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2005.10.5(その2)
2005年森田実政治日誌[374]
政治と郵政民営化に関する二つの意見
「世に最も美しいものは、言論の自由である」(ディオゲネス、古代ギリシアの哲学者)
郵政民営化に関する二つの意見を紹介する。[一つは米国在住の若い友人、酒井吉廣さん(米国犯罪学会会員、経済分析家)の意見です]
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【1】酒井さんの意見(10月3日)
《米国の酒井です。久し振りにメールをお送りします。まずは、民主党の敗北と郵政民営化の問題についてから、意見をお送りしたいと思います。
自民党の勝利、または、民主党の敗北についてはさまざまな意見がメディアで報道されていますが、これを政策面の違いでみるならば、国民を無視した度合いの違いが勝敗を分けたと考えるのが妥当かと思います。典型的な例は、郵政民営化を唱える小泉自民党に対して、公社維持を示しながら 8万人の人員削減などを主張する民主党は、決して(自民党と比べて)国民のことを考えた政策政党ではなかったということです。マニフェスト全体に対する意見は、ここでは避けますが、公然と増税を主張したり、雇用の削減を主張する政党が選挙で勝つという事例は、古今東西、ありません(国民を騙した事例を除けばですが)。
自民党の郵政民営化法案も拍手を送れるものではないのですが、民主党の対案よりはましだった、というのが自民党勝利の主因でしょう。もちろん、ここでは、選挙戦術の巧拙には触れていませんが、それを加味すると、もっと自民党が勝った理由が明らかになりますね。ただ、勝ち方(地方での民主党勝利や得票率の差など)は必ずしも自民党の圧勝を示していないのだから、次の選挙にはいまだ希望がもてるものと思います。
さて、郵政民営化ですが、ここまでくると、いまさら、公社維持はナンセンスな議論となります。むしろ、自民党案では成し遂げられない、「雇用を増やすことさえできる攻めの民営化」を提案すべきかと思います。 この観点からは、自民党案のネックは、完全民営化まで10年もの時間をかけること、現状の郵貯や簡保資金を別勘定とすることにあります。
郵貯も簡保も現状を活用してグローバルに戦う金融機関に変身させた方が国民のためにも、現在の郵政職員のためにもなります。考えてみてください。巨額な資金を、すぐれた運用技術で運用できるなら、世界が注目し、それに見習うようになることもあるでしょう。ジョージ・ソロスが一世を風靡し続けたのは、彼の実績に着目して誰もが彼の運用についていきたいと思ったからです。郵政もそうなるべきかと思います。
また、日本国債の市場を守るために郵政の資金が犠牲になるという発想は、結局は、政府系の金融機関や特殊法人、公務員等の税金の使い方の改正を遅らせる方向に働くだけです。これも考えてみてください。日本国債の価格が下落して、日本国債の新規発行コストが上がれば、当然、日本政府は歳出の削減をすることとなります。発行額が絞られれば否応なしの対応となるわけです。そうすると、道路公団で真面目な改革論者が何度も煮え湯を飲まされたようなインチキはより簡単に打破できます。小さな政府をつくるには、大きな政府の現実を支えるパイプをカットしてしまえばいいわけで、郵政民営化の本来の目的もここにあったのだから、これを実現するべきなのです。
ここで、郵政民営化で強力な銀行が出てくることに批判をしている民間銀行の意見について一言触れておきますと、ほとんどの邦銀は、公的資金か、それに近い国の配慮があっての現在があるのですから、郵政民営化の問題にとやかく言うべきではないと感じます。それよりも、ある一時点(たとえば2年後)の資金量の規模ではなく、資金吸収や資金運用のノウハウで競えば、いつでも郵貯銀行や簡保と戦える民間金融機関が存在しうるということを考えるべきですね。日本の金融機関には、もっと前向きな議論をしてもらいたいものです。 非常に簡単な議論だけをしてきましたが、もう一つ、つけ加えておくと、郵政公社が民営化された場合の、雇用が不安であるならば、労働協約の中から「普通解雇」の条項を外すという措置をしておけば、かなり不安を小さくできると思います。「普通解雇」とは、雇用者側が雇用を続ける理由がなくなった場合(たとえば事業所を閉鎖した場合)に、労働者を解雇できる権利を指します。
私が考える強い金融機関は、雇用を増やすことになるとは思いますが、現時点での不安があるのであれば、この「普通解雇」条項によって、安心を得るという手法を考えるといいのではないでしょうか。
とにかく、これからは、「ハゲタカにやられる」ということへの不安ではなく、「ハゲタカをやっつける」ということを考えた、民営化を議論していくのがいいのではないでしょうか。明るい未来は自分で切り開く。そのために使える現在の強い部分はより強くすることを考える。これが、一国の国益を考えた経済運営の基本だと思います。 日本人は、発想を転換すべきです。》
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【2】HMさんの「4つの疑問」(10月3日)
《疑問1.マスコミは、安易に、郵政民営化に反対した議員を「抵抗勢力」「造反組」などと言い続けていいのか? 「構造改革」が正しいとはかぎらないのに。反対したり抵抗するのが社会人の良識なのに。マスコミの使命は何なのか? 「抵抗勢力」という表現に惑わされてはいけない!
疑問2.アメリカはなぜ郵便事業の民営化を断念して、国営を堅持したのか? 小泉自民党は資料とともにわかりやすく国民に明らかにすべきだ! それでも日本は民営化する必要があるのか?
疑問3.「見えない国民負担」ばかりではなく、すでに支払われた「見える国民負担」をなぜ議論しないのか? 不良債権処理で47兆円の「公的資金」。長期間のゼロに近い預貯金利息で、国民が受け取れたはずの利息が150兆円。これは郵貯ばかりではないはずだ。
疑問4.離島や岬のはずれにある郵便局が「構造改革」の本丸なのか? 地域社会の「安心の砦」ではないか! 「見えにくい国民貢献」ではないのか?
以上のことからも、「構造改革」は必要だが、求められている内容は不要不急な「郵政民営化」ではない。まして「市場原理」を貫徹すれば、郵便局は撤廃され、地域社会が崩壊するだろう。健康な身体に無理やり外科手術をするようなことは断固やめていただきたい。「市場原理」だけでは何も解決できない。世論調査でも「郵政民営化」は5位程度の低さなのだから。国民の意思は、年金や健康保険制度が重要緊急な課題だということである。》
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[酒井さんは、郵政民営化法案がいまの特別国会で成立することを前提にした現実論を主張しています。これに対してHMさんは郵政民営化の根本矛盾を論じています。私も小泉首相の郵政民営化には、根本的に反対です。最後の最後まで反対しつづけます。「悪いことは悪い」と言いつづけます――森田]
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