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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-08-17/2007081714_01_0.html
元陸上自衛隊イラク先遣隊長でさきの参院選で当選した自民党の佐藤正久議員が、テレビの報道番組でイラク派兵時に事実上の「駆けつけ警護を行う考えだった」と発言した問題で十六日、弁護士や市民グループが「自衛隊法に違反するばかりか、憲法九条をないがしろにするものだ」として同議員と安倍自民党総裁らへの公開質問状と要望書を提出しました。
佐藤議員の発言は十日のTBS系報道番組で、集団的自衛権に関する政府の有識者懇談会の議論についてコメントしたもの。
佐藤議員は自衛隊とオランダ軍が近くで活動中に、「オランダ軍が攻撃された場合、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊への批判はものすごいと思う」とした上で、「駆けつけ警護」についてこう語りました。
「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。(略)日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれる」
公開質問状は、発言の事実確認、同議員がイラクで予定していた「巻き込まれる」作戦を現在も肯定するのか、「巻き込まれ」は旧日本軍が中国東北地方の占領を開始する口実として実行した柳条湖事件をほうふつさせるが関東軍の暴走をどう評価するのか――の七項目。
安倍総裁には、同議員の辞職勧告を求めています。
公開質問状を提出した弁護士、市民グループのよびかけ人を代表して中山武敏弁護士らが同日、参院議員会館で記者会見し、「佐藤議員の発言は中国での関東軍の暴走、戦争拡大の教訓や、(海外での武力行使を禁じる)憲法、自衛隊法からも放置できない危険なもの。弁護士、市民ら百四十四人が賛同、佐藤議員に八月中に回答するよう求めている」と語りました。
解説
問われる防衛相の責任
「駆けつけ警護」は、安倍自公政権が、歴代政府の憲法解釈として禁じている「集団的自衛権」の行使に向けた「有識者懇談会」で個別事例として検討している四類型の一つで、「PKO(国連平和維持活動)などで、外国部隊が攻撃された際の救出」問題です。
四類型の検討は、米国の圧力を背景に、明文改憲の前にも、解釈の変更で行使を可能にし、「米国とともに海外で戦争する国づくり」を狙った議論です。
佐藤氏は、参院選公示日の街頭演説でイラク派兵での体験をまじえ、「集団的自衛権の解釈で(オランダ軍など)友軍が倒れても助けることはできない。法的に問題があるが、仲間はどんなことがあっても助ける」と発言(本紙七月十三日付)してきました。
今回の佐藤発言は、「有識者懇談会」が「駆けつけ警護」を容認したことを受けて、さらに一歩踏みこんだものです。
選挙時には「巻き込まれ」作戦にまでは踏みこみませんでしたが、“日本の法律で裁かれる”という違憲・違法であるという認識をもっていた点では同質です。しかも重大なことは、応援にかけつけた小池百合子防衛相が同議員の発言を隣で聞いていた事実です。憲法の順守義務を負う閣僚としてその責任が問われます。
(山本眞直)
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