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2007年08月13日
イスラエルによってつくられる日本の中東外交
かつて外国の報道関係者から「日本の中東政策とは何か」と聞かれた時、「ただでさえ対米従属の日本外交において、米国が最も重視している中東に対する日本独自の政策などあるはずがない」と私は答えたことがある。
勿論これは真実である。しかし、もっと正確に言えば、小泉政権になってからのわが国の中東外交はイスラエルのカーボンコピーになってしまったと言ったほうがよい。あのイラク戦争支持がその最たるものであるが、それ以外にもいくつかの例証を指摘する事が出来る。私がまだレバノンの大使をしている時の事である。訪日中のイランの外務次官に対し、わが外務次官(当時)は、「パレスチナ問題からイランは手を引くべきだ」と申し入れた事があった。イスラエルがいつも言っている事をそのまま繰り返したこの発言は私を驚かせた。こんな発言を公式に行う外務次官は少なくとも以前まではいなかったからだ。
実際のところ日本の中東外交は、イスラエルの情報機関「モサド」からありがたく情報をもらい、中東政策そのものまでイスラエルの意向を聞いていると思わせるほどである。
そしてそれは単なる推測ではなかった。8月12日の朝日新聞の記事が見事に証明してくれた。
8月12日の朝日新聞の特集記事「中東問題と日本」のなかで、駐日イスラエル大使であるエリ・コーエン氏が次のように堂々と語っていた。
「・・・04年の暮れ、小泉首相から、中東で米欧と違った影響力を発揮したい、と聞いた。それで『成功のモデル』と題した文書をつくって渡した。イスラエルと日本で、ヨルダン西岸エリコのパレスチナ人を支援しようと提案した・・・」。
この発言は物凄い暴露発言だ。この考え方こそ、後にわが国が、「中東和平に対する日本独自の貢献」であると喧伝している、「平和と繁栄の回廊」構想なのである。
おりしも麻生外相は中東訪問外交をしている。お盆休み恒例の外遊だ。特に今度の外遊は内閣改造を前にしての完全な卒業旅行だ。そうは言えないので様々なお土産を携えた「ばら撒き」外交を行っている。その一つが「平和と繁栄の回廊」構想に対する資金ばら撒きである。
しかし、この構想がおためごかしの無駄な資金協力となることは目に見えている。識者の間ではそれはもはや常識である。当事者であるイスラエル・日本・ヨルダン・パレスチナの四カ国は、いずれも親米・親イスラエル4カ国である。パレスチナに至っては米国傀儡ともいえるアッバス議長の下で自治政府そのものが分裂状態である。そんな国を無理に集めてでっちあげた構想が、どうしてまともに機能するというのか。それよりもなによりも、今のパレスチナに平和は来ない。
その朝日新聞の記事の中には、またこんな記述がある。
「・・・『日本の家よりひろいなあ』―中東で特派員をしていた数年前、パレスチナ難民キャンプを訪ねた日本のある政治家のつぶやきだ。難民生活を見たある女優は『テントかと思ったら、ちゃんとしたビルだった』と驚いた・・・中東は日本にとってなお遠い存在だ・・・」
日本人は中東の事を何も知らない。その日本人の無知につけ込んで、いい加減な中東外交を日本の外務官僚は繰り返している。同じく中東の事が何も分かっていない政治家を丸め込みながら。これが日本の中東外交の実態なのである。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/13/#000489
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