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http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10043432107.html から転載。
国際関係でみる日本の戦争/日本軍による戦争に正当化の余地はない【山室英男さん】
2007-08-15 11:30:46
gataro-cloneの投稿
テーマ:戦争責任(歴史)
以下は「しんぶん赤旗」8月15日付1、2面から直接貼り付け。
国際関係でみる日本の戦争
元NHK解説委員長・評論家 山室英男さんに聞く
やまむろ・ひでお さん 評論家。1929年東京生まれ。50年NHK入局、政治記者を経て、ソウル、ジユネーブ各支局長、ヨーロッパ総局長(パリ)、解説委員長、大阪放送局長などを歴任。88年フランス政府より「芸術文芸勲章・オフィシェ章」受章。
終戦六十二周年の8・15をどう考えるのか、元NHK解説委員長で評論家の山室英男さんに聞きました。
(聞き手 藤田健)
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安倍内閣の歴史認識の中心は、日本の戦争は「アジア解放の戦争」で、戦争の目的はよかったということです。しかし、国際関係のなかで日本の戦争を見直すという作業をやれば、たちどころに日本のやっていたことがわかるはずです。
「ナチ党歌」流れる
日本は一九三六年に日独防共協定、翌年に日独伊防共協定を結びました。そして、一九四〇年にはドイツ軍によるマジノ線突破とパリ占領を待っていたように、日独伊三国軍事同盟(条約)を結び、第三国の攻撃に対する共同軍事行動を約束しました(第三条)。つまり、ヒトラー・ナチズムとムソリー二・ファシズムとスクラムを組んだ形で、ソビェトを牽制(けんせい)しながらアジアにおける日本帝国主義の侵略行動を拡大していったということです。
当時、日独伊の陣営を「枢軸国」と呼び、米英などの「反枢軸」連合国と対置させましたが、この「枢軸」という言葉は「ベルリン・ローマ枢軸」から来ているのです。日独防共協定の一カ月前にヒトラーが「ベルリンとローマを結んだ絆(きずな)がこれからの世界情勢の枢軸になる」と演説しました。日本はこの陣営の一員として領土拡張に乗り出しました。
当時のJOAK東京放送局(NHKの前身)のラジオ定時番組の中に「ベルリン便り」というのがありました。この番組冒頭のテーマ曲は、威勢のよい「ナチ党歌」でした。まだテレビも民放もない、東京でたったひとつの放送局だったことを想像してみてください。私は今でもこの歌のメロディーを覚えています。ですから、日本の戦争目的だけを切り離して美化しようというのは、はじめから主張が破たんしているのです。
三国軍事同盟を結んだ外相は松岡洋右でした。松岡は、終戦の秋、肺結核で寝込んでいた静岡県の御殿場でおいの佐藤栄作(のちの首相)の見舞いをうけます。そのときに、佐藤にたいし、「大間違いをしてしまった」と言いました。佐藤が「なにを間違ったんですか」と聞くと、「全部だ」と答えました。これは、私が佐藤さんから直接聞いた話です。
当事者が「間違い」
松岡はA級戦犯として起訴され、判決を受ける前に病死しますが、当事者が「大間違いだった」といっているのに、「正しい戦争だった」とは、どういうことでしょう。
日本共産党の宮本顕治さんが亡くなったとき、評論家の加藤周一さんが「宮本顕治さんは反戦によって日本人の名誉を救った」と語りました。国際関係を背景に考えれば、宮本さんの十二年間の獄中生活は世界に通用する輝かしい経歴なのです。
日本軍による戦争に正当化の余地はない
私は戦後、アメリカのジャーナリスト、エドガー・スノーの『中国の赤い星』で、中国人民解放軍の「三大規律、八項注意」というのを知りました(注)。このなかに「大衆のものは針一本、糸一筋も盗(と)らない」という規律がありますが、実際、雨戸をはずしてその上で寝かせてもらっても、必ず雨戸はもとの戸袋にしまって帰っている。人民解放軍が民衆から絶対的支持を得る墓礎はここにあったのです。(スノーはスイスで死んだ後分骨され、北京大学構内に、彼の墓碑があります)
鬼と化した集団
これと南京大虐殺を起こした帝国陸軍とは雲泥の差です。精神医学の野田正彰さんの『戦争と罪責』(岩波書店)という本には、旧日本軍が中国人におこなった拷問や虐殺が、聞き取った話としてこれでもかと書いてあります。野田さんがこの本を書いたのは「傷つくことができる精神を取り戻す」「悲しむ力を取り戻す」ためでした。人民解放軍に協カした中国人をスパイとしてやたらと拷問するような鬼と化した集団としての日本軍。恥ずかしさとか、人間としての痛みが消えてしまった日本軍を、例えば「日本会議」派の人たちはどう考えるのだろう。
歴史家の遠山茂樹さんが指摘したように、「確たる見通しのないまま、ずるずると中国戦線を拡大した」のが日本の戦争でした。その結果、出先の兵隊は食料、弾薬が不備のまま戦争を遂行することになった。水の一滴、弾の一発も来ないのだから「略奪を前提とした戦争」になったのです。略奪された中国人が日本軍を支持するわけはなく、これをスパイだとして処刑していく。
自分本位でなく
国際的なものの見方というのは、自分本位ではなく、相手はどう感じ、世界はどう考えているのだろうと思うことです。そうすれば、あの戦争を「正しかった」などという余地はないのです。
終戦記念日をどう迎えるかを考えるとすれば、8・15以降、私たちは「日本人である前にまずアジア人である」ということを原点として、つねに国際情勢の中の日本の姿を点検していかなければならないと思います。
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(注) 中国人民解放軍の建軍の基礎とされるもの。
「三大規律」
一、一切の行動は指揮に従う。二、大衆のものは針一本、糸一筋も盗らない。三、一切の捕獲品は公のものとする。
「八項注意」
一、言葉遣いは丁寧に。二、売り買いは公正に。三、借りたものは必ず返す。四、壊したものは弁償する。五、人を殴ったり罵(ののし)ったりしない。六、農作物を荒らさない。七、婦人を揶(からか)わない。八、捕虜をいじめない。
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