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2006.3.29(その1)
2006年森田実政治日誌[165]
小泉政権5年間の総括【1】――小泉構造改革を見直すべき時がきている。小泉政治を除去しなければならない時がきた。小泉構造改革による破壊によって日本の政治経済社会は多大の悪影響を蒙った。日本は米国の従属国家になった。事実上の植民国家になった。国内は格差社会になった。
日本という国が滅亡に向かって進み始めている。
「あらゆる堕落のなかで最も軽蔑すべきものは――他人の首にぶらさがることである」(ドストエフスキー)
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小泉政権が誕生してから5年が経った。 この5年間、日本に何が起きたか、冷静に、正確にこの5年間を振り返り、日本の政治を正さなければならない。私は、この5年間の小泉政治はひどい政治だったと考えている。小泉政治は米国への従属の政治であり、破壊の政治であり、国民を不幸にする政治である。
小泉政治の基本的特徴の第一は従米政治だということである。小泉政権は日本を米国の植民地国家にしてしまう政治をしてきた。
いまや、日本の外交の基本方針はワシントンで決められ一方的に押しつけられている。日本の外交当局は、あたかも日本が独立国であるかのごとく振る舞い、演技しながら、米国政府の命令どおりの外交を行っている。日本政府の外務省は事実上、米国務省の下部機関の役割を果たしている。
防衛も同様だ。日本の自衛隊は、もはや、米軍の指揮下におかれてしまっている。今回の米軍再配置により、米軍の支配はさらに強化される。日本政府の防衛庁と自衛隊は、事実上、米国防総省の指揮下におかれている。
国内の経済政策もまた米国政府の管理下におかれている。「米国政府の日本政府に対する年次改革要望書」は、日本政府への経済政策の指示書である。1994年以来、この米国政府の「指示書」に従って日本政府の経済構造改革政策は展開されてきた。この間の中心テーマが規制緩和と民営化であり、最大の課題が郵政民営化だった。米国政府の狙いは350兆円の郵政資金の獲得にあったのではないか、というのが私の見方である。
外交も防衛も内政もすべて米国政府が支配している。日本政府は米国政府に忠実に行動している。小泉政権はとくに米国政府に忠実である。
1982年の中曽根内閣成立以来、日本政府は「日米同盟」の美名のもと、従米政治を積極的に行ってきた。この間、中曽根、竹下、宇野、海部、宮沢、細川、羽田、村山、橋本、小渕、森、小泉の12代の内閣が日本の政治を担当したが、自立的独立的外交政策をとろうとしたのは細川非自民内閣だけだった。細川内閣が短命に終わった最大の原因は、米国政府と対等に行動しようとしたことにあった。
「従米」の度合いは、米国の政権交代とともに深まっている。レーガン政権に対応したのが中曽根、竹下両内閣であった。中曽根政権のもとで、「円」が「ドル」に飲み込まれる経済的従米システムの第一歩となるプラザ合意が結ばれた。中心的役割を果たしたのが米国側はベーカー財務長官、日本側は竹下蔵相(このあと首相)だった。これが中曽根内閣以後の従米化の第一段階だった。
レーガンの次のブッシュ(いまのブッシュ大統領の父親)に対応したのが海部、宮沢両内閣だった。この時期に外交・防衛政策のいっそうの従米化が進行した。
宮沢内閣の末期に米国の大統領はブッシュ(共和党)からクリントン(民主党)に変わった。政権は共和党から民主党に変わったが、日本に従米政治を求める米国の政策は不変だった。日本への対応において米国は超党派である。
経済面での従米化はクリントン時代に急激に深まった。クリントン大統領は欲が深い。レーガンが始めた日本の富を米国に吸収し尽くす政策を、さらに強めた。クリントンが提案した恐るべき日本の従米化政策を宮沢首相が受け入れたのだ。これが毎年米国政府と日本政府間でなされる「米国政府の日本政府に対する年次改革要望書」と「日本政府の米国政府に対する年次改革要望書」の交換である。米国政府のこの「要望書」が事実上の指令書であるのに対して、日本政府の要望書は参考文献程度のものにすぎない。この米国政府の文書によって、日本は経済政策も米国政府に支配されること になった。これにより日本は事実上の「植民国家」になった。
細川政権は米国からの自立をめざしたが、米国と自民党の連合軍によって撃ち落とされた。
その後の村山内閣は社会党内閣ではあったが、自民党とともに従米化の政策を進めた。 このあとに登場した橋本、小渕両内閣は経済だけでなく安全保障政策の従米化を推進した。森内閣も、前半は橋本・小渕内閣の延長線を進んでいたが、最終段階で一大方向転換を行った。森首相は最終段階でそれまでの「ゆるやかな従米化」から「急激な従米化」に転換した。日本政府は完全な従米政権になった。ブッシュ政権の操り人形的政府となった。
森内閣のこの超従米路線を引き継いだのが小泉政権である。
小泉政権は従来の政権とは異質な政権である。従来の政権は従米政策を躊躇しながら実行したが、小泉政権は自ら積極的に喜び勇んで日本の従米化に突進する異常な政権である。
小泉氏は自らが「日本人」であるという意識が薄いのではないかと私は思っている。これは小泉氏が生まれ育ったところが、戦後米軍の事実上の占領地となった横須賀市だということに一因があるように私は思う。横須賀の保守勢力は、自らが日本民族だという意識が希薄である。横須賀を支配している米軍と仲良くしているうちに日本民族としての意識が薄くなっている。小泉氏はこの横須賀保守のなかで育った。小泉氏は横須賀の保守そのものである。
自民党・公明党は、自身が日本民族であるという意識が希薄な人物(=小泉氏)に政権をゆだねて従米化の道を突進した。小泉政治を先頭に立って推進した政治家のほとんどが、日本人としての自立的意識がきわめて薄い政治家である。中央官庁エリート、大新聞社の記者と幹部、そして大テレビ局の幹部にも共通した性格がある。
小泉政権がこの5年間、「日本の国益」よりも「米国政府の利益」を優先させる政治を行ってきたことによって、日本の従米化・植民地化は急激に進んだ。
いま、われわれ日本人に問われているのは、こんな従属国となった日本を、後世に、われわれの子孫の代にまで残してよいのか、ということである。(つづく)
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