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2007年 09月 13日
安倍退陣が吹っ飛ばしたアジェンダ
アルルの男・ヒロシです。
安倍首相の辞任は、与謝野官房長官が明らかにしたように、急激な体調の変化だったのだろうか。累積的に積み重なる閣僚スキャンダル、「戦時レジームの転換」路線への逆風、自らの身体的疲労の蓄積、そのようなものが累積してもう持たないという判断に到ったのだろう。そして、週末に週刊誌が報じるとされていた、3兆円の脱税疑惑が決定打になったのだろう。この疑惑がどこの筋から出てきたのか非常に気になる。病気療養であれば、臨時代理に与謝野官房長官を指名することで切り抜けるはずだからだ。
安倍辞任の本当の理由はさておくとして、ここで重要なのはここ数週間の間、国会論戦の焦点がテロ特措法や年金問題になっていたということだ。すっかり忘れ去られた問題がある。それは郵政民営化法の凍結問題である。
永田町の関心がテロ特措法に集中していたとはいえ、民主党と国民新党では郵政民営化凍結法を提出するなどの動きを見せていた。平沼赳夫自民復党が取りざたされることで、その原因となった郵政民営化に再びわずかではあるが注目が集まっていた。
ところが、テロ特措法を巡る新法問題、表向きテロ特措法の審議が深まらないことを理由に辞任を表明した安倍首相のサプライズが原因で、政局は一気に流動化、総裁選を行うこととなり、次期首相と目される、麻生太郎か福田康夫が就任して所信表明を行う頃には郵政民営化が行われる10月1日を迎えてしまっているだろう。これで郵政民営化凍結の動きは完全に腰砕けになることになる。
したがって、ウォール街と国際金融市場は、安倍首相の退陣には動揺していない。安倍辞任の同じ日に起きたインドネシアの地震の方が国際ニュースになっているのだ。
インド洋での給油活動は日本が必要とされていた分野だが他の国が代替不可能なオペレーションではない。しかし、郵政民営化が凍結されるとなると話は違う。国際金融市場が見こんでいた資金の流れが寸止まりになってしまうからだ。アメリカは住宅バブルの崩壊、中国の米国債売りなどの影響を考慮し、一層のドルの買い支え資金を必要とする。そのための郵政民営化だったのだから、シナリオの変更は絶対にあってはならない。そのようにウォール街は考えているはずだ。
郵政民営化は、国内だけで流れていた財投資金をより利回りの良い投資に回すという名目で、米国債投資に回すという政策である。日本での投資の非効率性(不要なダムの建設)という問題があるにせよ、少なくとも郵政資金は財投として国内を循環していた。しかし、その資金の流れを変えるのが郵政民営化で、簡保資金、郵貯資金はアメリカに向かって流れ出すだろうといわれている。
国家官僚にアイデアがあれば、ドバイや中国やロシアで設立されている「国家ファンド(SWF)」の設立に郵政民営化を改組するという奇策もあり得た。政策投資銀行と郵貯銀行を合併させることで、米国債だけに依存しない、多様化した投資形態を探るという自立的な投資戦略の立案という救国の戦略は理論的にはあり得る。しかし、国家ファンド設立の原資を得るために米国債を売った中国のようには日本の政治家、官僚は動かない。
安倍首相の突如の退陣表明から生まれた政局流動化は、むろん意図されてそうなったわけではないだろうが、郵政というワードが完全に国民世論から消える、という効果を生んだのであるまいか。
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