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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/touronseidan/news/20070917ddm007030174000c.html
「もし、レームダック(死に体)サミットがあるとしたら、まさに今年のAPECがそうだったろう」。9月上旬、シドニーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議について米メディアがうまい例えをしていた。
残り任期が限られたブッシュ米大統領、参院選に敗退したばかりの安倍晋三首相、年内に総選挙が控えるハワード豪首相がその代表格。安倍首相が唱えていた「価値観外交」の一環として実現した3カ国首脳会談がインパクトを欠いたのも無理はない。
安倍首相はAPEC後に政権を放り出したが、次にクビが危ないと思われているのがハワード氏だ。与党・自由党の支持率は野党・労働党に大きく引き離されており、このままでは政権交代は必至とみられている。
01年9月の米同時多発テロ後のアフガン、イラク戦争を支持し、ブッシュ大統領が盟友として頼りにしてきたのがブレア英前首相、小泉純一郎前首相と共にハワード氏だった。しかし、今や対米一辺倒の政策は評判が悪い。対抗馬のラッド労働党党首は豪州軍の段階的撤退を主張している。
イラク戦争の泥沼化でブッシュ大統領自身が明確な幕引き戦略を描けず、苦しんでいる。13日には国民向け演説で増派戦略の成功を強調し、米軍の段階的削減を発表したが、野党・民主党は「米国民はとっくに大統領の指導力に信頼を失っている」(ペロシ下院議長)と批判する。世界的な求心力の低下も当然だろう。
APEC直前、ブッシュ政権で国務副長官を務めたアーミテージ氏が豪紙のインタビューで米国の外交政策を「5歳の子供のサッカー」に例えた。世界というフィールド全体をカバーせず、誰もが同時に中東というボールだけを追いかけているという意味だ。
安倍政権下で日米関係は微妙にきしみはじめた。米政府が北朝鮮のテロ支援国家指定解除で拉致問題を必ずしも前提としない姿勢を示し、日本側に疑心暗鬼が高まったのが一例だが、米側に対日配慮の余裕がなくなっているように感じた。
01年から06年の小泉政権下の日米関係は「戦後最良」といわれた。しかし、小泉−ブッシュ両氏の個人的関係や対テロ戦争での米国の求心力の高まりを背景とした特殊な側面があったことは否定できない。
米政府が強く延長を求めるテロ特措法にしても、成立した01年10月は同時多発テロ直後でブッシュ、小泉両氏ともに空前の支持率を記録していた。国民レベルで論議を深める前に一気呵成(かせい)に成立した印象がある。
安倍氏は就任直後の中韓訪問で小泉外交の後遺症修復に動いたが、本来、日米関係も調整の必要があったのではないか。同盟関係といっても自動的に与えられるものではない。
次期首相に誰がなろうと小泉−ブッシュ関係の再現は無理だ。来年は米大統領選もある。それを前提とした日米関係の点検、再強化策の検討が必要な時期に来ていると思う。<ワシントン・坂東賢治>
毎日新聞 2007年9月17日 東京朝刊
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