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急降下する支持率におびえた安倍政権は、「原爆投下しょうがない」の久間大臣発言の不評・逆風を受けて、これまで避け続けてきた被爆者団体との面会を急きょ行い、厚生労働省や柳沢大臣と何の打合せもしないうちに「原爆症認定基準の見直し指示する」と言って、世間を驚かせた。この「見直しの必要はない」と牢固として厚生労働省が頑張っていることから、高齢の被爆者の人たちは全国各地の「原爆症認定集団訴訟」に踏み切ってきたのだ。「これで一挙、解決か」という提灯持ち報道に私は強い危惧を感じていた。
8月6日の『どこどこ日記』にも、次のように書いた。安倍総理は「裁判は別として、国として何が出来るかを検討したい」とも言っており、先の熊本地方裁判所で国が敗訴した判決に対して「控訴しない」と言っていない。司法対決を続けながら、法定外で「救済策」を打ち出そうというのだろうか。そもそも、厚生労働省の任用している「専門家の判断」が目茶苦茶だから、被爆者は高齢を押しての集団訴訟にたちあがったのだ。
この危惧は、案の定的中した。原爆症認定基準について何もわかっていない安倍総理と、犯罪的な役人の言いぶりを疑う感覚のない柳沢大臣のふたりによって、7月30日の熊本地裁判決(国敗訴)に対して、なんと「控訴」方針を決定したというのだ。
国側が敗訴した七月三十日の原爆症認定訴訟熊本地裁判決について、厚生労働省は九日、近く福岡高裁に控訴する方針を固めた。首相官邸や法務省と十日にも最終調整した上で、正式決定する。各地の集団訴訟で国側は六連敗で、控訴は今年三月の東京地裁判決に続き六回目となる。
原爆症をめぐっては安倍晋三首相が五日、認定基準見直しを検討することを表明し、同省は九月にも検討会を発足させる予定。与党内には「基準の見直しをするのだから、控訴すべきではない」との意見もあるが、同省は「見直しと訴訟は別。現行基準も科学的知見に基づいた適切なものであり、それに基づく判断は適正」(幹部)としている。首相も「(見直しは)裁判とは別」としている。
[引用終わり]
安倍総理の指示とやらも「法定外の善処」と解釈して、あくまでも高齢の被爆者と争おうとする厚生労働省と柳沢大臣は、次々と訴訟中に亡くなっていく高齢の被爆者に「御用学者」の専門的知見などをふりかざして「認定の道」を遮断する。本当に許せない連中だ。自民党内でも異論が多いことの「アベコベ判定」は、ふたたび覆る可能性もあるが、安倍総理の一言など「鴻毛より軽い」ということだろう。
これまで、何度もの国敗訴の直後に、被爆者団体が「控訴断念」を求めて国に申し入れを行っても、厚生労働省は私が質問で取り上げるまで、なんと入口の鉄柵のところにガードマンを貼りつけて追い返していたのだ。「裁判中だから法定外交渉はしない」というのが厚生労働省の言い分で、私は怒り心頭で公明党の厚生労働副大臣を徹底的に追及した。被爆者の生命をもてあそぶようなふざけた態度は、到底認めることが出来ない。被爆者団体をこのような訴訟に追い込んだ政治責任は与党にあり、また具体的な担当者の個人責任も徹底追及する。
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