米国の要求を丸呑みし続けてきた、この国の支配者層のなのである。その売国奴的対応なのである。
  その観点から言えば、今度の世論調査結果の内容と、それに対応する民主党の動きから目が離せない。
  まず世論調査であるが、延長に賛成とか反対とか言ったところで、その理由まで聞いて見ないとあてにならないということである。すなわち米国のテロとの戦いは間違いで、それに加担するテロ特措法は認められないという明確な考えを持って国民の5割以上が延長に反対しているのなら本物である。しかし、ただ単に米国の言いなりになるのはおかしいとか、テロとの戦いに協力するのは正しいが日本の協力は別の方法があるとか、自衛隊が犠牲になるのは反対だ、と言ったような理由であれば、健全な日米関係の構築という一大事業に進む事はおぼつかない。そもそも日本政府はこれまでテロ特措法の趣旨やそれに基づいた補給活動の実態などをことごとく国民に隠蔽してきた。そのような状況の中で、世論がどこまで正しい判断ができるというのか。
  世論がいかなる理由で延長に反対しているかという事は、同時にまた民主党がどのような理由で延長に反対しているか、今後も反対を続けていくか、という事に直接に関係する。今度の世論調査の結果、民主党の強硬姿勢は助長されるであろう。前原らに代表される親米保守の民主党の連中はしばらくは沈黙せざるをえないだろう。しかし小沢発言直後には修正に応じるがごとき柔軟な発言をしていた鳩山や菅らが、ここへきて「民主党が分かっていない」とか「延長拒否にいささかの変化もない」などと強硬な発言に転じたところに、民主党のうそ臭さを感じる。底の浅さを感じる。
  あくまでも反対の姿勢を貫くというその言やよし。それでは一切の代替案を拒否するのか。そもそもテロとの戦いへの協力が間違いであった、それに協力した小泉、安倍政権は間違いであった、だからアフガンにもイラクにも民主党は一切関与しない、そう米国に明言できるか。
  それとも、そこのところを曖昧にしたまま、アフガンとイラクは違う、国連決議がないからだめなのだ、テロとの戦いへの国際協力には積極的に協力する、日本は貧困撲滅への人道援助、資金協力を重視する、などと言った代替案を引っさげて米国や自民党と調整しようとしているのか。これを公開して行うのか裏で手打ちをするのか。小沢の了解の下で、表で小沢が強硬姿勢を繰り返し裏で小沢の代理が動くのか。これらの対応次第で小沢民主党への国民の評価も変わってくる。そして、その時に言う国民と言っても様々な層の国民、世論がある事を忘れてはならない。民主党はどの国民に顔を向けているのかと言う事なのだ。
  テロ特措法を政権交代の政争の具として利用しているに過ぎないと、世論やメディアに見透かされるようでは民主党は苦しい。実は追い込まれているのは自民党ではなく民主党なのだ。私が小沢代表に助言するとすればどう言うかは既に前のブログで書いた。もし私が自民党の参謀であれば、「なんでも民主党の案を丸呑みするから、国民のために最善の案を早く提示してくれ」と迫れと助言する。どのような対案が出てきても難癖をつけて、すべての責任を民主党にかぶせるような策略を考えろと助言する。米国はそのような自民党を助けるであろう。
  政権交代をめぐる最後の政局劇は、テロ特措法延長に関する小沢発言をめぐって、当事者の手を離れてどんどんと進展、変化していく気がしてきた。果たして小沢はそこまでを見通して最初の発言をしたのだろうか。もしそうであれば私が出る幕はない。そうでなければ、これからの2ヶ月は、近来まれに見る興味深い展開になるということだ。


http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/29/#000500

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