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与党の「歴史的な敗北」で円高が加速する?
「参院選」直前に円高を示唆する欧州勢
与党にとって「歴史的な敗北」に終わった7月29日の参議院選挙。その直前に、欧州・スイスから再びメッセージが放たれた。7月27日付フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフト紙の「選挙後の日本」という巻頭記事がそれだ。
この記事では、「自民党が惨敗する」ということをすでに予測。それを踏まえた上で、「選挙後の日本」で最も中心的なテーマとなるのは、日銀による金利引き上げが8月にいよいよ行われるかどうかだと断言する。
日銀が金利引き上げをこれまでやろうとしてできなかった背景には、明らかに政府・自民党からの「圧力」がある。また、選挙の前に金利引き上げをすると、仮に選挙で与党が敗北した際、「お前が金利を引上げて、景気を悪くしたからだ」と与党に激怒されかねない。
しかし、与党が「惨敗」したとなると事情は変わる。政治的な圧力がなくなったことで、日銀は純粋に「金融政策の観点」から、金利引き上げを行うだけのパワーを行使できる。とりわけ、欧州勢は日本との極端な金利差による「円安・ユーロ高」が貿易不均衡を招き、ひいては円キャリートレードで為替相場全体の不安定を招いていると口うるさい。
選挙という「内政」で大失点を重ねた安倍政権は、「外交」で得点を稼ぐべく、欧米の声には耳を傾けざるを得ない状況にも置かれる。そこで、日銀は金利を引き上げ、円高へと誘導されるというのだ。
円安時代に青年期を過ごした哲学者・西田幾太郎
今や、欧米勢の大合唱で「諸悪の根源」であるかのようにいわれている円安。日本の個人投資家にとっては、輸出関連企業の株式が高騰するのでうれしい現象ではある。しかし、ここまで「利上げ圧力」が外圧で高まってくるとなると、何とかすべきかと思ってしまうのが日本人の悲しい性だ。しかし、円安は経済的な視野だけではなく、文化的に見ても非常にポジティブな意味合いを持つことをご存じだろうか。
戦前の日本で「知識人」はこぞってドイツに留学した。そこに先進の学問があったからだ。しかし、さらにいうともっと別の「深刻な事情」があったことはあまり知られていない。
第一次世界大戦に敗れたドイツは多額の賠償金を連合国によって課された。そのため、ドイツ経済は戦後復興もままならず、その通貨・マルクは極端なインフレの中、急落していた。戦前、日本の「円」からみれば高かったはずの先進国・ドイツの「マルク」が、いきなり安くなったのだ。そのため、1920年代にはこぞって日本の青年たちが学費・旅費の安くなったマルクの国・ドイツへと留学したというわけなのだ。
ところがその前の時代に青年期を迎えた日本の知識人にとって、ドイツ留学は夢のまた夢だった。たとえば金沢で人生の大半を過ごした日本を代表する哲学者・西田幾太郎がその典型例だ。彼は1870(明治3)年生まれ。1920年代にはすでに50歳代となっていた。したがって、青年期には「円安」の時代を過ごした彼の哲学は、すべて舶来の書物を読み解き、自らで考え抜いた結果として生まれたものだった。
その後も、いわゆる「西田哲学」をのぞいて、日本で哲学者個人が体系をつくりあげた哲学は生まれなかった。まさに、「円安」によって爛熟した明治期の文化で育まれた日本青年の頭脳だからこそ、ひとつの体系が作り上げられたのだ。
円安という「爛熟」の時代の向こう側に何を見るのか
西田幾太郎ゆかりの地・金沢(9月15日)で開催する原田武夫国際戦略情報研究所主催の無料学習セミナーでは、そのあたりの経済史的な背景も踏まえつつ、この秋に大幅な変動を迎える「為替」と「日本マーケット」、そしてそれを取り巻く内外の環境について徹底的な分析を披露できればと考えている。ぜひご期待いただきたい。
「円高」あるいは「円安」といった議論について、とかく私たち日本人は欧米からの声に左右されがちである。しかし、平成バブル崩壊と相前後して始まった日本の「超低金利・円安」時代は、日本人を自然とより内向きにし、そのために日本の社会、そして文化は爛熟の時を迎えていたはずなのだ。
「儲けた」「損した」と目先の利益に目をとらわれるのも大事ではある。しかし、「円レート」が再び大転換の時を迎えている今だからこそ、これまでの「円安」が一体、私たち日本人に何をもたらしてきたのか、じっくりと腰を落ち着けて考えてみるべきなのだろう。そして、そうすることによってはじめて、これから怒涛の勢いでやってくる「円高」の時代に、日本がどうなるのかを見渡すことができる。
哲学者・西田幾太郎の偉業を振り返り、そのあまりにもストイック(禁欲的)な思考に触れる時、ふとそう思ってしまうのは私だけだろうか。
[新世紀人コメント]
歴史が転換してしまった。
米国戦争経済のバブルは化けの皮が剥がれ始めた。
円高は原油高に対しては有利なので原油を始めとして資源を取得するには有利である。
従ってロシアとも友好的に付き合うことが出来る事になる。
いよいよ日本は技術立国として再出発できる条件が整う事になるだろう。
今まで花形だった経済のプリンス達とプリンセス達はいずれ交替することになるだろう。
回り舞台の有様である。
面白い事に
政治の舞台でも経済の舞台でも言論の分野でも
生きたままでドライ・フラワーと化してしまったミイラ達の乾いた崩壊飛散が始まるのだ。
一例としてドライ・カサブランカが舞っているではないか。
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