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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070809it01.htm?from=top
年金記録漏れ問題で、社会保険庁が該当者不明で宙に浮いた年金記録約5000万件を分析するため、新たなコンピューターシステムの導入に向け準備を進めていることがわかった。
社保庁は現在も、年金記録のコンピューターシステムをリース契約し、その経費として年間約1000億円を支出している。今回、記録漏れの後始末のために新システムを導入すると、さらに億単位の支出が必要となり、社保庁の業務を監視する総務省の「年金業務・社会保険庁監視等委員会」の委員からも疑問視する声が出ている。
安倍首相は今年2月、社保庁に記録漏れの実態調査を指示。政府・与党は7月5日、来年3月までに、5000万件の内容を解明し、年金の受給者や加入者の記録と突き合わせて統合すると発表した。
しかし、社保庁はこれまで、現在のコンピューターシステムを使い、年齢や国民年金、厚生年金の区別をしただけ。村瀬清司・社保庁長官らは7月下旬、監視委の委員に進ちょく状況を尋ねられ、「内容はまだ十分検証できておらず、精査できていない」と回答している。
分析が進まない理由として、社保庁企画課は「現在のシステムで通常業務をこなしながら、5000万件から死亡者や年金からの脱退者を除外するなどの作業は大変。通常業務に支障を来すため、分析専用のコンピューターシステム導入の準備をしている」と説明。さらに、「問題を後に残さないよう、今月中に民間企業の意見を聞いて分析の手法を決め、新しいプログラムも開発する」と話す。
社保庁はこれまで、NTTデータや日立製作所とコンピューターのリース契約を結び、システムの使用料などとして、両社とそれぞれの関連会社に総額約1兆4000億円を支払っている。この資金には全額、年金保険料が充てられている。新たな分析専用のシステムは、3億件の年金記録を扱う現在のシステムに比べ規模が小さくなるが、同様にリース契約となる可能性があり、多額の使用料が生じるとみられる。
社保庁企画課は、新システム導入の経費について、「他の予算を削減するなどして資金を工面し、不足分は職員が返納したボーナスなどを充てる。年金保険料を使うことは極力避けたい」と話している。
これに対し、監視委の複数の委員は、「新しいシステムが本当に必要なのか」「聞いたこともなかった。国民は現在も年金記録に不安を持っており、システムを導入するのなら堂々と公表すべきだ」と指摘している。葛西敬之委員長(JR東海会長)は「23日に開く次回会合で社保庁側が正式に説明するのを待ちたい」としている。
(2007年8月9日3時0分 読売新聞)
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