★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK40 > 916.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□「小泉新党」結成シナリオ [AERA]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070820-01-0101.html
2007年8月20日
「小泉新党」結成シナリオ
ご本人の張り切りようとは対照的に、
安倍首相がピンチなのは衆目の一致するところ。
そこで出てくるのがこの方の名前だ。
依然として全国津々浦々で国民的大人気。
今にして思えば、政権が長続きしたのも、
裏であの男が支えたからなのだった。
「いやあ、私ここに小学校の途中まで通ったんですよ。懐かしいなあ」
聴衆がどっとわく。
7月27日、参院選投票日の2日前。小泉純一郎前首相は、横浜市内の小学校の体育館にいた。
神奈川選挙区の自民党候補、小林温氏の応援に入ったのだ。
小林氏は当初楽勝とみられていたが、定数3のところに公明の現職、さらに民主が2人を擁立して厳しい状況が伝えられていた。
会場には650人が詰めかけ、超満員。入りきれなかった数百人が外でスピーカーに耳をすます。
小泉前首相は今回の選挙戦で、全国から応援にひっぱりだこだった。安倍晋三首相と人気を比較されないよう、街頭での演説はほとんどしなかったが、どこの会場でも入りきれないほどの聴衆を集め、人気健在を見せつけた。来なくていい、と拒否された選挙区もあった安倍首相とは対照的だった。
前原―永田にダブる
さて、その首相。
〈こんにちは、安倍晋三です〉
小泉内閣に引き続き、毎週1回、配信される安倍内閣のメールマガジン。
〈先週号のメルマガでお伝えした、私の改革への決意に対して、力強い応援メールをたくさんいただき、御礼を申し上げたいと思いますが、この決意は、今でもまったくゆらいでいません〉
このメッセージがまさに力強く高らかにうたいあげられたのは、内閣発足直後でも、高支持率を誇っていたときでもない。
自民党が歴史的大敗を喫したこの参院選の4日後に届けられたものなのだ。
投開票日、勝利の赤いバラがまばらなボードの前で、
「私の国づくりはまだスタートしたばかり」
と、どこか泳いだ目で語ったセリフにも驚かされたし、その翌日の記者会見で、内閣の基本路線が国民に理解されている、という首相の主張の根拠を聞かれて、
「各地域で演説をしていて、聴衆の皆様の反応でそう感じました」
と応じたやりとりには、「選挙結果よりも街頭演説の手ごたえを重視するのか?」と突っ込みを入れたくもなった人は多いだろう。
そしてこのメルマガ。首相はさらにたたみかけるのだった。
〈改革の中身について、これまで十分に説明できず、政策論争を深めることができなかった点は、率直に認めなければなりませんが、私が進めつつある改革の方向性が、今回の結果によって否定されたとは思えないのです〉
なぜ、こうなるのか。ある政府関係者は解説する。
「私は自らの使命を果たしていきたい、と書いたこの前の号が、首相の固定客ともいうべき保守層というか右寄りの人たちから評判がよかった。それで気をよくした」
それにしても、だ。この関係者は続ける。
「首相の周辺では今、負けたのはマスコミのせい、赤城(徳彦前農水相)のせい、となっている」
この光景、いつかどこかで見たものに似ている。
そう、前原誠司前民主党代表がやめたときだ。本人には都合のいい情報しか入らず、そうこうするうちに世論はどんどん厳しくなる。赤城氏のやめ方だって、「偽メール」の永田寿康氏と似ている。最初は守ったのに、結局批判の嵐にさらされて切らざるを得なくなった――。
党内の大勢は様子見
こんな首相を、自民党の議員たちはどう見ているのか。
今回の参院選を戦った舛添要一氏は、前回同様、比例代表でトップ当選を果たしたものの、得票は3分の1以下に減らした。
党の要職にある舛添氏は選挙期間中、自民党の街宣車を自由に使える立場にありながらいっさい使わず、個人で用意した街宣車を全国に駆けめぐらせた。
「自民党の車を有権者の前に持っていったら負ける」
という危機感からだ。30分の街頭演説でも、年金政策などは最初の5分。あとはすべて、自民党を立て直すとひたすら訴え続けた。
舛添氏は言う。
「総裁選を安倍さんと争った麻生さん(太郎外相)や谷垣さん(禎一前財務相)はもっと声をあげて動くべきだ。でないと自民党にとってよくない。内閣改造だって人海戦術で総動員して身体検査をやり、電光石火でやるべきだ」
首相退陣論を真っ向から唱えるのは、石破茂元防衛庁長官だ。
「本来は政権選択選挙ではない参院選を、首相自身がわざわざ『私をとるか、小沢をとるか』と位置づけてこんな結果になった。それなのに『私には果たすべき使命があるのでやめない』と責任を回避し、答えをはぐらかすなら、一国の首相の言葉とはいったい何であり、国政選挙とは何なのか、全く説明ができなくなる」
安倍首相は「反省すべきは反省」と繰り返しているが、
「では反省すべき点は具体的に何か。落選議員の地元を行脚して彼らの意見も謙虚に聴くべきだ」
今回の選挙で圧勝した数少ない自民党公認候補者、山本一太氏が、
「退陣するのは簡単だが、引き続き政権を担って改革を進めるのはイバラの道。少年官邸団、と安倍官邸を揶揄する声があるが、古い自民党の二十面相の館に戻るよりずっとまし。それくらいなら解散して下野したほうがずっといい」
と言うように、安倍首相を積極的に擁護する声もないわけではないが、大勢は「様子見」だ。若手議員のこの声が、党内の雰囲気を表している。
「ほっといても安倍政権は倒れるかもしれないから、まあ、あえて声をあげる必要もないかなと。次の政権がどうなるか、行動を開始するのは流れを見極めてから」
ある中堅議員はこう説明する。
「人事が近いから、みんなポストがほしい。それに参院で与野党が逆転して、国会運営も大変になるし、世論は自民党に厳しいから、だれもババをひきたくない。ポスト安倍がいない、なんて嘘。本当に危機的状況に追い込まれたら、人材なんて出てくる」
「敗因を検証せよ」
ところで、ポスト安倍とみなされてきた議員たちは今回、どう動いたのか。
麻生外相は投開票日夕方、中川秀直幹事長よりも早く首相公邸に入り、話し込んだ。首相に続投を勧め、何らかのポストを約束されたともみられる。
「弱り目のときに足をひっぱることは、男としてしたくない、という気持ちが麻生氏にはある」
麻生氏の側近、松本純衆院議員は語る。
一方の谷垣氏はというと、
「総理の進退は総理ご自身しか判断できない」
などと語るのみだ。
「以前の自民党なら、危機的状況になったときは若手が行動を起こしたし、ベテラン議員でも伊東正義さんや後藤田正晴さんのように正面から正論を唱え、批判する人がいた。今の自民党はどうなってしまったのか」
石破氏がそう嘆くのも、もっともに思える。
しかし、7日の臨時国会を前に、1年生議員が中心となり声をあげる兆しが出てきた。
「なぜ負けたのか、きちんと検証すべき」
と語るのは、当選1回の篠田陽介衆院議員だ。党内にはすでに「参院選総括委員会」ができて、議論も始まっているが、
「負けを引き起こした張本人の党執行部が中心。もっと落選議員や外部の人が中心にならなければ」
と批判する。
同じく当選1回の山内康一衆院議員も言う。
「内閣改造は人心一新というが、挙党一致の名のもとに当選回数や派閥均衡で選んでほしくない」
改革議連が要望書検討
2人が声をそろえるのは、「小泉首相以前の自民党に戻してはならない」ということだ。
「せっかく若い安倍さんが首相になったのに、やっていることが若くない。若さを生かし、改革を推し進めてほしい」(篠田氏)
篠田氏らが中心になり、構造改革を後押ししようと若手・中堅ら120人が参加して昨年末に発足した「改革加速議員連盟」で、首相に何らかの要望書を突き付けることも検討しているという。
この議連の顧問の一人が小泉前首相であり、そして議連結成の際に裏に見え隠れしたのが小泉前首相の政務秘書官、飯島勲氏だ。
今回、安倍政権で閣僚の不祥事など問題が起きるたびに、
「飯島さんなら違った」
という声があちこちで聞かれた。
そして冒頭でも触れた、小泉氏のこの人気ぶりだ。小泉氏自身は再登板には興味がないものの、政界再編は視野にある、という見方もある。
「この改革議連が党内の安倍首相批判の受け皿となり、小泉さんを押し立てて政界再編につながる可能性がある。そのときには民主党からも流れるはず」
ある関係者は、そう指摘する。
「小泉新党」が誕生するかもしれないというのだ。
小沢民主も分裂か
ある民主党関係者も語る。
「小泉さんが出てくるときは政界再編がらみだと思う。そのときは小沢代表も自民党から(一部勢力を)ひっぺがそうと当然動くはず。でも小沢氏と反目した小泉氏に、民主党から流れないとは言い切れない。(民主党にとっての)敵としても、安倍さんより小泉さんのほうがはるかに手ごわい」
つまり、こういうシナリオだ。
安倍氏に批判的な小泉チルドレンら若手が結集して小泉氏を担ぎ出し、「改革推進」の旗のもとに自民党を割る。こうして「小泉新党」が誕生する。
となれば、小沢氏もここぞとばかりに自民党に手を突っ込んで、自民党議員を離党させ、小沢民主に抱え込もうとする。
だが、その一方で小沢民主の足元から、「小沢氏よりも小泉氏のほうがいい。有権者からも人気がある」と逆に「小泉新党」に流れてしまう人たちがいる、というのだ。かくして小泉新党vs.小沢民主の勝負となる――。
篠田氏は飯島氏とはまだ接触しておらず、何ら具体的な考えはまだない、と前置きしながらも、
「安倍首相がもし自分たちの動きを否定するようなら、その次の動きを考えるしかない」
と本誌に語った。
現段階ではまだ星雲状態の「小泉新党」。だが、参院で与野党が逆転し、これから政治は大荒れの季節を迎える。何があってもおかしくはない。
それにしても、安倍首相が前原氏の二の舞にならず続投することを、誰よりも願っているのは、小沢氏と民主党かもしれない。
編集部 秋山訓子
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK40掲示板
フォローアップ: