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(回答先: マイケルムーア「シッコ(SICKO)」(サイコ(狂気)な米国医療)はすごい!必見!!! 投稿者 国際評論家小野寺光一 日時 2007 年 8 月 27 日 07:18:16)
日本での医療崩壊を食い止める処方は
医療費をGDPの10%以上に増額。
医学部定員を50%増。
海外からも医師を招いて、医師数を2倍に増員。
それに見合う医療職の増員。
医師など医療職の労働条件の正常化。労働基準法の遵守。
皆保険制度維持。
診療報酬体系の抜本的改善。報酬決定および支払審査の透明化。
無駄に乱受診させない患者さん教育。小中学校での医療教育の改善。
などでしょうか。
映画を見て、週80時間労働を強要される日本の勤務医とは異なり、イギリスもフランスも勤務医の労働条件が良いのに驚きます。しかも所得はほぼ日本の2倍。
サッチャーの時代に起きた医療崩壊は、日本では、医師の間でこそ有名ですが、一般にはあまり知れ渡ってはいません。当時の英国は、低医療費政策、マスコミの医師叩き、過酷な勤務、患者からの暴力、他国より低い給与、医師の燃え尽き、現場からの逃散、まるで現在の日本と酷似した状況だったようです。
------医師が国政を目指す。から抜粋-------------
http://blog.m3.com/Dotherightthing/20070814/2
”目に見えない”いのち・生活への責任は”重い”か?
さて、英国でのプライマリケアはGPと呼ばれるプライマリケアの専門医によってほぼ独占的に提供されていますが、最新のBMJに”ため息”から始まるぼやきが掲載されていました。
BMJ 2007;335:306 (11 August), doi:10.1136/bmj.39300.420116.59
Views & reviews From the frontline
Des Spence, general practitioner, Glasgow
I sighed. Glasgow's tower blocks, heavy skies, and the sprawling postwar housing schemes that aimed to offer a better life than did the inner city slums disappeared in my rear view mirror. We headed for a better life in rural Suffolk, where I had taken up a GP partnership. The move from the electoral wards with the shortest life spans in Britain to those with the longest was just an eight hour drive. All my training, however, had not prepared me for the reality of general practice.
Fifty consultations every day, five house calls at lunchtime, call-outs in the midst of surgery, 7 pm finishes, Saturday morning surgeries that ran till 3 pm. But I considered myself lucky, for the fledgling out of hours cooperatives had freed us from the 24 hour commitment that had crushed previous generations. I struggled, suffering near constant chest pain induced by stress. This was . . .
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1日50人の外来診療に、昼休みの5件の訪問診療、外来診療中も患者からの電話を受け、7時にようやく診療時間を終える。これに24時間患者の相談・対応を受けていた結果が、1990年代のGPの”大いなる憂鬱”だったというのだ。もちろんその領域への新規医師志願者は激減。口々に診療所の倒産の話が上り、口を開けば”燃え尽きたよなあ”が出てくる始末。
その後、英国ではGPの診療に対して財政的、契約的なてこ入れがおこなわれ、報酬の増額や時間外対応の選択制など施策の結果、人気も回復、今やGPブームがきているというのだ。するとさあ、そろそろいいでしょうと言わんばかりに政府はGPの診療時間の延長や週末診療を求めるという方針。さてこれが元の木阿弥になるのは必至。筆者は"What goes around comes around."と締めくくっている。
現場の医師がこゝろを砕いて診療している一方で、政府の表面的なかつ気まぐれでころころ変わる政策に振り回されている様子に共感できる。また、プライマリケアに関して言うと日本と英国では「公的財政、私的供給(医者によるに限る)」という共通のシステムを持ち、さまざまな点で共通した状況だということが分かる。
読んでいて、地域の診療所での外来と24時間対応の”しんどさ”が過小評価されていると感じた。特に少人数で地域を担当している場合、プライマリケア医には個々の患者の疾患管理や予防・検診、家族のことやライフステージ上の変化への対応などで、単純な診療だけで仕事が終わる訳ではなく、それ以上の時間と心理的・身体的拘束を必要とすることが理解されていないのだ。
当たり前か、数字などにはあらわれないし、明らかに観察できなければ評価できないか。政策におもいやりはない。このように人的資源を機械のように入れ替えするマネジメントは、まるで産業革命時代のようだ。産業革命は技術的イノベーションがあったから成功したのであって、マネジメント方法としては三流だと言わざるおえない。
----ここまで------------------------------------
ブレアは最初の年に医療費を150%に増加させました。GDPの10%を目標にしたのですが、最後の実績は3倍増でした。医学部定員も50%増加させ、旧英連邦以外の国からも医師を集めるため、労働条件の改善と給与の増額を同時に行いました。その結果、イラクからすら、約1500人の医師が英国に来たほどです。3年間で14万人ほど医師数が増加しています。その結果様々の問題も起きていますが、アメリカ医療の異常さに比べれば可愛いものです。
------医師が国政を目指す。から抜粋-------------
http://blog.m3.com/Dotherightthing/20070811/1
他の医師の質を問うのは、自己への問いか?
さて、全国の医師の約46%が外国で研修を受けた医師である英国ですが、 外国人医師の質について政府が調査を始めるようです。
From The Times, August 10, 2007
Foreign doctors face competence inquiry
David Rose
Britain’s medical regulator has launched a major inquiry into the competence of foreign doctors after it emerged that they are now twice as likely to face disciplinary hearings as UK medical graduates.
Figures seen by The Times also reveal that triple the number of doctors who trained abroad were struck off the UK medical register last year compared with 2005.…
ーーーーー
医師の診療資格・登録を管理するthe General Medical Councilによると、年間5000件以上の医師・診療に関する調査が行われ、うち303件が診療停止にまで発展し、54人のドクターが除名されているが、その中に外国人医師が占める割合が、英国人医師の3倍にも及ぶという。先のロンドン・グラスゴーでの車爆弾テロ実行犯が外国人医師であったことから、外国人医師に対する警戒・注目が集まっていることに加え、EU域内からの医師に対して医師としての資質のチェックが欠けているという管理の杜撰さ(英会話能力のチェックもなし:例:英語片言のフランス人医師が救急車に同乗したが話が通じず、搬送・治療が遅れたという報道も最近ありました)も露呈し、その資質チェックの必要性ありとなったようだ。
これはかなり興味深い。医師の資質の調査方法は、その国の考える”医師の資質Competence”を反映していると考えるからだ。医師たちの持つ知識や技術・姿勢態度を英国医師会が示す"Good Medical Practice"に照らして、どう明らかにしていくのか。同時に、調査するからには比較対象が必要で、英国人医師の資質も調査されるのではないかなあ、と期待している。この辺りで英国医師の実力も白日の下にさらされることにはならないか(実際英国の各専門医学会は、診療資格となる専門医の資格更新を定期的に課しているのでいるのでそれを使う可能性もありますが…)…。
また、仮説として、調査結果で英国人と外国人医師とで臨床能力にも差がないとなったときに、くっきりと”差別”の問題が浮き上がってくるのではないか?とも考える。言葉がインドなまり、東欧なまりだったとき、肌の色が有色だった時によりクレームが多くなっているのではないかと訝る(JMMのライターも医師の「訛りの強い英語はつらい」ともらしている)。
さて、日本人医師の公式な質評価は全医師統一の知識試験:医師国家試験のみですが、さあ皆で質の調査をしますよ!となると横やり必死。誰がするか、どんな内容か、調査法が気に食わない、聞いてないなどなど…。最後の聖域かもしれませんね…。人のことも言わないから、自分のこともほっといて…。
追伸:一方で日本の”質を問わない状況”は、医師への大きな”信頼” のあらわれであることを肝に銘じないといけません。医師はできる限りの最新の質の高い医療を提供してくれるのだ、という信頼です。もし、これができないというのであれば、医師”外”からの規制を甘んじて受けなければならないかもしれません。
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