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2007.8.18(その1)
森田実の言わねばならぬ[479]
平和・自立・調和の日本をつくるために【316】
パール判事(「東京裁判」判事)の遺族訪問にみる安倍首相の外交センスの欠如
「自由と我儘との界は、他人の妨を為すと為さざるとの間にあり」(福沢諭吉)
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8月15日夜、ラジオJ-WAVE「JAM THE WORLD」に出演した(番組担当者は八塩圭子さん。大変切れ味のいいすぐれたキャスターである)。テーマは、安倍首相の(訪印時における)パール判事(「東京裁判」判事)の遺族訪問についてだった。
パール判事は、非暴力を主張したガンジー主義者として、日本では著名な人である。支持者も多い。今年8月13、14両日夜、NHKは東京裁判について放送した。2回目放送(8月14日)の主役がパール判事だった。
パール判事は、東京裁判の判事として、また日本の理解者として、さらに明確な法理論にもとづいて戦勝国が敗戦国の指導者を裁くことに疑問を提起し、英米側判事と鋭く対立した。パール判事の主張は少数意見として斥けられたが、報復的な匂いの濃い東京裁判に疑問を抱いていた多くの日本人からは尊崇の念を集めた。東京裁判後、日本の諸方面からの招請に応じて3度来日した。 だが、今の時期に安倍首相がパール判事の遺族を訪ね、面会することには、政治上、外交上大きな問題があると言わざるを得ない。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を自らの政治課題にしている。戦後日本を変えようというのである。
このなかには戦後日本の生き方、考え方も含まれる。戦後日本は、第二次大戦を大日本帝国の失敗とし、再び戦争をしないことを国是としてきたが、安倍首相らはこうした生き方、考え方をも見直そうとしている。安倍首相ら「見直し論者」は、第二次大戦における日本軍部の行動すら肯定しようとしている、と受け取られている。とくに第二次大戦時に被害を受けた国々から疑惑の目で見られている。米国にも警戒する声がある。
先に、安倍首相は従軍慰安婦問題について「強制はなかった」と発言し、米国、中国、韓国から強い反発を買った。7月30日、米国議会(下院)は日本政府に謝罪を求める決議をした。これが、米国側の安倍首相ら日本の「歴史見直し」論者への怒りの発露であることは明らかである。
安倍首相はブッシュ大統領や米下院議長らに謝罪したが、それが本心からの謝罪とは受け取られていない。
安倍首相ら「歴史見直し」論者は、東京裁判に関しても見直しを主張している。マスコミも安倍首相らに同調している。彼らは東京裁判をきびしく批判している。
だが、東京裁判については、サンフランシスコ条約の締結にあたって、日本政府は正式に受け入れている。ブッシュ大統領は自らに従順すぎるほど従順な小泉前首相、安倍首相が何をしようと目くじらを立てないが、いま、米国内には安倍首相の戦前回帰的な政治路線への疑念が広がっている。
歴史について深く研究し、もしも誤りがあれば、それを正す努力は必要である。
だが、これを政治権力者が先頭に立ってこれは行うことには大きな問題がある。とくに政治権力者が戦前の日本軍部の行動を擁護するようなことがあってはならない。東京の大マスコミは安倍内閣支持の立場に立っているため、日本国内の反対意見は報道されないが、米国、中国、韓国、その他の国々では、安倍首相への疑念が拡大している。
こういう時期に、安倍首相が東京裁判で米英側をきびしく批判したパール判事の遺族を訪問することは、安倍首相が「歴史見直し」のためにパール判事の業績を利用しようとしているとの疑念を海外から呼ぶことは確実である。パール判事の考えと安倍首相の考えは根本的に違う。似て非なるものである。
内閣総理大臣の立場にある者が、自らの行為によって国際関係を悪化させるようなことがあってはならない。小泉前首相は靖国参拝を繰り返し、中国と韓国を挑発しつづけ、両国との関係を悪化させた。このような挑発的な外交は「百害あって一利なし」である。安倍首相は小泉氏と同じようなことをしようとしているとみられてもやむを得ないだろう。
パール判事は多くの日本人から尊崇されているむ立派な人物であった。パール博士を安倍首相の「歴史見直し」の野望に利用させてはならない。
安倍首相の行動は外交センスを欠いた無神経な行為ではないかと思う。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03597.HTML
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