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興味も関心もないといっても、自民党の新総裁選びについては論じなければならないであろう。3連休ということもあったので、昨日はフジテレビの『報道2001』とNHKの『日曜討論』で“一騎打ち”といわれている福田氏と麻生氏のお話を聞いてみた。また午後には党本部で行われた「立会演説会」なるものをNHKで放映していたので、全部聞いてみた。猿芝居も一応は“芝居”ではある。芝居であるから多少の面白さがあった。
麻生派を除く全派閥が支援しているという福田康夫候補だが、そのあまりの酷さに自民党の福田支持を決めた国会議員は“しまった”と思っているのではないだろうか。私は福田康夫氏とはほとんど付合いがなかった。ただ一度だけ多少関係したとしたことがあるとすれば、平成10年の参議院選挙で惨敗し、橋本首相が退陣した後に行われた総裁選挙で小泉純一郎氏を私が支持したとき、清話会の幹部として食事を一度ご馳走になったことがあるくらいである。もう十年前になるが、福田氏は当時から飄々としていた。
彼も衆議院選挙に出ているのだから、演説くらいはそれなりにできる。しかし、衆議院選挙に立候補して演説する内容と自民党総裁選挙で演説しなければならない内容は自ずと異なる。小泉内閣で長い間官房長官をしたのだから、最低限の演説はできるものと推薦を決めた人たちは思っていたのだろう。しかし、実際にその立候補演説を聞いてみて“あじゃー”と思ったのではないだろうか。いくらなんでも酷すぎる。これでは、お話にならない“話=演説”である。いうまでもないことだが、現在の政治戦は話=演説で行うのである。大将の演説がこれではお話にならないことは明らかであろう。
それに比べて、麻生候補の演説はそれなりに聞けるものがあった。麻生氏にとっては、確か3回目の総裁選への立候補である。○○でも3回も経験があるのだから“話”は多少はうまくなるだろう。数は少ないが麻生陣営は活気付いているであろう。しかし、麻生氏の“話=演説”も、お話にならないところがいくつかあった。まずは、安倍首相に続投をけしかけたことに対する反省の弁が一言もなかった。今回は安倍首相の唐突な辞任を受けての総裁選である。安倍首相の続投や辞任について基本的な認識を述べることが、政治的にもっとも大切なことなのである。
安倍首相に対する厳しい審判は、安倍内閣に対する審判でもあった。麻生氏は主要閣僚であった。麻生氏もその責任を取らなければならなかったのであるが、そのような認識は全くなかったから続投をけしかけ、その功あって幹事長になることができたのであろう。しかし、安倍首相の続投はやはり無理筋であった。そのため辞任せざるを得なかった。安倍丸は轟沈した。しかし、麻生氏は幹事長としてこの総裁選を仕切り、総裁候補として立候補した。本来ならば麻生氏がいちばん強い候補であっても少しもおかしくないのである。こういうことを政治の世界では“焼け太り”という。
麻生氏は古い自民党に苛められているというスタンスを強調して支持を拡大しようとしているようである。しかし、河野グループを麻生派に衣替えしてまで派閥の長にこだわる麻生氏がどうして新しい自民党などという資格があるのだろうか。新聞等が“○○派”と“○○グループ”をどう使い分けるのか、実は私は知らない。新しい自民党といいたいのならば、ネーミングとしては麻生グループの方がまだマシだろう。もうひとつおかしいと思ったのは、ああいう演説の中で「○○屋」という特定のホテルの名前を出したことであろう。いまだに麻生氏はJC会頭のノリなのである。
立会演説会の聴衆の姿も面白かった。福田氏の演説のときは居眠りをしていた議員が多かった。眠っている場合じゃないだろうと忠言したくなった。あなた方が選ぼうとしている人物がこんな調子では、自民党は間違いなく沈没するというのに……(笑)。麻生氏の演説になるとちょっと心配そうに聞き入る議員が増えた。各議員はどちらを応援したか、いずれは支持者には説明しなければならない。さあ、どうやって説明するのか? これは意外に厄介なことになるぜよ(笑)。
麻生氏は、昔から人と話をしていて面白いと思った話を持参のメモ帖に書き留める習慣がある。麻生氏が「日本の底力」として挙げたものは、その羅列なのであろう。衰えたりといえども、わが国に底力があることなど麻生氏にいわれなくても分かっている。それは国民の努力で築き上げてきたものである。いま大切なことは、その力をどうやって維持し、成長させるかということなのである。そのことについて、麻生氏は一言も言及がなかった。これでは総理大臣候補の“話”にはならない。
以上のとおりである。今回の総裁選は、所詮は猿芝居である。しかし、猿芝居ではあっても、“芝居”には芝居としての面白さはそれなりにある。そうとでも思わなければ、これから9月23日まで退屈すぎてどうしようもないだろう(笑)。。そのよう御仁のためにいささかでも参考になれば、幸いである。そういう次第である。
それでは、また明日。
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