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「2007.9.12(その2)
森田実の言わねばならぬ[550]
〈一隅を照らした日本人の記録〉
熊本の親子鷹――荒木豊雄・隆夫二代の不撓不屈の人生
続・荒木隆夫の人生(その10)[渡邉良明]
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「日本型資本主義」を再建しよう!
戦後の日本経済を発展させた要因には、さまざまなものがある。国民の勤勉さ、質が高くて豊かな労働力、高い貯蓄率、優れた技術力、国民の集団的な力、広い世界市場(かつてのアメリカ、今の中国)など、いろいろな要因が考えられよう。
だが、その思想的な基盤として「日本型資本主義」というものがあったのではないだろうか。つまり、従業員第一主義、終身雇用制、年功序列、家族主義、系列主義など、さまざまな長所や利点があった。 かつて、松下幸之助(1894〜1989)が、家電界の雄として日本のために尽くした。彼について次のようなエピソードが残っている。彼が社長時代、ある時、社員がたいへんいいアイデアを思いついた。すると、松下は、こう訊ねたという。まず「それは、消費者のためになるか?」と。すると、その社員は答えた。「ハイ」と。次に、松下は聞いた。「それは、社員(=従業員)のためになるか?」と。社員は答えた。「勿論です」と。そして最後に、松下は尋ねた。「それは、儲かりまっか?」と。社員は自信をもって答えた。「ハイ!」と。すると、松下は言った。「そんなら、やってみなはれ」と。
私は、この松下の精神こそが「日本型資本主義」の原点だと考える。だが、現代の経済活動は、まず何よりも“利潤優先”である。それも、最小の努力で最大の利益や効果を求めようとする。だが、本来の「日本型資本主義」は単なる利潤追求ではなく、まず「倹約・正直」を旨とした。この思想は、とくに江戸時代、石田梅岩の「心学」に顕著だ。
無論、物事には光と影の両面がある。それゆえ、その長所だけを云々することはできないとは思う。だが、この日本独自の資本主義のあり方が戦後の経済発展に寄与し、日本社会の安定化に貢献した事実も忘れてはならないと思うのだ。荒木隆夫もそのことをたいへん強く認識している。
すべて、アメリカが悪いとは思わない。だが、日本が何もかも自己否定して、いたずらにアメリカのやり方を受容することは決してわが国のためにはならない。日本型資本主義が「従業員第一主義」であるのに対して、アングロ・サクソンやユダヤ系財閥によるアメリカ型資本主義はあくまで「株主第一主義」である。大株主が会社の株の過半数を握っている場合、その大株主の電話一本で社長の首が飛ぶのが、アメリカ企業の現実である。
現在、アメリカに上場しているSONYやHITACHIでも、アメリカに居ながら、株主総会で気にいらない社長は首にできる。オリックスの宮内会長などはアメリカのパシリ(使いっ走り)をしているようなものだ。竹中平蔵氏もそうである。彼は20回近くもアメリカの高官(ちとえばゼーリック)と打ち合わせをやって、アメリカ財界の思惑どおり、「郵政法案」を可決させてしまった。
TOYOTAをはじめ大企業が高収益を上げているというが、それは大規模なリストラの賜物ではないか。下請けや孫請けの犠牲で巨額の利潤をあげているというのが実態だ。今後、アメリカ流の「時価会計」や「三角合併」で、ますますアメリカによる企業買収がやりやすくなる。
それが見事に実現したのがお隣りの韓国である。韓国では現在、若者の失業率が高まり、さまざまな「格差」が拡大している。これは今日の日本の姿でもある。つまり、現在叫ばれている(小泉・安倍)「改革」とは単なる“アメリカ化”のことである。それは、国内の不平等の助長、格差の拡大、それに多くの国民の“貧民化”を意味する。その大きな原因となるのが「アメリカ型資本主義の行き過ぎと弊害」である。
その点で、荒木は、今から15年前の榊原英資氏の講演内容を思い出す。榊原はその講演で、日本の官民が一体となって「日本型資本主義」をアジア諸国に“輸出”して諸国の国づくりを支援し、それによって諸国に日本の“国家としての信頼”を得たらよい、と説いた。裏を返せば、単にアメリカ型資本主義を導入するだけではアジア諸国から軽く見られるだけだ、と言うのだ。
当時、ウズベキスタンのカリモフ大統領が榊原(当時は大蔵省国際金融局次長)に、「日本型資本主義でやっていきたい」と語ったという。中央アジアに位置する同国は、北にカザフスタン、南にトルクメニスタンとアフガニスタン、東にタジキスタンやキルギスと接する親日的な国家だ。
実は、その他、「日本型資本主義」に注目していたのは、かつてマレーシアのマハティールがそうであったし、現在でも、あの社会主義国ベトナムや中国でも同様に注目しているのだ。カリモフ大統領に言わせれば、隣国のカザフスタンやタジキスタンはアメリカ型資本主義のせいで滅茶苦茶になった。それゆえ、どうしても漸進主義的な「日本型資本主義」でやって行きたい、とのことだった。
前述したごとく、日本型資本主義は、「従業員中心主義」で諸問題を解決する。とくに、金融機関のバックアップ(=持ち合い)で、今までは、強力な外国資本といえどもなかなか買収され難かった。その意味では、日本型資本主義は「混合経済型」だった。平たく言えば、それは、「民本主義(=民主的)」だと考えられる。そのあり方が、アジアでは評価が高いのだ。この日本型資本主義の良さに最も注目していたのが、マハティールである。遅ればせながら、今後の日本は、このマハティールの開明性や先見性を学ぶべきなのではあるまいか。
荒木隆夫は、地方の中小企業や小売業こそ守らなければならないとする。その眼目にある願いは、“日本型資本主義の再建”だと思う。今の日本は、昭和初期を彷彿とさせるような厳しい実態がある。彼が28歳の時、初めて見たニューヨークの光と影。その影の部分の貧困と社会のスラム化。
これは今の東京においても見られる。隅田川沿いだけでなく、明治神宮内でさえ見られるようになったブルーテント。それに3万人を超える自殺者。周囲を見渡しても、ファースト・フードやディスカウント・ショップなど、どんどんアメリカ型になる。(小泉・安倍による)「改革」とは、一体何のための改革だったのだろうか?
ブルーテントや3万人の自殺者に代表される日本の惨状は、「日本型資本主義」の“一時的敗北”とも言える。では、その再建は不可能なのだろうか?
私はそうは思わない。道徳の再建、家庭や地域の復興、雇用の充実や拡大など、さまざまな分野で、みんなが知恵を出し合えば、きっと何らかの解決の手立てがあるはずだ。そのためには、いたずらにアメリカ流の真似をするのではなく、日本型資本主義の良さを再認識すべきではあるまいか。
荒木は、次のように訴えているように思う。つまり、「日本型資本主義」を再建しよう!と。
その意味で、荒木は、小沢民主党代表が「終身雇用制」を主張していることに注目する。小沢代表は、誰よりも強く「日本型資本主義」の重要性を実感しているのではないかと思う。日本は、まだまだ捨てたものではないと思うのだ。(つづく)【荒木隆夫講演「戦後60年・日本社会を考える――地方切り捨てと貧富の差拡大」H18.4.14 フォーラム21、参照】」
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03668.HTML
この森田氏のコメントでは、「構造改革」の行き着く先として韓国が挙げられていますが、同じように「構造改革」の例としてよく韓国を引き合いに出しているのが竹中元総務相です。ただし竹中氏の場合は、韓国を「構造改革の成功例」としているのですが。
関連
韓国式処理は危険〜米に乗っ取られる!!(株ZAKZAK2002/10/17)
http://www.asyura2.com/2002/hasan15/msg/678.html
投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 10 月 17 日 15:41:16:
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http://www.asyura2.com/07/senkyo41/msg/794.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2007 年 9 月 08 日 14:12:27: 4sIKljvd9SgGs
“家”手放せぬ河川敷生活者 「生活か命かの選択」【東京新聞】
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/140.html
投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 9 月 08 日 08:35:40: sypgvaaYz82Hc
竹中平蔵のオフィスアワー-格差論争「弱者を人質にするな」(日経ネットプラス)
http://www.asyura2.com/07/senkyo41/msg/689.html
投稿者 JAXVN 日時 2007 年 9 月 06 日 10:00:50: fSuEJ1ZfVg3Og
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