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http://www.news.janjan.jp/government/0708/0708090562/1.php
2007/08/10
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2007年8月9日の読売新聞の朝刊をパラパラとめくっていると、
「政権担当能力に疑問符がついた」という見出しに続いて、
「これでは民主党に政権担当能力はない、と判断されても仕方がない」という直接的な小沢民主党批判が踊っていた。
正直、ずいぶん短絡的な見解だなと感じた。なぜ、もっと深い見識を感じさせるような記事まで練り上げないのだろうと。
テロ特措法は小泉対米属国外交の遺物?!
もちろんこの社説は、07年8月8日、参議院選挙で大勝した小沢民主党代表とトーマス・シーファー駐日米大使の、党本部で初対面でのやり取りを論評したものである。
この席でシーファー大使が、テロ対策特別措置法(以後「テロ特措法と」表記)の延長を要請したのに対し、小沢代表は「米国中心の活動には参加できない」と発言したのであった。
それにしても、読売新聞は、ストレートな表現で小沢氏の言動を批判したものだ。
この会談は、参議院で多数を握った小沢民主党と、ブッシュ政権が、初めて交渉のテーブルに着いたばかりで、このような情緒的な社説は、大新聞として、いかがなものであろう。
周知のようにテロ特措法は、あの01年に突如として発生した「9.11テロ事件」を受けて、小泉政権下で成立した2年間の時限立法である。この時、アメリカのブッシュ政権は、テロ行為への“報復”としてアフガニスタンのタリバン政権をターゲットとし、アフガニスタンに侵攻した。当時の小泉政権は同法を根拠に自衛隊を後方支援部隊として派遣。同年11月、インド洋上に給油部隊(補給艦)やイージス艦などを投入した。
その後、03年3月、アメリカのブッシュ政権が国連での合意形成(コンセンサス)もなく、イラク戦争を開始すると、小泉政権は、ブッシュ政権の主張を無条件で支持した上で、テロ特措法の延期を閣議決定。以後05年で1年。06年で1年。そして今年の10月に再び期限切れが来ることになっているのである。
ブッシュ政権が、今回の第21回参議院選挙の現安倍政権の歴史的大敗を受けて、参議院で多数を押さえる民主党の動向が気になっているのは理解できる。しかしながらそのアメリカ政府と同じようなスタンス(?)で、読売が、民主党小沢代表の発言に、早々とクレームをつけるのは、少々短絡的過ぎはしないか。
またテロ特措法を継続してきた小泉政権のスタンスは日本の国益を守るというよりは、ブッシュ大統領に言われるまま、外交的な検証もなされないままに、同盟関係を重視するスタンスをとり続けて、対等なパートナー関係というよりは、一部の人が「属国的」と揶揄するように盲目的にアメリカの政策に付き従ってきたものである。
ポストブッシュの視点の欠如
極めてアメリカの現政権寄りと判断せざるを得ない読売の社説の決定的な過ちは、歴史というもののダイナミズムを解していない点にある。それともうひとつ、外交も交渉事であるという極めて単純なことが見えていない。
読売の社説は、既にアメリカのブッシュ政権が、支持率もかなり低下し、安倍政権ほどではないにしろ、かなり国民の支持を失い掛けている政権であることを忘れている。もっと言えば、ポストブッシュ政権として、民主党への政権委譲がなされるのではないかとの見方が有力だ。要するにブッシュ政権は来年の秋で終わり、ブッシュ政権のアフガニスタン政策、イラク政策が、大幅に見直される可能性が高いのだ。
現行のアフガン状勢をみても、ブッシュ政権の思惑は見事に外れ、タリバン勢力が、盛り返しの気配を見せている。またタリバンを支援するアルカイダと指導者ビン・ラディンは健在である。
また「イラクに核がある」と言って始めたイラクに、結局核はなく、ベトナム戦争以来の泥沼化の様相がますます強まる中で、第2のベトナムとしてイラクからの完全撤退のような日が来ないとも限らない。
小沢民主党「テロ特措法」は衆議院年内解散への秘策!?
日米関係が、極めて重要な関係であることは分かる。だからと言って、無原則にブッシュ政権に付き従ってきた小泉外交の流れを、民主党にもそのまま、国益だからと引き継げと言うがごとき、今回の読売の社説はおかしい。また現ブッシュ政権は、来年秋までの期限付きである。その政権と、参議院で多数を占めたばかりの民主党の小沢代表が、テロ特措法をテーブルの真ん中に置き、現段階で現実的な話をするかというのは、得策ではないとの政治的判断が、小沢氏の中で働いたというのが真実に近いのではないだろうか。
最初のテーブルで、小泉外交を引き継ぎますなどと、どうして小沢氏が言うであろう。要するに外交に限らず、交渉事というものは、最初は原則のぶつかり合いである。
日本のジャーナリズムを代表する読売新聞の社説がこのようなことでは見識が問われるというものだ。読売新聞には、もっと世の中の真相を深くえぐるような「うーん」と読者を唸らせるような鋭い社説を是非見せてもらいたい。
最後に、今回の小沢一郎氏の「テロ対策特別措置法」に対するいち早い見解の表明は、対アメリカ戦略というよりは、レームダック状態の安倍政権に揺さぶりを掛けて衆議院を年内解散に追い込む秘策が隠されていると思うのだがどうだろう。
読売の社説を読み終えて、私はふと、「小泉マジック劇場」という言葉を思いついた。もちろんこれは「小泉劇場」に「マジック」をかけた造語である。確かに小泉純一郎前首相は、政治的にはマジシャンだったのかもしれない。
彼の政治は、原則や理屈は度外視して、マスコミも含めた日本の有権者を有無を言わせずに票に結びつける何かがあった。
ブッシュ政権に対し、コミットし過ぎで「属国外交」とも揶揄されながらも、何故か人気があった。何故あれほど、俗に言う「属国的」なスタンスをとっても、人気があったのか。それは彼のどこかにマジシャンの資質があって、劇場型の政治の中で、国民が彼の魔法に掛けられていたということだったかもしれない。マスコミも含め、まだその魔法が、日本の至るところに影響を及ぼしていることを感じる。これは「四谷怪談」ならぬ「永田町怪談」ともいうべき怖い話しである。
(佐藤弘弥)
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