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H19/08/21
今回の選挙で参議院議員に当選した佐藤正久・元一等陸佐の発言が物議を醸している。
氏は、イラク復興支援隊の初代隊長当時、「(自衛隊を警護してくれていたオランダ軍が攻撃を受けたら)『情報収集』の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」つもりでいたと述べたそうである。さらに、「(こちらから)巻き込まれない限りは(武器使用が可能な)正当防衛、緊急避難の状況はつくれない」「(人間として)普通に考えて手を差し伸べるべきだという時は(駆けつけ警備に)行ったと思う」「(その結果として)日本の法律(違反)で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと(思った)」と話したとのことである。
立派な男気(おとこぎ)である。だから、この発言と姿勢を人間として批判するのは難しそうである。しかし、他面で、この発言者はいわゆる確信犯(つまり、自らの信念に基づき決行する犯罪者)である。
日本国は、かつての大戦を反省して、憲法九条一項で(侵略)戦争を放棄し、同二項で戦力と交戦権を自らに禁じた。その結果、政府の公式解釈として、海外で自ら武力行使をしたり他国による武力行使と一体化することを自衛隊に禁じている。唯一例外的に武器使用が許されるのは自衛隊が外敵から襲われた場合に自らを正当防衛する場合だけである。
にもかかわらず、佐藤隊長(当時)は、自衛隊が襲われていなくても、友軍が襲われたら、そこへ駆けつけて巻き込まれて、まず自ら志願して「被害者に」なってから友軍と一緒に武力行使する…と覚悟していたそうである。
これは、男・佐藤の武士道としては正しいかもしれないが、その結果、海外でわが国の部隊が憲法と政府の方針に反して勝手に戦争を始め(少なくとも「戦争に参加」し)てしまうことになる。それは、国際社会で、「日の丸」が他国を公式に敵に回すことである。しかし、そんな大権が派遣された自衛隊の「大隊長」(?)に与えられているはずはない。
仮にそれが実態において不都合な内容のものであったとしても、憲法以下の法令は、それが改廃されない限り公務員にはそれを順守する義務がある。それが、法の支配、法治主義、シビリアン・コントロール(文民統制)であり、民主主義というものである。
いま、私たち国民の判断力が問われている。(慶大教授・弁護士)
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