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http://ch10405.kitaguni.tv/e413453.html
今さらな感じもしますが、佐藤正久議員の「駆けつけ警護」発言について、少し考えたことを書いてみます。
佐藤正久議員は、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官を務め、「ヒゲの隊長」の名で知られる(私は知らなかった)人物。7月の参院選では自民党から出馬して当選した。佐藤議員の当選をめぐっては、自衛隊が組織ぐるみで公職選挙法違反をしていた疑惑があったり、内部告発をしていた元自衛隊員のブログがいつのまにか消されていたり(管理人はどこへ?)と、いろいろな話題があるけれど、それはここでは置いておく。
http://alcyone.seesaa.net/article/47765343.html
問題の「駆けつけ警護」発言は、佐藤議員が8月10日にTBSのニュースで述べたもの。動画はTBSからもYouTubeからも削除されてしまったので、以下にTBSのニュースを引用する。
---引用ここから---
「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News:動画あり、2007.8.10)
集団的自衛権に関する政府の有識者会合はPKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」を認めるべきだ、という意見で一致しました。
PKO活動の際の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合に限られていますが、10日の会議では国連の集団安全保障の問題としてとらえるべきだとする意見で一致しました。
その上で、正当防衛を超えるとして憲法違反とされるいわゆる「駆けつけ警護」は認めるべきだとする意見が相次ぎました。これは、味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するものです。
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
懇談会は11月までに集団的自衛権の行使を容認する提言をとりまとめると見られます。しかし、公明党が反対している上、参院選の惨敗で安倍総理の求心力が低下しており、報告書は棚上げせざるを得ないという見方が強まっています。
---引用ここまで---
この「駆けつけ警護」発言については、市民団体が記者会見を行ったり公開質問状を送付したりしたことで、ようやくメディアに取り上げられ始め、「駆けつけ警護」が自衛隊全体の方針だったという内部資料まで出てきた。
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/25e6188efe1cbe2295a38f8c902b107d
で、ここからが本題。では、佐藤議員の発言は自衛隊の暴走を暴露する個人的な失言なのだろうか?私はそうは思わない。佐藤議員は当選後、自分のブログにこんな文章を書いている。
---引用ここから---
事務所開きの際、そして当選後、ダルマの目入れを行いました。
目の不自由な方への配慮が足らなかったと反省しております。無知の事とはいえ、お詫び申し上げます。
目を入れたり入れなかったりでは、目の不自由な方に失礼です。
配慮が足りませんでした。申し訳ありません。
今後とも、「現場」や「国民の目線」を大事にして行く思いは変わりありません。ご指摘があれば、素直に受け止めます。
重ねて、目の不自由な方、そしてご家族の方々にお詫び申し上げます。
http://www.mii.jp/blog/biz/index.php?itemid=2509&catid=186
---引用ここまで---
最初に読んだときには感動的なまでにブラックなセンスだと思ったが、どうやら他の文章を読む限り本人にはまったく悪気はないらしい。それにしても、「目を入れたり入れなかったりでは、目の不自由な方に失礼」と書きつつ、その二行後に「国民の目線」って、悪気がないとすればアタマ弱すぎないか?
というわけで、自衛隊という閉鎖的な階級社会で出世するための必須条件は、主体的に物事を考える知性ではなく、権力関係の中で自分に与えられた役割をこなす適応力だと思う。何が言いたいかというと、佐藤議員が自衛隊を批判の的にしかねない発言をしたのは、彼自身がより強い権力に守られているという確信を得ているからではないか、ということだ。はっきり言ってしまうと、彼の「駆けつけ警護」発言は、集団的自衛権に関する政府の有識者会合(自民党+財界)の見解を先取りしたものであり、自民党+財界の改憲派が直接的であれ間接的であれ、彼の発言にゴーサインを与えた可能性がある。つまり、佐藤議員は、自分がマスメディアの場で派手に炎上することはないと踏んで、確信犯的に「駆けつけ警護」発言をしたのではないだろうか。
一方、彼に「駆けつけ警護」発言をさせた側の意図を考えてみます。私に思いつく理由はこんな感じでしょうか。
(1) 民主党対策
「駆けつけ警護」で問題となる集団的自衛権は、民主党を解体するパスワードのようなものだと言ってよい。佐藤議員の発言を国会で効果的に追及するためには、最大野党である民主党の協力が欠かせないが、この問題を内部で話し合うだけでも民主党の結束が弱まる可能性は高い。佐藤議員を国会で追及するにせよ、追及しないにせよ、民主党で不毛な討論と対立が避けられないとすれば、その間、与党は時間稼ぎをしつつ民主党を弱体化させることができる。
共産党や社民党は単独でもこの問題を追及するだろうが、憲法9条の念仏を唱えているような弱小政党の言い分など、メディアも大きくは扱わないし、民主党が乗ってこなければ、その後の野党協力もうまくいかなくなるだろう、という公算だ。もしも、野党が一致して佐藤議員に辞職を要求するような事態になっても、最悪、佐藤議員一人を炎上させて終了。自衛隊ぐるみの選挙の強さはすでに証明されているので、衆院選で別の人物を立てればよい、というわけ。
(2) 観測気球
集団的自衛権について見解が分かれるのは、自民党と公明党の関係でも同様。そこで、佐藤議員の発言をお盆休み中に地味に報道させて、「集団的自衛権に反対している庶民なんてほとんどいませんよ」と、公明党を説得する材料にしたり。
(3) 自衛隊・情報保全隊の雇用対策
とりあえず、Googleで「駆けつけ警護」を検索すると、監視対象がリストアップされる、とか。はてなブックマークも便利。
http://b.hatena.ne.jp/tmobile?tag=%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A
(4) その他
その他にも、安倍首相と仲良しグループ(集団的自衛権に関する政府の有識者会合)の冴えない連中が焦って解釈改憲の地ならしをしようとしている、というのもあり。それにしても、どれもこれも、せこい理由ばかりである(単に私の発想がせこいだけかもしれないが)。
とりあえず、「駆けつけ警護」発言については、そんなところでしょうか。もう一つ別に、なぜ当時の陸上自衛隊が「駆けつけ警護」をしなかったか(あるいは、できなかったか、または、する必要がなかったか)という問題もあると思うので、気が向いたらまたエントリーを作ります。
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