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安倍改造内閣の火種？それとも救世主！？厚労相に舛添氏就任【サンスポ】
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007082800.html
「非お友達」で入閣した舛添要一厚労相。麻生幹事長とのバトルはどうなる？＝２７日、首相官邸（ロイター）
安倍晋三首相（５２）は２７日、内閣改造と自民党役員人事を行い、「安倍批判」を繰り返してきた舛添要一参院議員（５８）を厚生労働相に起用した。
年金問題などを抱える最重要ポストで、「命がけでやる」と舛添氏。
だが先月の参院選中は、党幹事長に就任した麻生太郎氏（６６）の問題発言に対し「バカ」と激しく非難。
舛添氏が新内閣の火種となるか、支持率回復の救世主となるか注目だ。
◇
安倍批判の急先鋒が、脱お友達内閣の象徴か。明らかに「お友達」ではなかった舛添氏が厚労相での初入閣となった。
「ずっとあなたを批判してきた人間が（内閣に）入っていいのか？」「それがむしろいいんだ」−。
安倍首相から入閣要請の電話が入った際にこんな会話が交わされたことを、舛添氏は報道陣に明かした。
首相には「命がけでやります」と伝えたという。
新閣僚会見でも「総理が個人的に憎くて批判していたのではない」と強調。
「党立て直しのために批判すべきを批判してきた。
今は一体となって党を立て直さなくては」。
安倍批判は一時控える姿勢を示唆した。
年金問題や社会保険庁改革など難題を多く抱える厚労行政。
だが実母＝平成１２年他界、享年８６＝の介護経験を機に政界に転身しており、専門分野だ。
「身の引き締まる思い。国民の視点で頑張りたい」と意欲を示した。
安倍首相も同夜の会見で「国民に分かりやすく説明ができる人」と起用理由を説明した。
だが火種は残る。
参院選中、麻生氏が日本と中国のコメ価格差について「アルツハイマーの人でも分かる」と発言したことに対し激怒。
街頭演説での同席を拒絶し「バカとは一緒にやりたくない」とバッサリ。
「あんな発言して総理大臣になれるか！」とほえた。
母親が認知症だったため、「あの発言は許せない」との気持ちだった。
だが麻生氏は党ナンバー２の幹事長に。
「麻生Ｖｓ舛添」がこじれれば、党・政権運営に致命傷となる可能性もある。
当の麻生氏は同夜、テレビ朝日系「報道ステーション」で舛添氏起用について「社会福祉をライフワークにしたいと言っていたので、いい人事だ」と評価したが…。
選挙中に暴漢に襲われて腰を痛め、はり８０本打って戦った効果で当選し、即入閣。
参院選惨敗でも首相が続投を表明した際は「党はショック死状態」と批判したが、ショック死状態の安倍自民を“介護”できるか？
★安倍首相は自信満々「強力な布陣」
安倍首相は２７日夜、官邸で記者会見し、改造内閣について「適材適所の強力な布陣を作った」と自信をうかがわせ、「失われた信頼を再び政治、行政に取り戻す」と決意を示した。
参院選惨敗の敗因について「中央と地方の格差問題」とし、「地域が活力を取り戻すよう全力を尽くす」と表明。改造内閣の閣僚が「政治とカネ」の問題を指摘された場合は「十分な説明ができなければ去っていただく覚悟でやってもらう」との姿勢を強調した。
★少子化担当相に上川陽子氏
少子化担当相として初入閣した上川陽子氏（５４）は当選３回の衆院議員。娘が２人いる。改造前は３人いた女性閣僚は、残留した大田弘子経財相（５３）と２人になった。
経歴は華やかだ。東大で国際関係論を専攻。卒業後は三菱総研研究員を経て、米ハーバード大の行政大学院「ケネディスクール」を修了、米上院議員の政策立案スタッフとして活躍した国際派。得意分野は外交だが、議員立法で犯罪被害者を支援する基本法を成立させるなど、関心を持つテーマは幅広い。日本舞踊の名取でもある。
★官房長官に与謝野馨氏
官房長官に就任した与謝野馨氏（６９）は昨年１０月、いん頭がんで療養生活に入り、今年１月まで入院。４月に政界復帰を果たした。２７日の新閣僚会見では「十分療養を重ねたので、官房長官の職に耐えられるものと確信している」と職務遂行上、問題はないことを強調した。
文相や通産相を歴任。小泉政権では党政調会長や経済財政担当相として郵政民営化など難題をとりまとめた。幅広い分野に精通した政策能力を買われ、内閣の要として入閣した。歌人の与謝野鉄幹、晶子夫妻の孫。ゴルフやカメラ、囲碁、天体観測、釣り、パソコンと趣味は多彩。衆院当選９回。無派閥。
記念写真に納まる安倍晋三首相と新閣僚らだが、硬い表情が目立つ！？＝２７日夜、首相官邸
★平均６０．４歳…ちょ〜っと若返った
安倍改造内閣の顔触れを分析すると−。
【年齢】
平均年齢は６０．４歳と昨年９月の安倍内閣発足時の６０．９歳からわずかに若返った。最年少は岸田文雄沖縄北方担当相５０歳、最年長は留任した冬柴鉄三国土交通相７１歳。
前回１１人いた初入閣組は７人で、上川陽子少子化担当相は当選３回で閣僚の座を射止めた。
【派閥】
首相の出身派閥である町村派からの入閣は会長の町村信孝外相１人で、４人だった前内閣から３人減。挙党態勢の確立を優先し、党内最大勢力の町村派からの起用を抑えた格好だ。一方、会長の麻生太郎氏が党幹事長に就いた麻生派と、首相に距離を置く谷垣派からの入閣はゼロだった。
【経歴】
中央官僚出身は運輸省出身の泉信也国家公安委員長ら４人。大学の研究者出身は留任の大田経済財政担当相に、東大助教授だった舛添要一厚生労働相が加わった。冬柴国交相と高村防衛相は弁護士、鴨下一郎環境相は医師の資格を持つ。
★“改造”効果なく短命内閣のケースも
参院選での歴史的大敗後、安倍首相が“起死回生”で断行した内閣改造だが、過去には期待された成果が得られず、退陣に追い込まれたケースもある。
昭和４９年７月の参院選で敗北した田中角栄首相は、国会で金脈問題の追及を受け、同１１月、内閣改造に踏み切った。しかし批判はやまず、改造からわずか１５日で退陣表明。リクルート事件で支持率が１０％を切った竹下登首相も６３年１２月に内閣改造を断行したが、閣僚への同社からの献金が発覚し、改造から４カ月後に退陣した。
また、平成１２年１２月、森喜朗首相は宮沢喜一、橋本龍太郎の両元首相を起用する重厚な布陣を敷いたが、支持率は数ポイントしか上昇せず。安倍改造内閣も重厚布陣だが、その“審判”はいかに！？
★丸山議員は猛批判…命名「ダメもと内閣」
自民党の丸山和也参院議員（６１）は２７日、東京・赤坂の事務所で取材に応じ、改造人事について「お友達内閣の拡大版。スケールの大きい内閣という気はしない」と厳しく批判した。
参院選時から「気合の入った改造人事を」と注文をつけていた丸山氏。「持ち駒で使えそうなヤツは全部使うという感じ」と印象を述べ、採点を求められると「６０点」とした。「『お願い！もう一度やらせて内閣』か『ダメもと内閣』だ」と丸山流の命名も。
「もっと民間人を入れた方がよかった。安倍さんは視野が狭いし、感度が悪い」と得意の苦言がさく裂。舛添厚労相起用については「大変な部署だが、一番ライトが当たる花形部署でもある。彼がどうやって問題を処理するか注目している」と期待を寄せた。
★森元首相も不満「お友達」残った
自民党の森喜朗元首相（７０）は２７日午後、神戸市内で講演し、安倍改造内閣、自民党役員人事について、渡辺喜美行革担当相（５５）の留任と石原伸晃氏（５０）の政調会長起用を挙げ「『お友達』内閣の年長さんから年中さんが残ってる」との不満を示した。
特に石原氏について「政調会長には地方の夢を描く視点がほしい。官房長官が東京の与謝野馨氏なら（政調会長には）ど田舎の人をと思っていた」と強調した。
★福島社民党党首「内閣はＰＴＡ」
野党は２７日、内閣改造・自民党役員人事に対し「党三役は『お友達』、内閣は『ＰＴＡ』だ。派閥ボス尊重で、国民にとっての人心一新になっていない」（福島瑞穂社民党党首）などと批判、秋の臨時国会で攻勢を強める構えだ。
民主党の鳩山由紀夫幹事長（６０）は改造内閣に関し記者団に「厳しい国民の批判を受けた参院選の反省をしっかりしたとは思えない。（首相は）人事を一新すると言ったがそうも見えない」とバッサリ。ただ、主要閣僚に経験豊富な実力者が配されているだけに「戦いやすいとは必ずしも思っていない」と警戒もしていた。
★川田龍平議員が舛添厚労相にさっそく注文！
参院東京選挙区で当選した川田龍平議員（３１）＝無所属＝が、舛添厚労相にさっそく“注文”をつけた。
東京ＨＩＶ訴訟元原告の川田氏は「薬害問題、肝炎問題についてしっかり取り組んでもらいたい。医療制度改革、社会保障が米国型に移行していく改革の中身をぜひ、見直してほしい」。舛添厚労相は「テレビでは見ている」程度だといい、今後については「今まで接点はなかったので、積極的に働きかけていきたい」と語った。
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